約 971,266 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6352.html
京太郎「背景に溶け込んでかなり立ったが潮時だ」 京太郎「このままこの立ち位置に居るだけじゃ世界から消されちまうな」 京太郎「いつの間にかいなくなってました、なんてシャレにならねぇし……なんとか目立たないと」 京太郎「けどそうは言ってもなぁ、何からやれば……」 京太郎「奈良にでも行くか」 京太郎「ってことで奈良に行ってくるから」 咲「えっ……何言ってるの京ちゃん?」 京太郎「部長にはしばらく部活休むって言っといてくれよな」 京太郎「じゃ、後は任せた」 咲「意味わかんないよ!……ってああもういないし!」 ――――――― ―――――― 京太郎「おお、ここが奈良かー!」 京太郎「鹿ばっかと思ってたけど、空気美味しいし全然良いとこだ」キョロキョロ 京太郎「あ、せっかく来たんだしどうせならどっか名所でも回ってみてーな」 ?「………」テクテク 京太郎「お、丁度いいところに。ちょっとそこの人に聞いてみるか……すいませーん」 宥「………?」ブルブル 京太郎「!?」ビクッ 京太郎(な、なんだこの人?眼鏡にマスクにニット帽……怪しすぎだろ) 京太郎(それに……)チラッ 宥「えーと、私ですか?」 京太郎(マフラーって……) 宥「あ、あのぅ!」 京太郎「あっ、はい!」 宥「どうかされたんですか?」 京太郎「えーと……」 京太郎(……やっべ、あまりの衝撃に何て言おうか忘れちまった) 京太郎(何て言おうとしたんだっけ?) 京太郎「なんか山から吊るされるやつをテレビで見てやってみたいと思って来たんですけどどこに行けばいいですか?」 宥「山から吊るされるやつ……あ、ひょっとして大峯修行体験のことかな?」 京太郎「大峯修行体験?」 宥「ええ。ここから見えるあの"吉野山"って山でやっている筈ですけど……事前予約とかはしてますか?」 京太郎「え?……予約?」 宥「はい、確か参加するには予約が必要だったと思います」 京太郎「はぁ?なんだよそれ、面白くねぇなー」 宥「……ごめんなさい、お力になれなくて」 京太郎「いえいえ。どうもありがとうございました」 宥「あ、でも……」 京太郎「?」 宥「えっと、一応私の二つの下の子に山登りが趣味の子がいるんですけど……」 宥「もしお時間さえよかったら、お話しだけでもどうでしょうか?」 京太郎「是非、お聞きしたいですね」 宥「分かりました。ふふ、きっと穏乃も喜びますね」 京太郎(穏乃ちゃん?) 宥「あの、少しここから歩きますけど大丈夫ですか?」 京太郎「はい、大丈夫ですよ」 宥「つきました、ここです」 京太郎(旅館……?) 宥「どうぞあがってください」 京太郎「は、はい」 京太郎「失礼しまーす」ガラッ 玄「あっ、おねーちゃんお帰……り…」 宥「ただいま、玄ちゃん」 京太郎「?」 玄「はわわわわわ!?お、おねーちゃんが彼氏連れてきた?!」 宥「も、もう!違うよ玄ちゃん」 玄「なるほどなるほど……これは大変なことになってきた」 宥「……す、すぐに呼んできますので、少し待っててもらってもいいでしょうか?」 京太郎「あ、はい……お構いなく」 玄「……」ジーッ 京太郎「……」チラッ 玄「!」サッ 玄「~~♪」ピューイ 玄「……」チラッ 京太郎(チラ見してんの丸分かりだっての) 京太郎(手持無沙汰だし、何か話しかけてみようかな……) 京太郎「あの」 玄「っ!」ビクッ 玄「は、はい?どうしましたか?」 京太郎「あなたを見て思ったことがあるんですよ」 玄「……思ったこと?」 京太郎「ふむふむ」ジッ 京太郎「結構なおもちをお持ちで……」ゴクッ 玄「はうっ!?」 京太郎(……!?何言ってんだ俺は――――?) 京太郎(出会って三秒の人にセクハラ発言って、印象最悪じゃねーか!) 京太郎「す、すいません!今のは忘れてください!」 玄「……」 玄「君が私の仲間になってくれるなら、許してあげるよ」 京太郎「……仲間?仲間って何の?」 玄「だって……その……君もおもち好きなんだよね?」 京太郎「"君"も?」ピクッ 京太郎「じゃあ、まさか貴女も!?」 玄「うん。そこにおもちがあったらもう口にせずにはいられないよね」 玄「大体大きなおもちなんてそれこそ"揉んでください"って言ってるようなものだよ!」 京太郎「はぁ……それは確かに」 玄「だよね?私は間違ってないよね?」 京太郎(いや、色々間違っている) 京太郎(……と、凡人は思うだろうけど) 京太郎「はい。何一つとして間違ってないです」 玄「そう言ってくれるのは嬉しいな。なんだか私、君となら大きなことをできそうな気がしてきたよ!」 京太郎「俺もですよ」 京太郎(なぜなら……) 穏乃「すいません、遅くなりましたー!宥さんが言ってたお兄さんってあなたの事でいいんでしょうか?」 玄「君にだったら、私のおもちコレクションみせてあげてもいいかな」 京太郎「おもちコレクション?」 玄「うん。コレ」スッ 京太郎「えーと……スナップ写真ですか?」 穏乃「あ、あのー!」 玄「ふっふっふ…ただのスナップ写真じゃないんだよ」 京太郎「?」ジッ 京太郎「……なっ!こ、これは!!」 玄「そう!これは私がインハイで撮ったおもちをお持ちな子のおもち写真集なのです!」 京太郎「でもこれって盗撮なんじゃ……」 玄「こっちは永水の巫女さんのおもち」スッ 京太郎(俺はこの人に会うために生まれてきたのかもしれない) ツンツン 京太郎「え?」クルッ 穏乃「吉野山に登りたいお兄さんですかー!!?」 京太郎「」キーン 玄「あう!」キーン 穏乃「さっきからずっと呼んでるのに……玄さんも何やってるんですか」 京太郎(な、なんだこの小さい子!?つーか今ので何言ってるか全然分かんねぇ……) 京太郎(でもこの子……)ジー 京太郎(おもち無い上に……なんか優希に雰囲気ちょっと似てるな) 京太郎「俺と長野で一緒に暮らしませんか?」 穏乃「へっ?」 京太郎「何だか、あなたを無性に長野へ連れて帰りたくなりました」 穏乃「ちょ、ちょっとタンマ!いきなりそんなこと言われても……!」 京太郎(ま、そう思うのが普通だわな) 京太郎(でも俺は何としてもこの子を連れて帰りたい) 京太郎「なぁ」ガシッ 穏乃「ひゃい!」ビクッ 京太郎「どうしても駄目かな?」ボソッ 穏乃「ひうっ!」ビクン 京太郎(堕ちたな) 穏乃「…あっあっ……ああ」ヘナヘナ 穏乃「……ひゃ、ひゃい。ついていきまふ…!」 京太郎「へへっ、やったぜ」 玄「え?え?」 京太郎「あ、お邪魔しました。おもち談義楽しかったですよ」 京太郎「また機会があれば語り合いましょう」ヨイショ 玄「それはいいんだけどね……穏乃ちゃん担いでどこに行くの?」 京太郎「長野に連れて帰ります」 玄「ええっ!?ダ、ダメだよそんなの!」 玄「穏乃ちゃんは阿知賀の一員なんだよ!?そんなこと絶対ダメだよ!」 京太郎「本人が良いって言ってるからいいんじゃないですか?」 玄「あうっ……で、でもでも!」 玄「そんなの絶対ダメーーーー!!」 京太郎(うーん、このまま素直に帰してくれそうにないな……) 京太郎(何かいい案はないかな) 京太郎「じゃあ、あなたも長野に連れて帰ることにします」 玄「え、えとね?そう言う問題じゃないんだ」 玄「私たちは阿知賀の5人みんなで一緒に居ることが大事なんだよ!」 京太郎「はぁ……これ以上言っても無駄そうなんで、強硬手段に出ることにします」スッ 玄「っ!?」ビクッ 玄「ぼ、暴力はやめるのですキミ!」 京太郎「…」ガシッ 玄「ひっ……!」 京太郎「……お姉さん」 京太郎「どうしてもダメですか?」ジッ 玄「はう!?」 玄(え?!な、なにこの眼差し……吸い寄せられそう) 玄(ダメ、ダメ……!私も穏乃ちゃんみたいになっちゃう……!) 玄「離して!!」ドン! 京太郎「うおっと」 玄「はぁ……はぁ……!」 京太郎「はは、流石にそう簡単には堕ちてくれませんか」 玄「と、当然なのです!早く穏乃ちゃんを返して!!」 ガララッ 憧「ねぇ……そんな大きな声出してどうしたの玄?奥の部屋まで響いてたよ」 宥「何かあったの?」 玄「憧ちゃん!おねーちゃん!」 玄「だ、助かったぁ!早く穏乃ちゃんを一緒に取り返そうよ!」 憧「……シズ!?」 憧「ちょっとあんた何やってんのよ!シズを離しなさいよ!!」 京太郎(また面倒なのがきたな) 玄「憧ちゃん……!」 玄「これならなんとかなりそうだね!ねっ、おねーちゃん!」 宥「………」 玄「おねーちゃん?」 宥「ごめんね……玄ちゃん」 玄「えっ?」 宥「私、玄ちゃんや憧ちゃんよりも……京太郎さんの方が大事になっちゃったみたいなの」 玄「……何言ってるの?意味が分からないよおねーちゃん」 宥「本当にごめんね、玄ちゃん」 玄「あ、謝らないでよ……だっておねーちゃん何も悪いことしてないもん」 玄「だから今言ったことは嘘だよね?ねぇ?」ガクガク 京太郎(おもち師匠には気の毒だけど、ここに来る途中でその人はもう堕ちてたんだよな) 京太郎(それはいいとして、この子どうしようかな) 憧「はーなーしーなーさい!!」ギリギリ 憧「シズに触るなぁー!!」グイグイ 京太郎「なぁ、お嬢さん」 憧「何よ!?」 京太郎「一つだけ言わせてほしい」 憧「そんなことどうでもいいでしょ!いいから……!」 京太郎「好きになってもいいか?」 憧「」ピタッ 京太郎「好きだっ!!」ガバッ 憧「きゃ!?」 京太郎「好きだ!好きだ!大好きだ!!」 憧「はぁ!?ちょ、ちょっと!いきなり何なのよ!?」 京太郎「あーもうやばいって!すっげー好きなんだけど!」 憧「くぁwせdrftgyふじこlp」ボンッ 京太郎「何もかもが俺好みだ!もう離せねーからな!」 憧「……」 憧「……は、はい」 憧「こんな私ですけど……末永くよろしくお願いします」 玄「憧ちゃん!?」 憧「その、だって……こんなストレートに好きって言われたの…初めてだし」 玄「そんなぁ!」グスッ 玄「うう……こんなのないよ!酷過ぎるよみんな!」 玄「阿知賀麻雀部はどうするの!?また和ちゃんと遊ぶって約束は?!」 憧「長野に行けばいつも一緒に遊べるじゃん」 宥「うん。毎日和ちゃんとも麻雀ができるよ玄ちゃん」 玄「そういう問題じゃないよ!!」 玄「お願いみんな、正気に戻って!」 京太郎(この子だけ中々折れないな……こうなったら) 京太郎「もう長野に帰るか!」 玄「……えっ」 京太郎「それじゃ、行こうぜみんな」 宥「はい」 宥「あ、玄ちゃん。風邪ひかないようにちゃんとお炬燵切って寝ないと駄目よ?」 憧「また近いうちこっち戻ってくるからさ、心配ないって」 憧「ねーシズ?」 穏乃「……うーん」ムニャムニヤ 京太郎(何か静かだと思ってたら寝てたのか) 玄「……待って…待ってよ」 玄「おねーちゃん……穏乃ちゃん……憧ちゃん」 玄「おいていかないで……!もうあの教室で一人にしないでよぉ……!」 玄「一人はやだよぉぉぉぉぉぉぉ!!」 ―――――― ――――― 晴絵「そういや、灼と玄って同じクラスだっけ?」 灼「うん。そうだけど何で?」 晴絵「あんた達さ……同じクラスの割に麻雀部に入るまであんまり話したことなかったでしょ?」 灼「それは……」 晴絵「ま、私の言いたいことはそんなことじゃない。とりあえず同じ二年同士、来年は最上級生だ」 晴絵「今の内に玄ともっと仲良くなっておいたほうがいいかもねってこと」 灼「仲悪いわけじゃないけど……そうだね。私、玄は結構好きだから」 ――――――― ―――――― 咲(京ちゃんが学校サボりだして結構経ったなぁ) 咲(もう部長も優希ちゃんもカンカンだよ……京ちゃん今日こそ部活に来させなくっちゃ) 咲「京ちゃーん」ピンポーン ガチャ 京太郎「はーい……って咲か。どうしたこんな朝っぱらから」 咲「どうしたって、迎えに来たんだよ。京ちゃんが学校サボらないように」 京太郎「お前は幼馴染か」 咲「幼馴染だよ!?」 穏乃「京太郎ー!おっはよー!」バッ 京太郎「うわっ!」 咲「へっ?」 京太郎「……おい穏乃!!いつも言ってるだろ、毎朝抱き付いてくるのやめろって」 穏乃「えーだってこうしないと今日のエネルギー補給できないじゃん」スリスリ 京太郎「ったく。で、それで何の話だったっけ?」 咲「……えーと、とりあえず聞きたいんだけどね?何で高鴨さんが」 憧「ちょっとシズ!京太郎も!早くしないと遅れ………ってお客さんか」 憧「失礼しましたー」ソソクサ 咲「!?」 宥「みんなー、朝ごはんできたよ。あったかーいうちに……」 咲「!!?」 宥「あっ……えーと、清澄の大将さんでしたよね?」 咲「こ、こんにちは」 宥「丁度よかった。今できたところなのでご一緒に朝ごはん食べていきませんか?」 京太郎「そうだよ咲、宥さんの飯めっちゃ上手いんだぜ?」 咲「いや……遠慮しておきます」 宥「そう?残念……また機会があったらいらしてくださいね」 咲「……じゃあね、京ちゃん。私先に行くね」 京太郎「え?あ、おう……ごめんな咲」 咲「いいよ別に。また今度ね」ニコッ 咲「じゃさよなら、京ちゃん!」 京太郎「おう、また今度な!」 咲(当然奈良に行って帰ってきたと思ったら……何アレ) 咲(今後、あんまり京ちゃんとは関わらないようにしとこ) End
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3451.html
京太郎「バトルストーリーとかは置いておいて、初代すなわち無印のアニメで至高のゾイドを選ぶとしたら」 京太郎「ブレードライガーだろ」 憧「ライトニングサイクスでしょ」 玄「ジェノザウラーじゃないかな!」 京太郎「……」 憧「……」 玄「……」 京太郎「(また迷った。咲の方向音痴ってもしかして他人にうつるのか?)」 京太郎「(そしたら曲がり角で前見てなかった人とぶつかってなんやかんやでどうしてこうなった)」 京太郎「何故ザウラー? ブレイカーじゃないんですか?」 憧「確かに、大抵の人はブレイカーの方を推すわよね」 玄「んー、私の中の印象かな? それにブレイカーはおねーちゃんのだから」 京太郎「おねえちゃん……ってジェノ姉妹!?」 憧「(ああ、クロとかあったかーいとかそういう……)」 玄「造形とか違う所多いし、結構人によるんじゃないかな」 玄「ジェノザウラーと言えば荷電粒子砲!」 京太郎「絶対的な破壊力、ロマンの塊ですね」 憧「(大火力……隙だらけ……うーん)」 玄「全身が砲塔になるあのモーションは、一度見たら忘れられないんじゃないかなぁ」 京太郎「あの踵のアンカーを地面に打ち込む所とか非常に素晴らしいですよね」 憧「劇中でこれでもか!って活躍してた兵器だもの、印象に残って然りよ」 玄「ジェノザウラーの長い首と尾が一直線に揃い、全身が撃つ為の機構になる変形」 京太郎「普通に考えたら隙だらけなんでしょうけど、乗り手があのレイヴンですしね」 憧「実際ほとんど外れてないわよ? それに荷電粒子砲に頼りっきりになるレイヴンでもないし」 玄「そんなの、ヒルツ位じゃないかな」 京太郎「ああ、『あ、あああアンビエントォォォォォ!!』の……」 憧「ラスボスと続編の主人公の声優が同じって凄いわよね」 玄「バン君は荷電粒子砲よりジェノザウラーの伸びる腕の方が苦戦してたような気もするけどねー」 玄「荷電粒子砲が無くても強いからこそジェノザウラー!」 京太郎「頭部のレーザーガンや背中のロングレンジスナイパーライフにて中・遠距離戦は完璧」 憧「近接戦もワイヤー付きの爪に体表からの放電機能」 玄「距離を選ばないんだよね。万能機体!」 京太郎「爪だけの純粋な破壊力なら実はブレードライガーをも上回ってるんですよねー」 憧「実際、シャドーと合体しなくても全く隙が無いわ」 玄「ライガーも進化してようやく互角、まさにミニデスザウラーって感じだね」 京太郎「戦術レベルでも戦略レベルでも脅威って、敵からすれば笑えないゾイドだよな」 憧「だから『虐殺竜』なんて異名が付いてるんでしょ」 玄「フロートでちょこっと浮いてるから機動力もちゃんとあるしねっ」 京太郎「黒くてすばしっこくて脅威……あれそれって」 憧「やめなさい!」 玄「やめて!」 京太郎「正直すみませんでした」 玄「獅子型の主人公機と、恐竜型のライバル&ラスボス。このお約束のはじまりだったね」 京太郎「実際見ててカッコイイですもん。獅子と恐竜の戦い」 憧「そういう意味だとスラッシュゼロのラストバトルが一番『それらしい』のかしら」 玄「バーサークフューラーと言えばシャドウエッジ!」 京太郎「あれはバーサークフューラーとジェノザウラーを融合させたみたいなデザインでしたね」 憧「漫画版だっけ? シーザー・ザ・キングの方が印象に残ってるけど」 玄「漫画版はアニメ版のある意味原作とも言えるから、すごく面白いと思うよ?」 京太郎「商業展開の都合で打ち切られたけど、作者さんのHPで続きも見れるしな」 憧「(もう更新は期待できないでしょうけど)」 玄「スラッシュゼロだとかませだけど、無印だと基本どの場面でも強いよね」 京太郎「大型ゾイドの体を喰い千切ったり、噛んで投げ飛ばしたりするだけでも相当にインパクトありましたからね」 憧「大人時代でも旧式機なのに無双してたんだから、とんでもないわよ」 玄「大人時代と言えばラスト近くのブレイカーに三体がかりのあの戦い!」 京太郎「それまで無敵・最強の象徴だったブレイカーがあそこまで追い詰められるとは……」 憧「流石ザウラー、虐殺竜は伊達じゃないわ」 玄「ザウラー派生のゾイドは基本凄く強いイメージを持たれてると思うよ?」 京太郎「……サイコジェノザウラーは?」 憧「……」 玄「……」 憧「私はライトニングサイクスを推させて貰うわよ」 玄「アーバインの相棒だね!」 京太郎「アコーバイン?」 憧「その幻聴はちょっと無理があるんじゃない……?」 玄「イェーガーより遅いってイメージあるけど、実はイェーガーとの速度差も5km/hしかないんだよね」 京太郎「しかも実は『ゾイド史上初のストライクレーザークロー搭載機』」 憧「スラッシュゼロでのイェーガーとの対決はまさに宿命といったところね」 玄「豹がモチーフだからか、スマートでカッコイイフォルムだよね」 京太郎「『疾い動物』の代表格と言ってもいい動物ですからね、豹」 憧「コマンドウルフの後継としては100点満点だったと思うわ。カマセにもならなかったし」 憧「登場回の演出も良かった。うん、そう思う」 玄「乗り換えの理由は、コマンドウルフがブレイカーにやられちゃったからだったね」 京太郎「ゾイド世界はゾイドを相棒と考える人達が多いからか、軍人以外はほとんど乗り換えしないんだよな」 憧「異質なロボットアニメよね。でもゾイドらしいわ」 玄「コマンドウルフのメモリーを使って完成したライトニングサイクス」 京太郎「しかしまだ馴染まないのか、本来の性能を発揮出来ない。そこでアーバインが叫ぶ!」 憧「『走れウルフ!俺と一緒に走れっ!』」 玄「パージされる装甲、コマンドウルフと同じ色に染まるカメラアイ!」 京太郎「そして圧倒的な速度で大活躍……!」 憧「ゾイドはほんっとうに劇中の販促が上手くて困るわ」 憧「速度特化機体は無印の頃はサイクスしか居なかったから、誰の印象にも残ったんじゃないかしら」 玄「アニメだけだと『ブレードライガーより速い』ってだけで印象に残ったもんね」 京太郎「他のゾイドが振り向こうとしても目ですら追えないって凄まじいですよね」 憧「ザウラー&ブレイカーのワイヤー付きクローの回避率も100%だしね」 玄「あれは、バン君の弱点だから……」 京太郎「バン結局アレ長い戦いで一回しか避けた事ないしな……」 憧「サイコジェノザウラーのも避けられなかったもの、筋金入りよ」 玄「荷電粒子砲も避けた事あるのにねー」 京太郎「ビームやレーザーより避け辛い要素が何かあるんですよ、きっと」 憧「あのワイヤー付きクローってデスザウラーには付いてなかったけど、どこから持ってきたのかしら」 憧「ブレードライガー、ライトニングサイクス、ディバイソンで並ぶと映えるのよね」 玄「ゾイドが全体的に洗練されたデザインというのもあるからかな?」 京太郎「人物、それも大人編はんん?ってなることもちょっとありますけどね」 京太郎「機体の作画が異常にいいから目立つってのもあるんでしょうが」 憧「ああ、あのバンの変な腹筋とか……」 玄「それをいったらおしまいでしょ! でも何でお腹出してたんだろ……」 京太郎「フィーネは子供の頃の方が間違い無く可愛い」 憧「ロリコン?」 玄「ロリコンなの?」 京太郎「ロリコンちゃうわ! 普通におもち好きだから!」 憧「……うわぁ」 玄「うんうん、君は分かってるね!」 京太郎「おお、なんだか理解者の気配……」 憧「うわぁ」 憧「ゾイドバーサスシリーズでも中々強いのよね」 玄「バーサスはブレード持ちが強すぎるから……」 京太郎「逆にクロー頼りの機体が弱いのなんの。イェーガー悲惨過ぎる」 憧「IIIでカスタマイズするとミサイルより速い、ビルも登れるサイクスに!」 玄「(カスタマイズ有りならレブラプターが最強になっちゃうんじゃないかなぁ)」 京太郎「速い機体はそれだけで強いんだよな。火力もあるとなお良し」 憧「あんまり博打とか好きじゃないのよ、私」 玄「えっ、荷電粒子砲で一発逆転を狙うのがゾイドじゃないの?」 京太郎「……先輩はレイヴンにはなれそうにないですねー」 憧「バーサークフューラーもジェノブレイカーも格闘が強機体だっていうのにこの人は……」 京太郎「主人公機!ブレード!やっぱりブレードライガーでしょう」 憧「全体で見れば、多分多数派に一番好かれてるのはブレードライガーでしょうね。悔しいけど」 玄「ザウラーのライバルで宿敵だね!」 京太郎「鋭利なフォルム、秀逸なカラーリング、レーザーブレード、速度と格闘に特化……」 憧「これでもか!ってほどに『主人公機』よね」 玄「遠距離寄りの万能機のジェノザウラーとは対極だね」 京太郎「最大の武器が砲の竜、剣の獅子。良い感じです」 憧「ジークの白銀といいシャドーの漆黒といい、相棒ゾイドとカラーリングを合わせてるのかしら」 玄「色的には帝国カラーの王道、共和国カラーの王道なんだろうけどね」 京太郎「対極ってイメージが分かりやすくていいじゃん」 京太郎「進化回の王道展開、そこからのジェノザウラーとの決着も非常に良しだぜ」 憧「圧倒的なジェノザウラーの強さ描写の後の敗北、そして進化だったしね」 玄「しかもそれまで破られなかったシールドが破られるって展開と合わせてだから、私ハラハラしたよ」 京太郎「しかしその後、シールドライガーの面影を残しつつスタイリッシュになって蘇ったブレードライガーの勇姿!」 憧「誰もが『これなら勝てる!』と一目で確信出来るだけのデザインだったわ」 玄「それでも、やっぱりジェノザウラーは強かったんだよね。素敵!」 京太郎「主人公機が強化された後なんだから自重してくれ!ってレベルの強さだったな……」 憧「一回は機能停止寸前まで追い込まれたんだっけ?ブレードライガー」 玄「機体性能的にはブレードとザウラーはほぼ互角だもの」 京太郎「あそこから勝てたのは、バンの力が大きかったんだろうな。やっぱり」 京太郎「アニメのブレードライガーはまさに『バンのための機体』だったなー」 憧「対荷電粒子仕様のブレードがついてる辺り、きっとジークとフィーネが頑張ったのよ」 玄「ジェノザウラーに付け入るなら機動力か近接戦しか無かったからね」 京太郎「かなり対ジェノザウラーを意識してた感じだと思う。それはジェノブレイカーもだろうけど」 憧「あっちはブレードを折るハサミに物理シールド、ブレードライガー以上のEシールドと露骨だったでしょ?」 玄「それに荷電粒子発射時の隙、連射できない弱点も無くなっちゃったからね」 京太郎「ブレードライガーとブレイカーはあんまりにも性能差が……あ、ABがあったか」 憧「アタックブースターは……ほら、アレじゃない?」 玄「何のためにあったんだろうね?」 京太郎「新子はオブラートに包んでくれたのに!」 憧「現実は何も変わらないんだけどね……」 京太郎「デスザウラーを始めとして、戦果も流石のブレードライガーだ」 憧「負けた回数も多いけど、ちゃんとザウラー系のほとんどとデススティンガーにもちゃんと勝ってるからね」 玄「ジェノザウラーのライバルだもんね!」 京太郎「最終的にゾイドイヴの光でスティンガーより強くなった英雄機、アリだと思います」 憧「劇中でデスザウラーを二回も倒してる獅子の王様だもの」 玄「最終回のブレードライガーとジェノブレイカーの共闘は、まさに夢の饗宴!」 京太郎「シールド+ブレード前方展開のアタックで倒せない敵は居ないですよね!」 憧「ブレードとシールドが干渉して荷電粒子を拡散させるシールドになるんだっけ?」 玄「あれでジェノザウラー、やられちゃったんだよね……」 京太郎「対ザウラーの必殺技みたいなものですから」 京太郎「ブレードが短いとか、脇に付いてるから斬り難いんじゃないかとか言ってはいけない」 憧「だって、初期のキットを買った時のガッカリ感ときたら……」 玄「『前がガラ空きだよね』ってお姉ちゃんが言ってた」 京太郎「本来は一気に接近して爪と牙で前面から攻めて、かろうじてかわした敵をブレードでぶった切るってコンセプトなんですよ!」 憧「じゃあストライクレーザークロー付きのブレードライガーが最強ってこと?」 玄「うわぁ、それは想像したくないよ……」 京太郎「それ、シュナイダーじゃん」 憧「……確かに」 玄「それなら背中に近接武器がついたジェノザウラーが最強?」 京太郎「それはシャドウエッジ……というかそれがバーサークフューラーなのでは」 京太郎「すみません、道順まで教えて貰っちゃって」 憧「気にするほどのことじゃないわよ、手間でもないし」 玄「またねー」 京太郎「それじゃ、ありがとうございました!」 憧「……あ、応援に来てたってのは聞いてたけどどこの高校か聞くの忘れてた」 玄「うーん、そんなに気にする事でもないんじゃないかな」 憧「それで、アイアンコング派の大将とサラマンダー派の副将はどこに行ったの?」 玄「そろそろジェノブレイカー派のお姉ちゃんと帰ってくるんじゃないかな」 京太郎「あれ、やっべどこの高校か聞くの忘れてた。まあ気にすることでもないか」 京太郎「清澄(うち)にあの人達の知り合いが居るってわけでもないだろうし・・・そんじゃ戻りますか」 カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4383.html
憧「掃き掃除終わったわよー」 モブ子「おつかれー、早く掃除終わらせて部活行きたいね」 憧「そうねぇ、早くインハイに向けて練習したいわ」ウズウズ モブ子「憧は良いなぁ……インハイって東京でやるんでしょ?」 憧「まぁね……でも観光とかそういうのは多分全部が終わってからになるだろうけどね」 モブ子「へぇー……あれ?そういえばモブ美ちゃんは?」 憧「バケツに水を汲みにいったまま帰ってこないけど……」 モブ美「お、重いですー……」プルプル モブ子「あ、来た来た……もう、遅いよー」 モブ美「ご、ごめーん……いまそっちに……」ヨタヨタ 憧「……あれ、大丈夫なの?」 モブ子「止めたんだけど……本人がやるって聞かないから……」 モブ美「うわ……った、た……!」フラッ…タッタッタ モブ美「わひゃっ……!」ステーン バケツ「」ピューン 憧「……え?」 憧「うう……最悪」バタンッ 憧「まさか頭から思いっきり水被るとか思ってなかったわ……」ブルブル 憧(あんな涙目されると怒るに怒れなかったし……まぁ反省してたみたいだからいいけど)ブルッ 憧「……くしゅん!」 憧「制服も張り付いて気持ち悪いし……脱いじゃえ」バサッ 憧「で、窓際にでも置いとけば乾くでしょ……シャツは……」 ヨッシャー、キョウモゲンキニブカツヤルゾー! 憧「」 憧(うわヤバ……!?この声京太郎!?ど、どうしよう……こんな格好見せらんないわよ……!!///)アタフタ 憧(どっ、どっか隠れないと……!!)タタッ 京太郎「ちわーっす、今日もよろしくお願いしまーす!」ガチャッ ロッカー「」 京太郎「ってなんだ、俺が一番乗りか……」 ロッカー「」 京太郎「うーん、仕方ない……誰かくるまで待ってるか……」ストンッ ロッカー「」 ロッカー(in憧)(あ、危なかったぁ………おと少し遅れてたら見つかってたとこだったわよ……) 憧(部室から出ていく気配は無さそうね……で、でも……こんな格好あいつになんか見せられないわよ……///)←具体的に言うとスケスケのシャツ 憧(ど、どうするばいいのよこの情況……) 京太郎「あれ、なんでこんなとこに女子の制服があるんだ?」 ロッカー「!」ガタッ 京太郎「ん?」クルッ ロッカー「」シーン 京太郎「……気のせいか」 京太郎「しかもなんか濡れてるし……誰かがここで乾かそうとしてたのか?」フム… 京太郎「でもただ置いてるだけじゃ全体的に乾かんだろ……よっと、ここにフックがあるからここにかけて……」 京太郎「これでよしっと」 憧(ーーーっ、あ……あぶなかった……本当にあぶなかった……)ヘナヘナ 憧(でも私の制服に変なことでもするかと思ったのにわざわざかけ直してくれるなんて……や、やっぱりあいつって良いやつなのかな……) 京太郎「あー、でもなんか窓際の辺りとか水浸しになっちまってんなー」 京太郎「しょうがない、掃除しておくか」 ロッカー「!!!!!!」ガタンッ 京太郎「な、なんだ!?」ビクッ 憧(マズイマズイマズイって……!!このままじゃ見つかっちゃう……!?) 京太郎「中の物でも落ちたのか?」スッ 憧(だ……ダメ!!!///)グッ 京太郎「あ…あれ、開かない……!?」ググッ 京太郎「昨日まで普通に開けれたのに……なんで急に立て付け悪くなってんだ!?」グググッ 憧(こ、こんな姿見られたらあたしっ………!!)グググッ 京太郎「ええい!漢、須賀京太郎!!ロッカーごときに負けてたまるかぁぁぁ!!!」 京太郎「そぉいっ!!!」ガチャッ 憧「あ……!」フラッ 京太郎「…………えっ?」 バターン 京太郎「いってぇー……いったい何が……?」パチクリ 憧「いたた……って」ムクリッ 京太郎・憧「あ」 憧(み……見つかっちゃったぁぁぁぁ!!?!?///)カァァ 京太郎(な、なんで憧がロッカーの中に……!?つうか憧……) 京太郎「おまえ……そのかっこ……」ジーッ 憧「な、なにジロジロ見てんのよ……///」 憧(もう……なんなのよ、なんで今日に限ってこんなに厄日なのよ……!!こんな姿見られるなんて恥ずかしいじゃない……!) 京太郎「……憧」ガシッ 憧「ひゃうっ!?な、……なに?」ビクッ 京太郎「おまえってさ……」 憧「う、うん……!」ドキドキ 京太郎「……以外とおもち、あったんだな」キリッ 憧「」ピシッ 京太郎「あ、でもさすがに松実先輩とかには負けてるか……そういえば憧、おまえなんてロッカーに「死ぇぇえぇぇぇぇえぇぇ!!!!!!」ぶるぅあぁぁぁ!!?」バチィィィン 晴絵「……で、なんでこうなってるの?」 憧「し、知らないわよ……!!///」プイッ 玄「だ、大丈夫……京太郎くん?」ユサユサ 灼「へんじがない……ただのしかばねのようだ」ツンツン 京太郎「」ピクピク カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5707.html
2 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/20(日) 01 12 06.66 ID f6CpEPhto [2/7] 【須賀京太郎】 <アイドルランク>(ファン人数) Dランクアイドル(10000~10000) <容姿> B(56) <雀力> E(29) <歌唱力> E(23) <演技力> C(42) <特技> タコス作り <担当> 清水谷竜華(プロデューサー) 花田煌(マネージャー) 弘世菫(麻雀コーチ) 瑞原はやり(トレーナー) 竹井久(事務員見習い) 龍門渕透華(スポンサー) <アイドル経歴> 雑誌特集 パンフレット サイン会 ドラマ主演 |. G | F | E | . D |. C | . B |. A | . S | SS |SSS―――┼―――――――――――――――――――――――――容姿 |lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll雀力 |lllllllllllllllllllllllllllll歌唱力|lllllllllllllllllllllll演技力|llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll <須賀京太郎のファン> 宮永照 宮永咲 蒲原智美 愛宕洋榎 愛宕絹恵 江口セーラ 鹿倉胡桃 染谷まこ 片岡優希 原村和 国広一 福路美穂子 深堀純代 藤田靖子 滝見春 SSS 100 SS 80~99 A 60~79 B 50~59 C 40~49 D 30~39 E 20~29 F 10~19 G 0~9 . . -――‐- . .. ´ ` .、 / \ / \ / i | . / | | | | . ′ | | | | | | . l | | . l从 ト、 . | | . | l | | . | \ 、_ _|__\ 」 | . | | ステータスはまだ伸びるんじゃね? しらんけど l | .|_ _; イ  ̄ ̄__ _,)ハ . | . | | | i l i∧ l___ 斗斧i^狄 | . | | | | | ∧ 「苅 V以 } ノ . . .| i . . | | | | iハ |i以 ,,, j/ .| | . . | | | | |. l | ,, ' / | | 从 l八 八 八人 v ´} / 八| \__ \|\ \≧ .. .._ ー/ .イ | . Χ⌒ |\ \ -- / _ -‐<※| | \ \__ _ |/⌒>\/斤/...(※)......リ ト、 i\ 「 ̄` /※)..|| /※|...(※/ |../※).....+...// 八..\ . . .| )' /※)...... ||三三三三三三三|...+.../... { /......(※∨ | /※)..... (※||/..+......|※)l.| ∨※./...(※| /....+./.... Ν /※)..(※)..+ /リ.....(※ノ......从{\{...../...(※)....| /...../... (※|. /※)..+.... (※//......... /......./.. ※)...../....... +(※|'... /.... (※)...| /+....(※).. +...〈/..(※)/...+./※)....+../※)..... +........./..※)... +.. | 40 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/22(火) 23 06 26.65 ID 5GeIvELqo [2/5] 【前回までのあらすじ】 咏の計らいで、笑っていい○もに出演することになった京太郎 しかし、その裏で京太郎達アクセル1の活躍を妨害しようとする黒い陰謀が渦巻いていた 卑劣な罠に嵌められ、全国放送で辱めを受けそうになるのどっち それを救ったのは京太郎と、アクセル1の仲間達だった そして、強引にのどかの企画に割り込むことができた京太郎は…… なかい「えー、それでは新しく須賀君が加わったので仕切り直しますね」 \キャー!/ \スガキューン!!/ 和「す、須賀君……」ブルブル 京太郎「和、こっそり机の下に手を出してみろ」ボソボソ 和「えっ? こうですか?」スッ ギュゥゥッ 和「うぇっ?」ドキッ 京太郎「大丈夫、俺が付いてるから」ニコッ 和「……//」コクン 果たして、のどっちを守りきることができるのか? 44 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/22(火) 23 11 51.67 ID 5GeIvELqo [3/5] これからも中の人ネタは多用するけど、こればっかりはのどっち 中のファンがいい気持ちしないだろうからキンクリでいい? それともダイジェスト編集版でいいですかねぇ? 安価↓1~3で一番コンマが大きい人orゾロ目 1 ガッツリのどっちとイチャつけコラ!! 2 ダイジェスト編集でいいじょ 3 京太郎がのどっちを救ったという結果だけが残るっ!! 58 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/22(火) 23 45 58.53 ID 5GeIvELqo [4/5] なかい「では~~~」 \スゴーイ/ \キャーッ!/ まちゃみ「えーっ!!」 ワイワイガヤガヤ 京太郎「……」 和「……」モジモジ 京太郎「(見事なまでにこっちに絡みを飛ばさないな)」ウーン 分かっていたことだけど、どうやらこのまま流すつもりらしい 京太郎「(けど、それじゃ面白くないよな)」ギンッ いくらゲストが大物ばかりだからって、背景に徹してるようじゃダメだ なかい「実は歌手になりたかった?」 和「……いいえ」 大御所達「わいわい」 レギュラー「おー!」 ダメだ。完全に和は 京太郎「和、目立ちに行くぞ」ボソボソ 和「え?」 京太郎「俺に任せとけ」ニッ 和「あっ」 なかい「他キャラと声を混同してNGを出したことがある?」 大御所達「わいわい」 レギュラー「ほえー!」 京太郎「いやぁ、実はそうなんですよ!」 一同「!?」 京太郎「和ったら、まだ一役しかやってないのに声がコロコロ変わって」 和「す、須賀君っ……//」カァッ 京太郎「でも、あれ? それって混同してるわけじゃないですよね」ポンッ ぐっさん「いや、こっちに突っ込まれても!」オイオイ 和「」ボシュゥゥウゥ \アハハハハッ/ \スガクンカワイー/ まちゃみ「須賀君結婚しよ!」 なかい「……」イライラ ワイワイガヤガヤ 京太郎「(まず俺が捨て身で存在感を出す)」 和「……」マッカッカッカ 京太郎「(後は和、お前が決めろ!)」ギュッ 和「っ!!」ドキッ 京太郎「大丈夫だから……」ボソッ 和「……」ドキドキドキドキ 63 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/22(火) 23 59 07.94 ID 5GeIvELqo [5/5] なかい「はい、須賀君。少し落ち着いてねー」 京太郎「すいません! 舞い上がっちゃって」 \ダイジョーブダヨー/ \チョーカッコイイヨー/ 京太郎「……」 和「……」ドキドキドキ ワイワイガヤガヤ なかい「その素敵な声で異性を口説いたことがある?」 大御所「わいわい」 芸能人「おー!」 なかい「(大御所の後に振れば、滑るだろ)」チラッ 和「……」ガチガチ なかい「ではこしみ……原村さんはどうですか?」 和「は、はい!」 京太郎「(頑張れ和……!)」 和「わ、私はその……自分ではまだ、自分の声が素敵かどうかは分かりません」ウツムキ \ソンナコトナイヨー/ \カワイイー/ 和「そんな私でも、その……頑張って、勇気を出す日が、ありまして」チラッチラッチラッ 京太郎「(大丈夫、俺が付いてる)」 和「頑張って色々と、アタックをかけては見るんですが……」チラチラチラッ 京太郎「(……? なんで俺の方を見てるんだ?)」キョトン 和「ですが、その人はとても鈍感で、私は全然振り向いてもらえなくて……」チラチラチラッ 京太郎「?」 和「でもいつかきっと……振り向かせたいなって、思ってます」マッカッカッカ 京太郎「……?」ジィーッ 和「あぅっ」モジモジ 京太郎「え? そんな人がいたのか?」ガビーン 一同「(お前だよっ!!)」デデーン この瞬間、スタジオの全員の心が一つになったという 71 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/23(水) 00 10 41.69 ID GHq8OauHo [1/7] 京太郎「えっ? 嘘!? マジ!? え? あれ……?」オロオロ 和「……」ブシュゥゥゥ 京太郎「咲か!? 咲なのか? あっ、部長って線も……」ブツブツブツ 和「あっ、ちがっ」オドオド この瞬間、スタジオの人間だけでなく……お茶の間の前の視聴者も気がついた 和「私はその……」チラチラッ 京太郎「?」 この少女は恐らく、隣にいる男の事が好きなのだろう、と 和「うぅっ……」カァァァ ある者は憤慨した のどっちファンA「許せないお! 許せないお!!」 のどっちファンB「酷いお!! ありあないお!!」 未だ声優としてデビューしたばかりの和だが、既にファンの数は多かった 声も演技も評価が高い上に、なによりこのルックスだ 彼女に対して深い情欲を注ぐようになったファンはとてもとても多い つまり、今回和がやったことは……彼らに対する裏切り(一方的なものだが) テレビを見ていたのどっちファンの約、九割が悲鳴を上げようとした…… その時だった _ -───- _ . 、 / \ __ ___j/ __ Y´ ノ ヽ | / . ! . . . . . . { ヾ.イ 〈 ! / / /. / / . | | ; | . . ヽ };} | l / / / . / / /| | | ト、 | | }´ |ト__ / { / /. ; . / / { | | !、 | | j、 | l ィ´ヾ ヽ、 l_ l イ | | ト{、 ハ| | | ヽ | }厶イ、 |丁/ } 〉、 / | ハ | | l | `ト、}lヽ '、 ト、斗匕/ l | ||| l r‐く|ヽ/{´ ヽl |_l | | |rテ干示ト'\lヽl´ rf苡圷¨} |/-|  ̄ | l | むぅ……鈍感っ! レ \ト、 \ヽ 弋 ツ . . ゞ夕 ノ/ ´| | | | イl| |\}l`. xwx . , . xwx . _ノ; | | | / j|! ハ // | | l | / .イ j|l介 、 /´ ! ! l | / /| ||l|{ 、 ´ ` イ_ | l l 八 / / l| |l||| __」 ̄ {、 ヽ、 | | ! ∧ / // l| ||厶斗‐ ´ r‐! / ` | ト、 ハ l / /| | /-、 ァ´ 八 . } 、\ ヘ | 〃 ∧! ト、 l ̄ ̄ 7 / . j ヽ } ヘ l// }/'| 八 \ | / ,.-‐ ´ // . / /´∨ ヘ // ∨ / ハ . .\ \ l /-‐ ´ _,.. .  ̄// . ∨〃 }ヾ ヘ {イ / / / l ヽ . . }>- !./-‐< . . . . . . . . イ/ ∨イ Vヽ 、 }{ |ハ }ァ'./ { `ー-ゝ、レ_∠≠=- ´ / . / l| ト l | l ハ| | ∨} j |l| {_j} / / イ Y ヾjl; | |Ⅳ}/ }| / / イ 八l / / Y // l |/ Y | l / リ| l〃/l| \ { 八 } / |ハ| } ;/ | | /| のどっちファン達「」ドキュゥゥゥゥゥン!! それは、一瞬の出来事 81 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/23(水) 00 21 39.61 ID GHq8OauHo [2/7] ファンH「え? 天使?」ゴシゴシ ファンI「え? 女神?」ゴシゴシ ファンR「え? 聖女?」ゴシゴシ ファンA「え? 賢狼?」ゴシゴシ ファンN「え? 第四位?」ゴシゴシ ファンO「うっ」ドピュッ 一瞬にして、彼達の心は深く奪われた 京太郎「鈍感?」 和「ふんっ、知りません」プイッ 京太郎「???」 彼らは知らなかった 三次元にこんな【リアル】が存在することを 京太郎「あ、えーっとですね」 和「……」ツンッ 同じ芸能事務所内での恋 しかも、相手は絵に書いたような鈍感 想いは伝わらず、じれったそうにすねる愛らしい少女 これではまるで……自分たちのこよなく愛する ファン達「のどっちのツンキタ━(゚∀゚)━!!!」ガタッ 二次元のようではないか 85 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/23(水) 00 30 33.23 ID GHq8OauHo [3/7] ほんの一瞬の間に地獄から天国へ のどっちファンはこの瞬間死に……蘇った 彼らの気持ちは一つだった 和「……でも、そんなあなたが」ゴニョゴニョ 京太郎「おい、ハキハキ喋れって」ボソボソ ファン達「(コイツとのどっちの間を応援したい!!)」デーン 今まで数多くのアイドル声優に恋焦がれ裏切られてきた彼らが…… 生まれて初めて、他人の恋愛を応援しようと誓ったのだ なかい「……」 そして、その波紋は…… 観客「……」 スタジオの全員にも広がっていた なかい「(なんなんだよこれ……)」イライラ 目の前で繰り広げられるラブコメ 今までは天下のいい○もだったというのに…… まるで台無しだ まちゃみ「(だけど……)」 自分たちの番組を台無しにされたというのに、なぜだろう? 目の前のこの愛らしい少女を―― 一同「(応援してあげたい!)」デーン アウェイはついに、ホームへと変わる 93 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/23(水) 00 43 03.31 ID GHq8OauHo [4/7] なかい「須賀君はいい声してるけど、誰か口説いたりしないの?」 \キャー/ \キキターイ/ 意外、それはなかいからの援護射撃 なかい「(とっととくっつきゃいいんだよ)」フンッ ここにもまた、ツンデレが一人 京太郎「え? いや、うーん……あいにくと今までモテたことなくて」 一同「ファッ!?」 京太郎「あれ? 俺って声もいいんですか!?」キラキラ 一同「(こ、こいつは……)」 鈍感とか、そういう問題じゃない 京太郎「よーし! これからは声も売りにしていくぞ!」イェーイ ただ純粋に…… 一同「(子供だ!)」デーン 京太郎「いつか共演できたらいいな、和!」 和「もうっ……//」 のどっち親衛隊「あぁ~癒されるぅ~^^」ホワー 須賀京太郎、天然タラシぶりを露呈 こちらはこちらで、深刻な事態なのだが……京太郎は未だ気づいていない 大御所達「若いっていいねぇ」ホッコリ 100 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/23(水) 00 55 07.38 ID GHq8OauHo [5/7] ~そんなこんなで~ なかい「それではありがとうございましたー」 大御所達「はーい」 \CMハイリマース/ ワイワイ ガヤガヤ 京太郎「よし、結構目立ったな!」グッ 和「……」コクコクッ スタッフ「須賀さーん、次のコーナーの準備をお願いしまーす!」 京太郎「おっと、行かなくちゃ」 和「あっ、須賀君!」 京太郎「ん?」 和「あの、ありがとうございました」ペコリ 京太郎「え? 何が?」 和「その……助けてくれた上に励ましてくれて」モジモジ 京太郎「はぁ? 何言ってんだ?」 和「え?」 京太郎「俺達は仲間だろ」 和「!!」 京太郎「助け合うのは当たりまえだ。これからもずっとな」ニィッ 和「っ~~!!」ボムッ 京太郎「じゃあ、また後でな!」タタタッ 和「はいぃ……」フラフラ こうして、のどっちのテレビデビューは幕を下ろした そして…… タモ「うーん、あれ? さっきまでの記憶が無いなぁ」テクテク なかい「(タモさんがちっちゃくなってる!?)」ガビーン タモ「次はテレフォンショッ○ングだっけ?」 次は、京太郎自身の戦いとなる 110 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/23(水) 01 07 48.51 ID GHq8OauHo [6/7] タモ「それでは今回が初となる、須賀京太郎君でーす」 \キャー!/ \スガクゥーン!/ 京太郎「どーも初めまして!」ペコリ \ワー!/ \スガキュゥゥゥーン/ 京太郎「いずれトップアイドルになる男、須賀京太郎です!」デーン 果たして、京太郎の運命はいかに!? そして……! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ 【絶対に】須賀京太郎を応援する雀士達part100【許さない】 京太郎ファンの反応とは!? さらに…… 淡「……」ブツブツブツブツブツブツ 竜華「……」フラフラッ なんか危なそうな二人の動向はいかに!? 次回に続く 172 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/25(金) 22 52 55.69 ID V/FvoJSbo [2/5] 【ア○タ いい○もスタジオ】 ~~~♪ タモ「こんにちわ」 \コンニチワ!/ タモ「台風が近づいてますね」 \ソーデスネ!/ タモ「でも逸れちゃったからよかったよ、ホント」 \ソーデスネ!/ タモ「ところで、好きなホラー映画は?」 \SAWデスネ!/ タモ「個人的には1しか認めないです」 \エーッ!?/ タモ「それでは今回が初となる、須賀京太郎君でーす」 京太郎「……」スタスタ \キャー!/ \スガクゥーン!/ 京太郎「どーも初めまして!」ペコリ \ワー!/ \スガキュゥゥゥーン/ 京太郎「いずれトップアイドルになる男、須賀京太郎です!」デーン \ハァァァン/ \ヌレルッ!!/ \ッェーイ!/ 173 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/25(金) 23 18 30.79 ID V/FvoJSbo [3/5] タモ「いやぁ、さっきぶり? だね」 京太郎「は、はいっ!」 タモ「緊張してるねー、髪切った?」 京太郎「実はちょっとだけ」 タモ「いいねぇ、似合ってるよ」 \カッコイー!/ \ニアッテルー/ 京太郎「ど、どうも」ペコリ タモ「咏ちゃんからの紹介だっけ? ドラマの共演?」 京太郎「はいっ!」スッ タモ「お、ポスター。あ、貼っておいて」 ひのちゃま「はーい」 てらしー「なんで俺が……」ペタペタ タモ「この真ん中が須賀君だよね、カッコいい」 京太郎「いやいや、そんな」テヘヘ \スガクーン/ \キャー/ タモ「ドラマ初主演でしょ? 緊張しなかった?」 京太郎「滅茶苦茶緊張しました」 タモ「初ドラマで初主演なんて、運がいいんだか悪いんだか分からないね」 京太郎「あははっ」 タモ「じゃあちょっと花を見てみよっか」 京太郎「はいっ」 タモ「えーっと……凄いね。色んな人から来てるよ」 京太郎「!」 タモ「まず、共演者の咏ちゃんとルル君と……あれ、この隅のちっちゃいのは?」 京太郎「あー、恐らく羅刹さんだと思います」 \アマトー!/ \ドウテーイ/ \ドドドドウテイチャウワ!/ タモ「鬼ヶ島君? 彼らしいねー」クスクス 京太郎「すっごく優しいです」 タモ「本当?」 京太郎「不器用ですけどね」ウンウン \アマ×スガキタァァァ!!/ \ピヨォォォォオ!/ タモ「ほかには……お、こんな人からも来てるね」 京太郎「あっ!」 選択安価↓ 3 1 すこやん 2 はやりん 3 ビッグスターバブル 4 自由安価(好きな人の名前) あまりにそぐわない場合を除いて、誰でも可 180 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/25(金) 23 33 05.25 ID V/FvoJSbo [4/5] タモ「凄い大きいねぇ。牌のおねえさんから」 \エー!?/ 京太郎「瑞原プロ!!」 タモ「凄いね、どんな関係なの?」 京太郎「色々とレッスン見て貰ってるんです」 \スゴーイ!/ タモ「あの瑞原プロに?」 京太郎「凄く教え上手でビックリしました」 タモ「それじゃあ、今回の役を勝ち取れたのも瑞原プロのお陰かな?」 京太郎「……」 選択安価↓3 1 京太郎「はいっ! そうです!」ニコッ 2 京太郎「いえ、実は事務所の先輩達が……」ポリポリ 3 京太郎「自分の力です」ドヤァァッ 4 京太郎「支えてくれた仲間のお陰です」パァァ 187 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/25(金) 23 58 54.08 ID V/FvoJSbo [5/5] 京太郎「勿論、それもあるんですけど」 タモ「へー、他にも?」 \キキターイ/ 京太郎「俺がデビューして、ここまでこれたのは本当に運がよかったってのもあるんですけど」 タモ「……」 京太郎「やっぱり、支えてくれた仲間のお陰です」パァァァ \キューン/ \マ、タショウハネ?/ タモ「仲間?」 京太郎「去年、麻雀の全国大会で優勝した清澄高校ってあるじゃないですか」 タモ「うんうん、さっきの原村さん達が優勝したんだよね」 京太郎「実は俺も清澄高校の麻雀部だったんですよ、ついこの間まで」 タモ「本当に?」 \スゴーイ!/ タモ「じゃあ、麻雀も強いの?」 京太郎「いや、全然弱いです。県予選初戦敗退」ブンブン \エー!?/ 京太郎「強いみんなと違って、俺だけが弱くて迷惑ばっかりかけてたんですけど……」 タモ「……」 京太郎「でも、そんな俺をずっと支えてくれて、見守ってくれて」ウルウル \ナカナイデー/ 京太郎「泣いてないっす、ないっす」ゴシゴシ \カワイイー/ タモ「いい仲間を持ったんだね」 京太郎「今でも最高の友人です!」 ユウジンデス ユウジンデス ユウジンデス…… 【舞台袖】 / , ヽ/ \ / | / / } 「.| ト、/ ‐-- / | >!ノ_ / ', ,' \ ! _//| \ 〉 ', . 7 ̄ ィ .} \/. ! ,' ∠ィ、 | | }/ // リ . | / \_| |/^リ/// / . | / | | ////, .', ,,,_ 〃 | ! ̄ /ト、 ̄´ ', . / / | ! ; \ ヽ / ./ .| | / || \ / / | i| | / || \/\ / / /! i|゙ |′ || .リ / / //! . i|. | || /__./ / //=! . .|. | 和「」ガタガタガタガタガタガタ なかい「まぁ、頑張れよ」ポン 194 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 00 31 21.51 ID IavbqR2Ho [1/13] タモ「そう言えばドラマは音楽関係だったよね」 京太郎「はい、そうです」 タモ「吹奏楽? どういう楽器担当してるの?」 京太郎「指揮者です。しかも素人なんですよ」 タモ「へー? 実際に指揮棒を振ってるの?」 京太郎「振ってるんです」 \スゴーイ/ 京太郎「とは言っても、監督の意向でレッスンはそんなに受けてないんです」 \エーッ?/ タモ「そんなので大丈夫なの?」 京太郎「ドラマのキャラクターと一緒に成長するってスタンスなんですけど、楽しいですよ」ニコニコ タモ「へぇ」 京太郎「だから当面の目標はトップアイドルと、立派な指揮者ですね」 \ナレルヨー!/ \キットナレルナレル!/ 京太郎「ありがとうございます」ペコリ タモ「須賀君がどんな風に成長するか、ドラマと一緒に見てみたいね」 京太郎「是非見てくださいよー!」 \キャー!/ \ミマスゥー!/ だいちゅう「タモさーん、少し押してまーす」ボソボソ タモ「それじゃあ、そろそろ100分の1アンケートに行きましょう」 京太郎「よし! ストラップ! ストラップ!!」 タモ「おっ、いい意気込みだねー」 京太郎「むちゃくちゃ欲しいんです!」キラキラ タモ「嬉しいねぇ、昨日の咏ちゃんにも言ってあげてよ」 京太郎「あの人はセンス無いんですよ。あ、扇子は持ってますけどねぃ」ドヤァァ \……/ \オ、オウ/ 京太郎「え?」 タモ「え?」 195 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 00 34 16.01 ID IavbqR2Ho [2/13] 【某所】 ,.ヘ /. \ /. /.\ /... / ,、\ /... /. ,、\ / /. ,、\ / / /__./_/`| / / ゝ\ * //. / ゝ \ / / / + ゝ \ / /.. /. / /..゙\ /, ' / /.../ヽ /\ // / /. ゝ\ / / / + / ゝ \ / / + */ / + ゝ \ / / / / ヾ \ / |. / / | | | | / ´ ̄ ̄ / . 、 || | | /. / /. \ | | | | + / / ヽ ハ | | | / /| | 、 ! ( } || | ′ 斗匕 ! ` ー-| i ∨ | | | i /===ヘ. |r==弋 乂爪 i * ∨ | | | + l Ⅳ/ Ⅵ/ `ーl | ` | / | | | | }込////ノ込////少リ 川. || | | * | { 三 ̄ =ニ三 / ./ リ + | | | | 〉 廴_ -=====- / /イ{_. ハ | | | + ∧ i 「 / ./ | ( } || | /. / \ ヽ ミ==彡 / / 八 /... | | | / ∧ ヽ Y イ / / へ * / ∨ | | | / /ヽ \__ Ⅵ | ./ -=≦く / 〉 /..... / | | | /. / \ /⌒ヽ/⌒ヽV _/ \{ / /.. | | | | /. | / 〃 ∨ /\ \{. / く | | | | /. L { {{ 〉●}_ >=- } / + | | | | / 丁¨¨¨\ 辷才 イ / |....../ ハ | | | / + | / > ./ /\{ _ ∧ }../ ( } || |/ 八 ∧__ >=く _.ノ\/ / / * ∨ | | | * 〈 ∧ @ ) } 「@ / ̄ヽ / l l| ∨ | | | j/ / ` ̄ 入  ̄ ̄ 〉 / j l| / | | | 〃〈. ____ ____.. / { l| + | | | | ∧ / ̄ ̄/ ̄ ̄  ̄廴_____| く | | | /\ / /. ./\ . /{ 廴 / .′ \ 丶\ | | | / /. ./. ./. . . _}〈 | / `゙/_ ゚ } ’. r'´. . l/\ | /\〈 / !,ン'´ /\ . . . 〈 j . /゚ ̄ ̄ ∨ ハ .... ゚..... /\/ / /\ | ゝ|/ | / ヽ. j≧ヘ..′ ゚ ...... / 廴___{// | 〉 l./ 〉 )} 203 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 01 01 27.22 ID IavbqR2Ho [3/13] タモ「咏ちゃんに続いて獲得出来るかな?」」 京太郎「頑張ります!」 タモ「どんな質問を考えてきたの?」 京太郎「ドラマに関係することにしようかなーって思ってます」 タモ「おっ、熱心だねー」 京太郎「なんとしてでもストラップをゲットして帰ります」 タモ「それでは質問をどうぞ」 京太郎「えーっと、質問はですね」 さて、何にしようかな? 張り切って色々と考えてきたからなぁ…… まぁ、なるようになるだろ! 京太郎「よし! では行きます!」 選択安価 ↓5 1 ソルキャ一話を見なかった人 2 吹奏楽で指揮をしたことがある 3 ドラマを見て泣いてくれた人 4 自由安価 (あまりに度を越したもの以外は大抵拾います) 209 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 01 11 18.59 ID IavbqR2Ho [4/13] 京太郎「ソルサキの一話を、見なかった人!」 \エー!?/ 京太郎「どうですかね?」 タモ「うーん、結構いるんじゃない?」 京太郎「個人的には一人もいて欲しくないんですけど」ウーン タモ「制限つけてみたら?」 京太郎「そうですね。じゃあ、ほんのちょっとでもテレビに映した人はダメってことで: \イナイヨー/ \ムリダヨー!/ 京太郎「やるぞー!」 タモ「では早速試してみましょうか」 京太郎「……」 タモ「ほんのちょっとでもソルサキ一話を見なかった人……スイッチオン」 ~~~♪ 京太郎「……」ドキドキドキ テレテレテンッ! 京太郎「!!」 コンマ安価 ↓3 ゾロ目で01 or ゾロ目で達成 それ以外の数字=そのままの人数 217 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 01 26 55.67 ID IavbqR2Ho [5/13] テレテレテンッ! 掲示板「39」 \エーッ!?/ 京太郎「」ガビーン タモ「あらまぁ」 京太郎「い、意外に見てる人いないんですね」ヒクヒク タモ「裏番組が強かったそうじゃない?」 京太郎「倍返しだ……」ブツブツ タモ「視聴率15%でも十分すごいよ」 \スゴーイ/ \ゲンキダシテー!/ 京太郎「でも、見なかった人が85%いるってことですよね」 テモ「え?」 京太郎「それが、すっげぇ悔しいんですっ!!」 タモ「?」 京太郎「あんなにいいドラマなのに、見ないなんて絶対勿体無いですから」 タモ「言うねぇ」 京太郎「だから……これからもっともっと頑張ります!」 タモ「!」 京太郎「この悔しさは絶対に返しますからね!」 \ンアー!/ \ナノー!/ \ウッウー!/ タモ「こりゃ楽しみだぁ」フフフ 京太郎「あ、それともう一ついいですか?」 タモ「?」 京太郎「このアンケート、もう一回やっていいですか?」 タモ「え?」 京太郎「ストラップはいらないので、もう一度だけ! お願いします!」 \ヤラセテホシイゾー/ \アラアラー/ 221 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 01 31 34.66 ID IavbqR2Ho [6/13] タモ「しょうがないなぁ。ストラップ無しだよ」 京太郎「ありがとうございます!」ペコリ タモ「それで、何を聞きたいの?」 京太郎「それはですね」 このまま帰るにはちょっと勿体無いよな? それなら……! 京太郎「昨日のナンジャを見なかった人!」 タモ「!」 和「!!」ドキッ 京太郎「ダメ、ですか?」 タモ「いいんじゃないかな? でも仲間想いだねぇ」 京太郎「へへっ」 タモ「それでは、昨日のナンジャを見なかった人! スイッチオン」 テレテレテ-レー テレテレテーレー テレテレテーレーレー テレテレテンッ! コンマ安価 ↓3 ゾロ目で01 or ゾロ目で達成 それ以外の数字はそのままの人数 233 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 01 40 11.84 ID IavbqR2Ho [7/13] 掲示板「68」 \エー?/ 京太郎「」 タモ「あっ」 和「」 タモ「あ、まぁ、その……」 京太郎「」 タモ「未婚の若い女性が多いからね、しょうがないよ」 京太郎「いやいや! みましょう! すっごい面白いですから!」 \ミルヨー!/ \ゼッタイミルカラー!/ 京太郎「約束ですからね!」 \ハーイ!/ \ミルカラケッコンシテー!/ タモ「えーっと、それじゃあお友達紹介を」 \エー!?/ \スガクーン!/ 京太郎「あ、はい。そうですね」ションボリ タモ「じゃあ誰を紹介してくれるのかな?」 京太郎「あ、えっとですね」 選択安価↓3 1 ルル 2 あまとう 3 ちゃちゃのん 4 自由安価 (一般人以外なら誰でも ※ただし以下略) 241 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 01 53 41.60 ID IavbqR2Ho [8/13] 京太郎「同じドラマに共演してる人なんですけど……」 \キャー!!/ \ルル!? アマトウ!?/ 京太郎「佐々野いちごさんで」 \エ……?/ \ナゼオンナナンダ……?/ タモ「おー、こっちも新人だねー」 京太郎「現場ではすっごくお世話になってます」 タモ「高校生同士、話が合うんじゃない?」 京太郎「天使ですよ、天使。多分天界から降りてきたんだと思うんですけど(名推理)」 \エー!/ タモ「入れ込んでるねぇ」ハハハ 京太郎「あははっ、どうでしょう?」クスクス { ! ____ |ィ彡三ミヽ `ヽ ,.' ´ |彡'⌒ヾミヽ `ー {少′ / ,i l ト、 | ヾ、 Y ノ└ /// | l| | ハ| _ `ー―' イ ⌒ / | { | 从、| }|彡三ミミヽ { | l |ィ爪 {(リ八「ノ.|彡' ヾ、 _ノ.リ、_! l リィチfト '行| `ー ' l_,以 { ヒtリ ヒz| ,ィ彡三ニミヽ __ノ...「 l 「ト'" ' '|彡' ` ̄ } } ハ -=- | .___ノ ./ /,イ| |l>、 ,ィ| ,ィ彡' / /リ | ! !仏ィ_〕¨ . | 、/ミ三彡' /⌒/ / r廾 .|「{ |-、 __| | / ィ=- ' 〈 イ ∧V / . . |__´__(二つ/ ,ィ彡'. ..} } /`Y'| { . . . . .l /(二⊃―、 / /. /.j/ }`ー冫j\ . . | /. ト、二)彡' __,ノ ト ン′`ヾ >-r'< `ト-' \ なかい「映る映る!」グイグイ 京太郎「まぁ、冗談かどうかはドラマを見てもらえればわかりますよ」 タモ「おっ、うまいねぇ」 京太郎「タモさんもちゃんと見てくださいよ?」 タモ「分かった分かった」 247 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 02 14 35.27 ID IavbqR2Ho [9/13] 女子アナ「繋がりました」 京太郎「はいっ!」 いちご『もしもし』 京太郎「あ、お疲れ様です。須賀です」 いちご『あっ、須賀君』 京太郎「以前の収録はお世話になりました」 いちご『ううん。こっちこそありがとう』 京太郎「いやぁ」アハハ いちご『また今度もよろしくね』 京太郎「はい! それじゃあタモさんに代わります」スッ タモ「もしもし」 いちご『あ、はいっ!』ビクッ タモ「今、見ててくれた?」 いちご『勿論見てました』 京太郎「あっ」 タモ「天界から来たって本当?」フフフ いちご『うぇっ!?』 京太郎「」 ~そしてなんやかんやで~ タモ「それじゃあ明日、来てくれるかな?」 いちご『いいともー!』 タモ「はい、それじゃあ」 ブツッ タモ「須賀君、今日は楽しかったよ」 京太郎「いやいや、恥ずかしいところを」ポリポリ タモ「ドラマ、これから大変だろうけど頑張ってね」 京太郎「勿論です!」 タモ「では、トップアイドルになる男、須賀京太郎君でした」 京太郎「ありがとうございましたー!」 ~~♪ CMハイリマース! 251 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 02 24 08.11 ID IavbqR2Ho [10/13] 【舞台袖】 京太郎「ふぅーっ、疲れたぁー」グッタリ 煌「お疲れ様でした」つドリンク 京太郎「ありがとうございます」ゴクゴク 煌「トークばっちりでしたよ」フフフ 京太郎「そうですか? 全然記憶に無いです」 煌「家に帰ったら録画したものを見ましょう」 京太郎「緊張するなぁ」 タタタッ 和「須賀君っ!」 京太郎「あ、和。すまん!」ペコリ 和「え?」 京太郎「さっきはその、余計な事しちまった」ポリポリ 和「いえ、それはいいんですが。でも、なぜあんな事を?」 京太郎「……」 和「もしかして、売り込みのつもりで?」 京太郎「それもあるんだけど……えと」ポリポリ ヽ./ , ヽ ヽ冫 | / / /」 /} }゙`「丁ヽハ ! ! ! }-ィ |_,'_,,|-‐''/ / / .} /.| | | /. } | | . リ !.|. ト.、 ,. ──‐、 ト、 ィ゙ | |\/ //. / / ! !/!/ !从 /| .| !∧冫 //´ ̄ ̄ヽ', |人小|ヽ !.ィ爪沁ヽ. /./ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′ U } } l ヾ |/{ ⊂. ′ ´ ! ィ./ ト,ムノ ! , ,' ' γ⌒ⅵヽ弋二;;ノ ゝ-.″ | } | //', { ` 、 レ′ !. ◯ ◯ ◯ { !..',\ ノ ! U | `ー´\ ,. , / ! ! ! ! |. ` 、 ./| . ! ! ! ! ◯ | }` .. __ , イ | | | | | | } ィ‐┤. ├ .、| | | | | { 京太郎「もし成功してたらタモさんに頼んで、お前に……ストラップあげられるかなって」プイッ 和「っ!?」 煌「……」ニマニマ 京太郎「悪い、忘れてくれ」ブンブン 和「いえ……//」モジモジ なかい「爆発しろ」 256 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 02 35 55.84 ID IavbqR2Ho [11/13] 京太郎「そういえば……腹減ったなぁ」グーギュルルル 煌「あれ、ロケ弁食べてないんですか?」 京太郎「緊張して喉を通りませんでした」 煌「ふふっ、こんな事もあろうかと用意してます」 重箱「」デデドンッ! 京太郎「うぉぉぉ!!」 和「……」ゴクッ 煌「たくさんありますから、みんなで食べましょう」 京太郎「たくさんって、三人分ってレベルじゃ……」 煌「大丈夫ですよ、ね?」 透華「勿論ですわ!」デーン ひのちゃま「やっほー」 てらしー「けっ」 だいちゅう「うわー。美味しそうだねー」 京太郎「なんかいっぱいいるぅぅぅ!?」 菫「私もいるんだが」 コージー「あ、僕もいます」 京太郎「タモさんが増えた!?」 和「皆さん、いつからここに!?」 透華「(生ののどっち……)」ウーン ハギヨシ「さぁ、皆さん。こちらです」 京太郎「ハギヨシさんまで!」 ハギヨシ「お久しぶりですね京太郎君」フフ 京太郎「いえ、こちらこそ。会いたかったんですよ!」 ハギヨシ「んっふ、困ったものです」 歩「」ハナジダラダラダラダラ 煌「あの、この真顔で鼻血を垂れ流しているのは?」 透華「気にしないで欲しいですわ」 257 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/10/26(土) 02 58 20.23 ID IavbqR2Ho [12/13] こうして、須賀京太郎のトーク番組デビューは幕を下ろした 初トーク番組がいい○もなのは、運がいいのか悪いのか いずれにせよ、須賀京太郎という存在が徐々に有名になっていることは間違い無いことだ 今回で須賀京太郎は、お茶の間の主婦、のどっち経由のヲタク達にも名を知られることとなる それが今後の彼の活動にどう影響するかは…… まだ、誰も知らない 京太郎「うまうま」モグモグ 煌「おかわりもありますよ」 京太郎「はいっ!」キラキラ そして、京太郎のファンは…… 智美「……」 淡「……」 京太郎を理解しようと試みる少女は―― 竜華「……」 何を思うのか いい○も デビュー編 カンッ!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6327.html
京太郎「いらっしゃい」 竜華(おおっ、なんやこの子すっごいかっこいいやん) 竜華(見せてもらった写真もなかなかやったけど本物はもっとすごいわ) 竜華「はじめまして、うちは清水谷竜華。よろしくな」 京太郎「はい、よろしくお願いします――」 京太郎「よろしくお願いします」 竜華「あはは、そんな気い使わんでええよ」 京太郎「じゃあ、よろしく竜華姉」 竜華「うんうん。それじゃうちは何て呼ぼっかな……」 竜華「そうやなぁ……じゃあ、京太郎くんで!」 京太郎「オーケー」 竜華「それで、午前中は何するん?」 【午前】 京太郎「竜華姉はいくつなんだっけ」 竜華「んー、今年で高3やで」 京太郎「なら俺と2つ違いかぁ」 竜華「そうやなー」 京太郎「へへ」 竜華「急に笑ってどうしたん?」 京太郎「いや、ずっと一人っ子でお姉さんとか憧れてたからさ。こんな理想の姉が家族になると思ったら嬉しくって」 竜華「理想の姉って、お世辞言っても何も出えへんで」 京太郎「お世辞じゃないよ、こんな綺麗で優しそうな姉さん。ずっと欲しかったんだから」 竜華「そ、そうなんや……」 なんやろ。 京太郎くんの笑顔見とると胸がキュンって……。 綺麗で優しそう、かぁ。 何でこんな嬉しいんやろ。 何でこんなに……。 うち、もしかして京太郎くんに……。 京太郎「竜華姉?」 竜華「ごめんな、ちょっと考え事」 京太郎「そっか」 竜華「そ、そうや!午後はどうする?」 【午後】 京太郎「何処か出かけようか」 竜華「お、ええな」 京太郎「それじゃ支度してくる」 竜華「うちもー」 京太郎「やって来ました映画館」 竜華「おおー」 京太郎「竜華姉は何が見たい?」 竜華「うちが選んでええの?」 京太郎「もちろん」 竜華「じゃあ、これ!」 竜華姉が選んだのは今話題の恋愛物の映画だった。 女子高生らしい映画選び、普段一緒に行く野郎どもとは絶対見ないジャンルだから少し楽しみだ。 それに……。 竜華「ま、まるでデートみたいやな!なーんて」 竜華姉がそんなこと言うからちょっとドキドキする。 それに言った竜華姉自身が真っ赤になってて可愛い。 二人で隣に座りポップコーンを片手に映画を見ているといよいよクライマックスに突入し感動のキスシーンが流れる。 ちらりと隣を伺うと向こうもこちらを見ていたらしくばっちりと目が合ってしまう。 竜華姉はすぐに視線を逸らしたけど顔が真っ赤になっているのは映画館の中でもわかった。 目と目が合う瞬間……なんて、まさかね。 竜華「え、映画良かったな」 京太郎「そうだね、最後のシーンとか結構感動した」 竜華「あー!そ、そうやな!」 二人並んで歩く夕暮れの帰り道。竜華姉はどこかぎこちなく、映画館を出てから俺をなかなか見ようとしない。 うーむ……。 【夜】 京太郎「ご飯、外で食べて行こうよ」 竜華「ん、そうやな」 京太郎「俺美味しい店知ってるんだ」 竜華「じゃあ京太郎くんに案内してもらおかな」 竜華「うん、美味しい」 京太郎「でしょ?」 竜華「京太郎くんの食べてるそれも美味しそうやな」 京太郎「一口食べる?」 竜華「ええの?」 京太郎「良いよ、その代わり竜華姉のも一口食べさせてよ」 竜華「よーし、わかった」 京太郎「じゃ、あーん」 竜華「へっ?」 京太郎「ん?食べないの?」 竜華「も、貰うわ。あーん……うん」 京太郎「どう?」 竜華(京太郎くんとか、かか間接キス……) 京太郎「竜華姉?おーい?」 竜華(やばい、なんやこれっ。別にあーんなんていつも怜としとるのにっ、全然ちゃうっ!) 京太郎「竜華姉ー!?……ダメだ、反応が無い」 竜華「ふぅ、お腹いっぱいや」 京太郎「はは、まあ結構量多かったしね」 竜華「そう言えばうちはどこで寝ればええの?」 京太郎「それは……」 京太郎「一緒に寝よう」 竜華「い、一緒……」 京太郎「ダメかな?」 竜華「うちはええけど京太郎くんは大丈夫なん?」 京太郎「大丈夫も何も、一緒に寝るって姉弟って感じでちょっとしてみたいから」 竜華「そ、そっか」 京太郎「……本当に同じ布団でいいの?」 竜華「う、うん。わざわざ出すの面倒やし、うちは気にせえへんから」 京太郎「それならいいけど」 竜華「じゃあおやすみ」 京太郎「おやすみ竜華姉」 竜華(京太郎くんがこんな近くで……なんか、幸せや……) ……やわらかい。 目を覚ましてみるとその原因は竜華姉だった。 眠っている間に抱き枕にされがっちりとホールドされている。 そのおかげで柔らかなものがおもいっきりあたっている訳だが……。 【朝】 折角だ。このままもう一眠りしよう。 というわけで二度寝を決め込む。 ああ、温もりとやわらかさが堪らない……。それに、なんかすげーいい匂い。 目が覚めるともう起きたらしく布団の中に竜華姉の姿は無かった。 眠い目をこすりながら自室を出ると竜華姉とばったり出くわす。 俺の姿を見た竜華姉は頬を染めて逃げるように去って行った。 抱き枕にしたの、恥ずかしかったのかな。 そんな後ろ姿を見て可愛いと思ったのは内緒だ。 竜華「あ、あー……何しよか」 京太郎「ん、竜華姉は何がしたい?」 竜華「うちは……」 【午前】 竜華「また、京太郎くんとお出かけしたいなぁ」 京太郎「じゃあ出かけよう」 竜華「へ?」 京太郎「ほら、行くよ」 竜華「ちょっ、手え引っ張らんでっ」 竜華(って、京太郎くんの手……おっきいんやな……) 竜華「うぅ、何でこここんな露出の高い水着しか売ってへんの……」 京太郎「似合ってるし可愛いと思うけど」 竜華「か、かわっ……ってそういう問題やなくてっ」 どうやら売店には露出の高い水着しか売っていなかったらしい。 正確には竜華姉に合う水着がそういうものばかりだっただけかもしれないが。 そんな訳で今の竜華姉はビキニタイプの水着姿で恥ずかしがりながら胸元を腕で隠している。 ただその行為は胸元を強調するだけで逆効果だ。 まあ俺としてはおいしいから指摘はしないけど。 竜華「あ、あんまり見んといてっ」 竜華「いっぱい泳いでつっかれたあ」 最初は恥ずかしがっていた竜華姉だったけど途中からは慣れたのか吹っ切れたのか俺の数倍は遊んでいた。 まあ楽しそうだったし来て良かったな。 竜華「なあ、午後はどないするん?」 京太郎「んー」 京太郎「そうだな、竜華姉ちょっと目瞑ってくれる?」 竜華「ええけど、何かあるん?」 京太郎「それは目を開けてからのお楽しみってことで、ちょっと動かないでね」 竜華「うん」 竜華(わっ、耳元で京太郎くんの声が……すごい近くに居るのがわかるわ) 京太郎「よしっ」 竜華(なんやろ、すごいドキドキするわ) 京太郎「目、開けて良いよ」 竜華「ん……って、これ」 京太郎「竜華姉に俺からのプレゼント」 竜華「ネックレス?かわええ!」 京太郎「気に入ってくれた?」 竜華「当たり前や!はーっ、大事にするわ!」 京太郎「喜んでもらえたみたいで嬉しいよ」 竜華「プレゼントかぁ、ふふっ」 京太郎「大分暗くなってきたなぁ」 竜華「……ふふっ」 京太郎「そんなに嬉しかった?」 竜華「うん!」 京太郎「そっかそっか」 竜華「こんな可愛いプレゼントくれるなんて、ほんまだいすきやでっ!」 京太郎「ちょっ、抱きつかないでっ!?」 【夜】 京太郎「それじゃ俺風呂入ってくるね」 竜華「なあ京太郎くん」 京太郎「はい?」 竜華「一緒にお風呂、入らへん?」 京太郎「えっ?」 竜華「ダメ、やろか」 京太郎「流石にそれは俺がというより竜華姉が……」 竜華「うちは構わへん。むしろ一緒に入りたいんや」 京太郎「んなっ!?」 竜華「だって、うちは京太郎くんのこと好きやから」 竜華「だから一緒に居たい……ダメ、かな?」 京太郎「竜華姉……好きって……」 竜華「家族としても、異性としても……やで」 京太郎「……なら、一緒に入ろう」 竜華「ええの?」 京太郎「だって、好きな女の子にそんなこと言われたら断れる訳ないじゃん」 竜華「京太郎くん……だいすきやーっ!」 京太郎「おいおい、抱きつくなよ。お風呂入るんでしょ?」 竜華「抱きついたまま行くー」 京太郎「全く……まあ、良いけどさ」 そして俺たちは二人で湯船に浸かっている。 竜華姉が俺を後ろから抱きしめるようにして入っているので背中に胸、脇腹にふとももが触れている。 肌が触れ合わないよう離れようとは試みたが竜華姉が腕を回してしっかりと抱きしめて来るせいで離れることも出来ない。 まあこの体勢なら竜華姉の身体を見なくて済むし俺の大変なことになっている部分も見られないからちょうどいい。 そもそも湯船に浸かる前に竜華姉の身体を洗わさせられたおかげで理性が限界だ。 「あらって、おねがい」なんて言われたら断れるわけがない。 手のひらには竜華姉の白くて柔らかくてすべすべな肌の感触が残っているし竜華姉のスタイル抜群の裸体は脳裏に焼き付いてる、 と、こんなことを思い出したら本当に理性を失いそうだ。 雑念を払っていると耳元で竜華姉が囁く。 竜華「京太郎くん、だいすきやで」 ああもう、本当に可愛いなあこの人は。 風呂を上がり服を着てさも当然のことのように同じ布団に入る。 竜華姉の笑顔を見ていたら何も言う気になれないし、なんだかんだ言って俺もこの関係を気に入り始めている。 竜華「おやすみのチュー」 京太郎「はい?」 竜華「だーかーらー、おやすみのチュー……して?」 そう言いながら布団の中で俺の服を引っ張る竜華姉。 京太郎「仕方ないなぁ」 竜華「やたっ」 京太郎「ほら、目閉じて」 竜華「ん」 京太郎「大好きだよ、竜華姉。おやすみ」 そう告げて俺は竜華姉の唇に自分の唇を重ねた。 起きて最初に目に入ってくるのは竜華姉の寝顔だ。 さて……。 のっそりと起き上がって竜華姉の耳元に顔を近づける。 京太郎「竜華姉……いや、竜華」 竜華「……っ」 囁いた瞬間竜華姉の方がびくりと震える。 竜華姉、起きてるのバレバレだぞ……。 でもまあ面白そうだということで続けてみる。 京太郎「好きだ、愛してる」 京太郎「世界で一番可愛いよ、俺だけの竜華」 竜華(ふぁ……なんやこれ、耳が幸せや……んぁ……) 京太郎「そろそろいいか」 竜華(え?) 思いっきり表情が緩んだ竜華姉の寝顔も見れたところで起こすことにする。 息を吸って……。 ふーーっ っと竜華姉の耳に吹きかける。 竜華「ひうっ!?」 京太郎「はいおはよう竜華姉」 竜華「き、気付いてたん!?」 京太郎「だんだん頬が緩んでいく寝顔、可愛かったよ」 竜華「京太郎くんのあほっ!」 京太郎「ちょっ、叩かないで、ごめんてば」 竜華「ふんっ」 そんな幸せな三日間が終わってからしばらくしたある日、俺は結婚式に出ていた。 誰のかって?俺の母親のだよ。 これから俺の苗字は清水谷になる。 ぼーっとしていると後ろから誰かに抱きしめられた。 竜華「会いたかったで、京太郎くんっ」 京太郎「俺もだよ、竜華姉」 竜華「これからは、ずっと一緒やで」 京太郎「ああ!」 《清水谷竜華編 カンッ!》
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/889.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350989328/ 京太郎(この間ついに咲に告白したが・・・見事に振られてしまった・・・) 京太郎(咲曰わく麻雀の弱い男に興味はないと・・・) 京太郎(それ以来俺は裏麻雀の世界に入り、裏プロ達としのぎを削り) 京太郎(そして遂に咲ら能力者と渡り合える雀力を手に入れた・・・!) 京太郎「・・・という訳で、肩慣らしにまずお前だ」 玄「よろしくお願いします」 ガシャッ! 京太郎「・・・・ロン!」 玄「う・・・」 京太郎「直撃だ・・・」 穏乃「・・・・・」 穏乃(こいつ・・・玄の能力を完全に把握している・・・!) 穏乃(ドラが集まる玄の能力はクズ手が怪物手に化ける反面、手に制限が加わる・・・) 穏乃(まずドラが集まることで牌が重なり、平和手を作ることが難しくなる) 穏乃(更に赤ドラ・・・これが厄介) 穏乃(赤ドラがあるだけでチャンタ手は絶望的になり) 穏乃(更に3つの色が絡む為染め手も出来なくなる・・・!) 穏乃(・・・となれば必然、基本路線は断ヤオ三色が濃厚・・・) 穏乃(だが奴はそこで溢れるヤオ九牌をきっちり狙い打ってくる・・・!) 京太郎「さて・・・・それじゃ洗牌を・・・」 ガシャガシャガシャガシャ 穏乃(・・・だが手がないわけじゃない・・・飜牌だ・・・!) 穏乃(飜牌を使えば手作りの制限は無くなり、玄の能力をフルに活かせる) 穏乃(あるいは門前で揃えて立直・・・) 穏乃(そうだ・・・この程度で玄の能力が破れたりはしない・・・!) 玄「え、えっと・・・それじゃあドラ表示牌を・・・」 カシッ 玄「あ」 穏乃(う!・・・来た・・・!ドラ表示牌は中・・・つまりドラは白・・・!) 穏乃(絶好・・・!これでまず白ドラ3は確定的・・・!) そして配牌、玄、初っ端白を3つ持って来る・・・! 穏乃(完璧だ・・・!配牌から白ドラ3確定・・・!) 穏乃(ツモ次第じゃ跳ね満、倍満も見える上に待ちが読まれにくく直撃もあり得る) 穏乃(この局はもう貰ったも同然・・・ここから反撃・・・!) しかし9巡目・・・! 京太郎「ククク・・・・」 タンッ! 穏乃(なっ・・・打南!?しかもあの捨て牌は・・・!) 京太郎捨て牌:3p 8s 6s 4s 2m 2p 7m 5m 南 穏乃(くっ・・・何だ何だ何だ・・・!) 穏乃(何だその『国士無双かのような』捨て牌は・・・!) 穏乃(馬鹿げてる・・・今・・・お前に・・・そんな都合のいい手が来るか・・・!) 穏乃(あれはブラフ・・・十中八九ノーテン・・・!舐めるな・・・!) カシャッ 玄「・・・あ!」 穏乃(うっ・・・・!) 玄・・・4枚目のドラ白・・・! 穏乃(し、しまった・・・!4枚目・・・4枚目のドラっ白・・・!) 穏乃(通常ならば何も考えずにカンをすればいいだけ・・・!) 穏乃(新ドラもめくれますます玄の優位になるところ・・・だが・・・!) 穏乃(国士無双に限っては暗槓でも槍槓が成立する!!!) 穏乃(つまり玄はこの白をカンすることが出来ない・・・!) 穏乃(かと言って他と絡まない字牌の白が手の中に4枚ある限りテンパイは不可能・・・!) 穏乃(や、やられた・・・・!!!) 京太郎「ククク・・・」 玄「・・・・・!!」 穏乃(ダメだ玄・・・!相手の罠に惑わされるな・・・!) 穏乃(あの国士はブラフ・・・ブラフなんだ・・・!) 穏乃(奴は国士無双テンパイなんかじゃない・・・だからその白をカンするんだ・・・!) 玄「・・・・・!」 穏乃(玄・・・っ!どうしてカンしないんだ・・・!) 穏乃「・・・はっ!」 穏乃(そ、そうか・・・ここまでで奴が見せていた『ヤオ九牌狙い』!) 穏乃(あれは単に玄の能力の弱点を突いていただけでなく) 穏乃(玄の潜在意識の中に『ヤオ九牌に対する抵抗感』を植え付けていたんだ・・!) 穏乃(ここまでの間に奴に精神を削られていた今の玄にこの白はカン出来ない・・・) 穏乃(全ては・・・布石・・・・) 玄「・・・う、うう・・・」 結局、玄は4枚の白を手に抱えたまま進むことができず 15巡目に北家がメンタンピンを和了りこの局は終了した・・・ 穏乃(もう・・・終わりだ・・・玄の勝ちはもうない・・・) 穏乃(それは単にチャンスが来る可能性の問題ではなく、精神的にもうダメ・・・) 穏乃(今の局で奴に屈し、白をカン出来なかった時点で玄の勝ちは無くなった・・・) 穏乃(京太郎・・・悔しいが奴は玄よりずっと上の勝負師・・・!) ガシャッ! 京太郎「ツモ・・・断ヤオ ドラ1・・・決着だな」 玄「あう・・・・」 京太郎「まあお前程度の能力者ならこんなもんか」 玄「うぅ・・・・」 京太郎「よし・・・次の練習台は・・・・」 怜「・・・・・・・麻雀勝負・・・ですか・・・?」 序盤、流れを掴んだのは京太郎・・・東一局、二局と連続和了・・・! しかしそこから徐々に怜が巻き返す・・・! 怜「リーチ・・・」 京太郎「くっ・・・・!」 ガシャッ! 怜「ツモ、リーチ 一発 三色同順、満貫」 京太郎(きっちり一発・・・これが噂の1巡先を見る能力か・・・) 京太郎(やれやれ・・・とんだ化け物がいたもんだぜ・・・) ガシャガシャガシャ 京太郎配牌:259m37p4448s東南南南(ドラは1m) 京太郎(ほう、コイツは中々・・・) 京太郎(南場南家のところに南が初っ端から暗刻で入るとは・・・) 京太郎「・・・・・」 怜「・・・・・」 怜(あの表情・・・まずまずの手が来たっちゅう感じやな・・・) 京太郎「ふっ・・・」 3巡目、京太郎は更に南をツモ引き暗槓・・・! しかし新ドラ表示牌は西でドラは乗らず・・・ それでも確実に手を進めて行き、11巡目、京太郎テンパイ・・・! 京太郎:123m 444s 46s 88s/南南南南 京太郎(嵌5s待ち・・・待ちが薄いからすぐにリーチとは行けないが・・・) 京太郎(ともかくダブ南ドラ1のテンパイ・・・!) 怜「・・・・」 怜(この気配・・・イーシャンテン・・・?いや・・・テンパイか・・・?) 怜(念の為ここは能力を使って『見て』おこか・・・) キュイイイイイイン・・・・! 怜「・・・・っ!・・・・・・・!」 京太郎(・・・む?急に怜の呼吸が荒くなった・・・?) 怜「・・・・・っ」 タンッ! ここで怜、打8s・・・! 京太郎(っ!なに・・・8s切りだと!?) 京太郎(ずいぶん大胆な・・・奴から見て8sはそれなりに危険牌のハズ・・・) この時京太郎、この打8sに対しある違和感・・・! 京太郎(・・・恐らく奴は今・・・能力を使った・・・) 京太郎(でなければこの局面、ここまでの奴の戦い方からして・・・) 京太郎(もっと安全そうな牌を切っていていいはず・・・) 京太郎(つまり奴は8sが安全牌だと知っていたから切ったということ) 京太郎(問題はどうして安全と知ったか・・・) 京太郎(誰かが通すのを見たと言えば確かにもっともらしい理由だが・・・) 怜「・・・・っ」 京太郎(違う・・・!あの目はそんな逃げの打牌では無く攻めの打牌の目・・・!) 京太郎(つまり見たんだ・・・奴は俺の和了形を・・・見たから8sが安全だと知った) 京太郎(そして肝心なのはこの先・・・俺の和了形を見た上であえて8sを切る理由・・・) 京太郎(わざわざ際どい8sを切ったからこそ俺は奴が能力を使ったと気付いた・・・) 京太郎(それは奴にとってデメリットでしかない・・・) 京太郎(俺の和了形を知ってるなら他の怪しくない牌でも良かったはずなのに・・・) 京太郎(その理由は・・・?) 京太郎「・・・・・!」 京太郎(決まってる・・・!『防ぐ』為だ・・・俺の和了りを・・・!) 京太郎(恐らく誰かが5sを振り込んだのだ・・・!そしてその振り込みから奴は・・・) 京太郎(それをカンチャン整理によるものと読んだ・・・!) 京太郎(つまり57sとある所に8sを引き、両面待ちに移行した時にこぼれた5s・・・!) 京太郎(俺はそれをロンしたのだ・・・!) 京太郎(5sも8sも今の俺に対しては危険牌・・・だがどうせ同じ危険牌なら両面待ち・・・) 京太郎(ソイツはそう考えて5sを切った・・・だから怜は『先に』8sを切った・・・!) 京太郎(8sの方がより安全そうとなればカンチャンを維持するだろうと読んで・・・!) 怜「・・・・・っ」 京太郎(問題は上家と下家、どちらが振り込んだかだが・・・) 京太郎(上家はまだテンパイは遠い気配・・・今そこまで強気に来るとは思えない・・・) 京太郎(ならば下家か・・・!) 京太郎「・・・・・ククク」 京太郎(ということは逆に言えば・・・下家の手には今57sがあり) 京太郎(かつ次のツモは8sということ・・・!ならば・・・・!!) 京太郎「ポンっ!!」 怜「えっ!?」 京太郎・・・怜の切った8sをポン・・・!そして・・・! 京太郎「・・・・フッ」 タンッ! 入れ替え様に打6s・・・! 怜(なっ・・・テンパイを崩した・・・!?) 下家「っ!チー!!」 そして下家、京太郎の切った6sをすかさずチー・・・! 京太郎手牌:123m 444s 4s/888s 南南南南 怜「・・・・・・・・はっ!」 怜(そっ・・・そうか!『ツモ番』が・・・!) 怜(彼が私の捨て牌をポンし、彼の捨て牌を彼の下家がチー・・・) 怜(この結果、本来下家がツモるはずやった牌は彼のツモになる・・・つまり・・・!) 京太郎「・・・・カンっ!」 京太郎手配:123m 444s 4s/8888s 南南南南 京太郎、8sを加槓・・・!さらに・・・! 京太郎「もう1個・・・・・・・カンっ!」 手中の4sもカン・・・!リンシャン牌をツモり・・・ 京太郎・・・三槓子・・・! しかもこの時めくれた2枚の新ドラの内1枚がカンに丸々乗り・・・ 京太郎・・・ダブ南 三槓子 ドラ5!倍満単騎待ち・・・! 怜(ウ・・・ウソや・・・!こないな麻雀・・・!) 怜(くっ・・・何待ちなのか読めへん・・・!予知に逆らったから能力も使えへんし・・・) 怜(・・・こ・・・ここなら・・・) タンッ 京太郎「ククク・・・・残念、当たりだ」 ガシャッ! 怜、倍満直撃・・・・・!! 怜「あ・・・ああ・・・」 その後、怜に巻き返すだけの力は残っておらず・・・ 京太郎・・・そのまま首位をキープしオーラスを締める・・・! 竜華(コイツ・・・怜の能力を逆に利用しはった・・・!) 竜華(でなければあのテンパイ崩しの8sポンの説明がつかへん・・・) 竜華(せやけどコイツ・・・あの6s切りで振り込んどったかも知れんのに・・・・) 竜華(何ちゅう勝負師や・・・自分の勘を信じ抜ける男・・・!!) 竜華(麻雀以上の部分でも怜は負けとった・・・!) 京太郎「まあまあかな・・・」 怜「うう・・・」 京太郎「さて・・・準備運動はこんなもんで十分・・・次は・・・!」 咲「・・・・・・」 京太郎「・・・いよいよ本命といくか・・・・!」 咲「京ちゃん本気?死ぬよ・・・」 咲「ツモ、中 ドラ2」 京太郎「ぐっ・・・」 久「流石咲ね・・・須賀くんも大分レベルアップしたみたいだけど寄せ付けていない・・・」 久(・・・咲の嶺上開花を阻止するには頭ハネか槍槓しかない・・・) 久(しかし咲はその気配を敏感に感じ取り普通の和了に切り替えている・・・) 久(特にあの『見せポン』・・・!あえてポンをして後の加槓を臭わせておいて) 久(4枚目はキッチリ別の面子で使い切る・・・なんていやらしい戦い方・・・!) 久(更に他家が咲のカンを警戒し生牌を出し渋っていると見るや) 久(場に見えている牌に狙いを合わせる冷酷さ・・・!) 久(恐ろしい子・・・今の咲は魔王そのもの・・・!) 京太郎「くっ・・・・!」 咲「ふふふ・・・・麻雀って・・・・楽しいよねぇ・・・?」 京太郎「・・・・っ!」 京太郎(・・・咲の嶺上開花を警戒した時・・・巡を追う毎に生牌は切り難くなる・・・) 京太郎(それでも生牌を切るとしたら、それはそれしか牌がないか) 京太郎(対子・・・2枚以上、手の中で重なった時・・・!) 京太郎(なら、そこに狙いを合わせて・・・!) 下家「・・・・っ!!」 タンッ! 京太郎「・・・っ!!ロ・・・」 咲「ロンっ!」 ガシャッ!!! 京太郎「ぐっ!!」 咲「ゴメンねぇ京ちゃん、頭ハネしちゃったぁ」 京太郎「・・・・・っ!!」 京太郎(咲も当然そこは『把握済み』ってわけか・・・!) 京太郎(くそっ・・・何か突破口はないのか・・・!) 咲「カンっ」 京太郎「・・・はっ!しまった!」 咲「もう1個カン、もう1個カン」 ガシャッ!! 咲「ツモ・・・嶺上開花 三槓子 ドラ2、満貫」 咲和了:3m 678p/7777m 3333s 西西西西 ←3m 京太郎「・・・・っ・・・・!」 咲「ゴメンねぇ京ちゃん、また和了っちゃったぁ」 久(ここに来ての能力発動・・・勝負あったかしら・・・) 久(次局から南入だし、咲と須賀くんの点差は21500点・・・) 久(やはり非・能力者では咲には・・・) 京太郎「・・・・・」 南一局 8巡目 カシッ 京太郎7m引き・・・・! 京太郎「・・・・・・・・・・・オープンは」 久「・・・・え?」 京太郎「この勝負・・・・・・・・『オープン』はいいのかな・・・?」 久「・・・・っ!!え・・・ええ・・・認めてるわ・・・!」 京太郎「そいつは良かった・・・それじゃ遠慮なく・・・」 ガシャッ! 京太郎「・・・・オープンリーチ・・・・!!」 京太郎牌姿: 55667m 123p 99p 678s 咲「・・・・・・」 久(ほ、本当にした・・・オープンリーチ・・・!しかしこれに何の意味が・・・!?) 下家「・・・・っ」 タンッ これを受けて下家、9p切り・・・! 続いて咲が1p、上家が6sを切る・・・! 久(須賀くんの牌姿を見た途端皆が生牌切り・・・!) 久(確かに咲のカンを警戒して生牌が切り難かった所に須賀くんのオープン・・・) 久(あのオープンにより須賀くんの手牌でのカンは無くなったのだから) 久(ここぞとばかりに切るのは当然と言えば当然・・・) 久(そういうことなの?須賀くんの狙いは他家に安牌を提供して時間稼ぎ・・・??) 京太郎「ふふ・・・・・」 久(違う・・・そうじゃない・・・あの表情はもっと別な何か・・・!!) 京太郎「ククク・・・悪いな咲・・・・」 咲「え・・・?」 ガシャッ!!! 京太郎「ツモ・・・一発だ・・・!!」 京太郎和了:55667m 123p 99p 678s ←7m 久(なっ!?一発ツモ・・・!?) 咲「・・・・っ!!」 京太郎「オープン ツモ 一発 平和 一盃口で・・・ハネ満だ・・・!」 久(き、起死回生のハネ満ツモ・・・!オープンにしたことが見事に生きた・・・!) 久(しかも今、親は咲・・・親っかぶり・・・!) 久(しかし・・・これは本当にただの偶然なの・・・?それとも・・・・) 久「・・・はっ!」 久(須賀くんの和了牌・・・あれは7m!!) 久(そう言えばリーチ直前のツモも7mだった・・・!) 久「そ、そうか・・・・前局の咲のカンっ・・・・!」 京太郎「ふっ・・・」 久(前局、咲が三槓子をした時にカンした牌は7m、3s、西の3つ・・・!) 久(同じ牌を4つも固める槓子なら洗牌しても完全にはバラけないだろうと賭けて・・・) 久(一か八かの勝負に出たのね・・・!須賀くん・・・!) 咲「・・・・・ふ~ん、そういうことしちゃうんだ京ちゃん・・・」 咲「でも詰めが甘いなぁ・・・その戦法、オーラス逆転手でやるべきだったのにぃ・・・」 久(・・・そう・・咲の言う通り・・・) 久(確かに一矢報いたけれどこれは虚を突いただけにすぎない・・・) 久(そもそもこの戦法は確率的にも危ういものだった・・・毎回成功するものじゃない) 久(所詮は一撃限りの代物・・・それでも結局まだ逆転すらしていない・・・) 久(勝負を焦ってしまったわね・・・須賀くん・・・!) その後は久の予想通り再び咲のペース・・・! 南二局、南三局と難なく連続和了し、いよいよオーラス・・・! 久(やはりダメだったか・・・) 久(あの一撃で一度は詰め寄ったかに見えたけど・・・結局また離され) 久(このオーラスで12500差・・・厳しくなった・・・須賀くんはもう・・・・!!) 咲「・・・さてと、さっさと終わらせよっかなぁ・・・」 京太郎「・・・・っ!」 咲「ふふふふふ・・・・」 京太郎(・・・・・・・・・・・・・・ここだ) 京太郎(俺が逆転出来るとしたらこのタイミングしかねぇ・・・!) 咲「ふふふ・・・・・・」 京太郎(咲・・・お前はきっとまだ気づいてないんだろう・・・?) 京太郎(お前はきっとまだ・・・・・・) 京太郎(あのオープンが『和了る為だけのオープンだったと思ってる』んだろう・・・!?) 京太郎(だがな咲・・・お前はあの時、点棒よりも大事なものを失ってたんだぜ・・・!) 京太郎(俺がオープンをした時、下家と上家はそれまで生牌だった牌を切った) 京太郎(当然さ、カンを警戒して切れなかった牌が俺のオープンで切れる様になったんだ) 京太郎(だけどよ・・・・・・・何故お前まで1pを切ったんだ・・・!?) 京太郎(あの時あの1pも生牌だった・・・!) 京太郎(何故お前まで俺のオープンを見た途端に1pを・・・!?) 京太郎(咲・・・お前あの時・・・1pを『暗刻で』持ってたんじゃないのか・・・!?) 京太郎(暗刻で持って・・・嶺上開花を狙ってたんじゃないのか・・・!?) 京太郎(だけど4枚目の在処が知れて・・・) 京太郎(お前は暗刻を『雀頭に変えた』んじゃないのか・・・!?) 京太郎(1pが暗刻のままでは不都合な役・・・恐らくは平和) 京太郎(つまりお前はあの時役なし単騎待ちで嶺上開花を狙っていたんだ・・・!) 京太郎(無論・・・そんなこと普通は有り得ない・・・・!) 京太郎(嶺上開花のみの手なんて・・・そんな運任せ・・・俺の単なる妄想・・・) 京太郎(でもお前は『出来る』んだよ!嶺上開花が!!) 京太郎(なあ咲・・・俺は今まで色んな能力者と戦って・・・1つ分かったんだ・・・) 京太郎(お前ら『能力者』って奴は結局・・・自分の能力を過信する・・・!!) 京太郎(そりゃあやるよ・・・!出来るんだから・・・!!) 京太郎(完璧なお前があの時一瞬見せた隙・・・!) 京太郎(そして今、このオーラス・・・トップ目のお前は高い手は必要ない・・・) 京太郎(一飜手・・・それで十分・・・) 京太郎(普通ならば平和か・・・断ヤオか・・・飜牌なら理想・・・) 京太郎(だがお前に限りそこに嶺上開花の選択肢も来る・・・!そこを狙う・・・!) 京太郎(まあ嶺上開花が潰れても・・・そのままリーチってのも出来るが・・・) 京太郎(今はオーラス、差は12500・・・振り込みのリスクがあるリーチはしないだろう) 京太郎(それでも飜牌や断ヤオは・・・嶺上開花とも複合するから・・・) 京太郎(嶺上開花を潰したとしても・・・結局は一か八かだ・・・) 京太郎(祈るしかねえ・・・!もう一度・・・咲が嶺上開花のみで来ること・・・!) そしてオーラス 10巡目・・・! 京太郎手牌:123m 45m 456p 中中中 北北(ドラは中) 京太郎(ドラ中3枚持ちのテンパイ・・・!来てる・・・っ!) 京太郎(そして今・・・・・) 上家「・・・・・」 京太郎(上家はソーズの混一気配・・・なら咲もソーズの暗刻は難しいはず・・・) 京太郎(字牌は・・・すでに残りは全部場に切れている・・・ピンズも大分見えてるし・・・) 京太郎(ならマンズ・・・マンズの上は生牌が多い・・・!が・・・!) 京太郎(上全体的に見えていないのなら面子になっている可能性が高い・・・!) 京太郎(むしろ下・・・2、4m辺りが見えているのにまだ場に出ていない3m・・・!) 京太郎(ここしかねえ・・・!) 上家「・・・・!」 タンッ 上家、打1m・・・! 京太郎「っ!チ・・・・っ・・・・!!」 咲「・・・・・・・!!」 京太郎「・・・・・・・・っ!!」 京太郎(咲・・・これが俺の限界だ・・・・!) 京太郎(今のチーかのような素振りでお前は俺の手に23mがあると分かったはず・・・) 京太郎(これが俺の限界・・・こいつが不発なら潔く死ぬまで・・・!) 京太郎(咲・・・勝負・・・・・!) 咲「・・・・・・・っ!」 タンッ!! 久「・・・・・!」 上家「・・・・・!」 下家「・・・・・!」 京太郎「・・・・・・っ・・・・!」 咲「・・・・・・!!」 京太郎「・・・・・・・・・・・・・・悪いな咲、その牌だ・・・・・!!」 ガシャッ! 京太郎「中 ドラ3、直撃・・・・・・・逆転だ・・・・・!」 咲「・・・・・!!!」 久「か・・・勝った・・・・須賀くんが・・・あの咲に・・・・!」 咲「私・・・・負け・・・たの・・・・?」 京太郎「ギリギリさ・・・勝敗を分けたのは・・・本当にギリギリの差だった・・・」 咲「この私が・・・・・・・!」 久「咲・・・・」 京太郎「なあ咲」 咲「・・・え?」 京太郎「勝ったからよ、改めて言うぜ・・・・好きだ、咲・・・・俺と付き合ってくれ」 久「須賀くん・・・・!」 咲「・・・・っ」 京太郎「・・・・やっぱり・・・ダメか・・・・?」 咲「・・・た」 京太郎「え?」 咲「他家に浮気したら・・・と、トバしちゃうんだからね・・・・!」 京太郎「っ!ああ・・・心配するな・・・俺の心はとっくに咲で清一色さ・・・!」 咲「・・・京ちゃん・・・!」 京太郎「・・・咲・・・!!」 久「ふふ・・・・やっぱり麻雀って・・・・・・・・・・」 久「最高ね」 完
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3442.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361874491/ 京太郎「東横ー。いるか?」 桃子「いるっすよ。席に座ってるっす」 京太郎「ああ、そこにいたのか。何やってるんだ?」 桃子「パソコンで麻雀をやってるっす。見ればわかるじゃないっすか」 京太郎「見ればってお前……」 桃子「……」 京太郎「……」 桃子「……はぁー。ノリ悪いっすね! ここは『いや見えねえよ!』とか言うところっすよ!」 京太郎「それで悩んでる奴にいきなりそんなこと言えるか!」 桃子「まったく、次からは気をつけるっすよ」 京太郎「はいはい……。で、麻雀って誰とやってるんだ? ネット麻雀ってやつ?」 桃子「んーネットはネットっすけど、学内ネットでやってるっす」 京太郎「そういうのもあるのか。てことは相手は同じ学校の人だな」 桃子「そうっす。麻雀部が最近始めたみたいっすね。掲示板にチラシが貼ってあったっす」 京太郎「へー。挑戦者来たれ! みたいな感じか?」 桃子「そういう感じではないっすね。チラシには麻雀に興味ある人歓迎って書いてたし」 桃子「何度か勧誘も受けてるから部員集めの一貫だと思うっす」 京太郎「初心者歓迎ってことか」 桃子「興味あるなら須賀くんもやってみたらどうっすか?」 京太郎「いや、俺はいいよ。ノートパソコン持ってないし、そもそも麻雀の役もわからないしな」 京太郎「興味はあるからよければ観戦させてくれ」 桃子「いいっすよー。私の勇姿を見るがいいっす!」 京太郎「おう、期待してるぞ」 桃子「くーっ! また勝てなかったっす!」 京太郎「麻雀部3人を相手に2位なら十分凄いじゃないか」 桃子「これでも麻雀の腕には自信があるんすよ。そこらの麻雀部員にも引けをとらないくらいには」 桃子「なのにこのかじゅって人にはなかなか勝てないっす」 京太郎「麻雀って運に左右されるんだろ? そういうこともあるさ」 桃子「20局以上打って勝ったのは数回だけ。さすがに悔しいっす……」 京太郎「20局で数回……。麻雀はよくわからないんだけど、それはどのくらい強いってことなんだ?」 桃子「ええと、そうっすね。風越女子は知ってるっすか?」 京太郎「そりゃもちろん。長野の女子麻雀部では一番強いとこだろ」 桃子「その風越でレギュラーになれる。少なくともそれくらい強いと思うっす」 桃子「まあもちろん、実際に打つのはダメって人も中にはいるっすけどね」 京太郎「そんなに強いのか……ん? なんか書いてるみたいだぞ」 かじゅ『打ち筋からしていつも打ってくれている人だろうか? 今日も来てくれてありがとう』 むっきー『また負けちゃいました。やっぱり強いですね。一度だけでも麻雀部に見学に来てくれませんか?』 カマボコ『しつこかったらごめんなー。でも毎日来てくれて本当に嬉しいんだ』 カマボコ『見学に来たから入れ、なんてことは言わないし、それに来てくれればきっと気に入ると思うんだ』 かじゅ『気が向いたら来て欲しい、と言いたいところなのだが私たちには時間がない』 かじゅ『だから君が麻雀のことを好きなら、ぜひ部室に来て欲しい。後悔はさせない』 京太郎「おお……。凄い勧誘だな。ほら、返事書こうぜ」 桃子「……今書くっす」 default player『気持ちは嬉しいです。でもごめんなさい』 ---default playerはログアウトしました--- 京太郎「……ってあれ?」 桃子「どうかしたっすか?」パタン 京太郎「いや、見学くらい行ってもいいんじゃないか? あれだけ熱心に言ってくれてるんだしさ」 桃子「……まあいいじゃないっすか。ほら、帰るっすよ」 京太郎「あっ、おい」 桃子「先に行ってるっすよー」 京太郎「ちょ、ちょっと待て。先に行かれたらまた見つからなく……」 桃子「校門から出るまでに見つけられなかったら明日の昼ご飯おごりっす!」タッタッタッ 京太郎「いきなり何言って……って待て、走るなー! 見つからなくてもおごらないからな!」 桃子「見つけたら私がおごってあげるから頑張って探すっすよー!!」タッタッタッ 京太郎「絶対見つけてやる……!!」 その後東横のことは校門の辺りで電話をかけて、その着信音で見つけた。 東横には卑怯っす! ノーカウントっす!! と怒られた。理不尽だ。 ---3日後--- 京太郎「東横ー、いるか? 今何やってる?」 桃子「パソコンで麻雀っすよ。見ればわかるじゃないっすか」 京太郎「見れたらこんなこと聞かないっての」 桃子「……他人のコンプレックスにズバズバ切り込んでくるっすね」 京太郎「この前スルーしたらノリ悪いとか散々言ったよな!?」 桃子「記憶にないっす!」 京太郎「まったく……。麻雀はこの間の麻雀部の人とか?」 桃子「そうっすよー」 京太郎「俺あれから役とか覚えてみたんだよ。また見せて貰っていいか?」 桃子「いいっすよ。今ちょうど終わったところなんでちょっと待つっす」 京太郎「了解」 桃子「……いつもはすぐ次の局に入るんすけど今日はちょっと時間かかるっすね。席を外してるみたいっす」 京太郎「まあそういうこともあるさ。ゆっくり待とうぜ」 京太郎「……ん? あれ、今日はこの前みたいにチャットで勧誘されてないんだな」 桃子「そうなんすよね。今日は勧誘してこないみたいっす」 京太郎「脈なしと思って諦めたんじゃないか?」 京太郎「4月が終わっても勧誘してたってことはメンバーが足りないんだろうし、他の人を探すことにしたとか」 桃子「そう、かもしれないっすね。まあ何度も断っちゃったししょうがないっす」 京太郎「……毎日のようにパソコンで打ってるんだし麻雀は好きなんだろ? なんで入らなかったんだ?」 桃子「んー、まあ大した理由じゃないっす。こういう体質っすから集団行動とか苦手なんすよ」 桃子「今までこんなに必要とされたことがなかったから嬉しかったは嬉しかったっすけどね。ただ……」 京太郎「ただ?」 桃子「言うのはちょっと恥ずかしいっすけど、やっぱり、直接言ってもらうのに憧れる」 桃子「目の前で、私の目を見て必要だって言って欲し――」 そこまで言ったとき、突然教室のドアが開かれ ゆみ「麻雀部3年の加治木ゆみだ!」 そんなことをいいながら、上級生が1人教室へと入ってきた。 穏やかな放課後に突如乱入してきたその人は、教室の真ん中までツカツカと足を進め、 忙しげに周りを見渡したかと思うと大きく息を吸い込んだ。 そして―― ゆみ「私は君が欲しい!!」 京太郎・桃子「「!?」」 大声でそんなことを叫んだ。 クラスメイト達は遠巻きにして成り行きを見守っている。 下級生の教室で突然あんなことを大声でいう上級生が相手だ。普通なら俺だって関わろうと思わない。 でも事情を知っているからにはどうにかしないとなーみたいな責任感が芽生えてしまう。 だからまずは、目を白黒させている友人を焚きつけてやろう。 京太郎「東横。よかったな、まだ勧誘諦めてなかったみたいだぞ!」 桃子「その笑顔をやめるっす!」 京太郎「でもほら、東横の望み通り直接誘いに来てくれたわけだし」 ワタシノハナシヲキイテホシイ!!> 桃子「まあそれは心底嬉しいっす」 桃子「須賀くんは茶化してると思うっすけど、私の中では嬉しさが溢れかえってるっすよ」 マジか。いやまあ茶化しているわけではないんだけど。 桃子「ただそれはそれとして、今あそこに行くのはちょっと恥ずかしいっす……」 ワタシニハキミガヒツヨウナンダ!!> 京太郎「注目の的になれるぞ。本望じゃないか」 桃子「限度があるっす!」 今も叫んでるもんな。見た目と違って情熱的な先輩らしい。 スコシデイイ、ハナシヲシヨウ!!> 京太郎「冗談はともかく、ここまで来てくれたんだし、麻雀部に入りたいとは思ってるんだろ?」 桃子「それはそうっすけど……」 京太郎「よし、じゃあ行くぞ」 桃子「ちょ、手を引っ張らないで……!」 ゆみ「頼む、姿を見せて――」 京太郎「あの、ちょっといいですか?」 ゆみ「!! ああ! もち、ろん……だ…………」 念願の新入部員が来たというのになぜか語尾が弱々しい。 ってそうか、東横のこと見えないんだったな。 ゆみ「その、もしかして君が私たちと麻雀を一緒にやっていた人、なのか……?」 俺しかいないと思って目に見えて落ち込む先輩。 美人のしゅんとした姿を見ていると、なんというか、もっといじめたくなってしまう。 まあかわいそうだからやらないけど。 京太郎「あれは俺じゃないですよ。ちゃんと女子です」 ゆみ「本当か!! あ、い、いや、これは君が悪いとかそういうわけではなくてだな」 落ち込んだ様子から一転して明るい表情に。そして間を置かず見せる焦った姿。 ああ、可愛いなこの人。クールビューティーな見た目とのギャップが凄くいい。 京太郎「大丈夫ですよ、事情は聞いてますしわかってます」 ゆみ「そ、そうか。ありがとう」 京太郎「それで俺の隣にいるのが先輩の探しているやつです」 ゆみ「……? すまない。隣には誰もいないように見えるのだが」 京太郎「見えないけどいるんですよ。ほら、ここです」 桃子「どうも、初めまして。東横桃子っす」スゥ ゆみ「」ビクッ 京太郎「あ、やっぱり驚きますよね。いつものことなんで気にしないでください」 桃子「他人に言われると無性に腹が立つっすね」 ゆみ「君は一体いつからそこに……いや、そうか。君はそういう体質なんだな」 桃子「自分で言うのもなんですけど、受け入れるの早いっすね」 ゆみ「チャットの会話から何か理由がありそうだとは思っていたのでな」 ゆみ「我ながら少々派手なことをしたかなと思ったが、結果的には間違っていなかったようだ」 京太郎「いま少々って言ったか?」ヒソヒソ 桃子「言ったっすね。ちょっと見習いたいっす」ヒソヒソ ゆみ「聞こえてるぞ……まあ、それはともかくだ。改めて言わせてもらいたい」 ゆみ「東横くん。私は、私たちには君が必要だ。麻雀部に入って欲しい」 加治木先輩は、真っ直ぐに東横の目を見つめてそう言った。 傍から見ていてもこの上なく真剣に言っているのだと感じる。 東横の望み通り、もしかしたらそれ以上のシチュエーション。 これならきっと麻雀部に入るだろうと東横のほうを見ると 桃子「…………」 あれ、なんか微妙な表情。 京太郎「東横?」 桃子「うーん」チラリ 京太郎「?」 ゆみ「……」ソワソワ 桃子「えっと、一つ条件、というかお願いがあるっすけど……」 ゆみ「何だ? 何でも言ってくれ」ガタッ 東横はなぜか加治木先輩ではなく俺の方を向く。 そして―― 桃子「……須賀くんも麻雀部に入って欲しいっす」 京太郎「……は?」 突然、そんなことを言い出した。 ゆみ「……その、須賀くん……でいいのかな」 京太郎「……へ!? あ、はい!」 ゆみ「今の東横くんの提案なのだが君としてはどうだろうか」 京太郎「ええと、そのですね……。と、東横? なんでいきなりそんなこと」 桃子「えっと、どうしても嫌なら無理にとは言わないっす。わけも……」チラリ ゆみ「?」 桃子「……別に隠すようなことじゃないしすぐ教えるっす。ただ、出来れば須賀くんにも麻雀部に入って欲しいっす」 桃子「ダメっすか……?」ウワメヅカイ 京太郎「う……」 京太郎「か、加治木先輩はどうなんですか」メソラシ ゆみ「あ、ああ。突然で驚いたが麻雀部としては断る理由はない」 ゆみ「……というか、その、入って貰わないと凄く困る」 ゆみ「君にとっても突然みたいだし困惑していると思う」 ゆみ「君にも都合があるだろう。だから助けると思ってとは言わない」 ゆみ「それでも、君がもし少しでも麻雀に興味を持っているなら、麻雀部に来て欲しい」 ゆみ「……だめだろうか?」ウワメヅカイ 京太郎「うう……!」 右を向けば東横が、左を向けば加治木先輩が、上目遣いで俺を見ている。 タイプは違うけれど美人といって差し支えない2人。 京太郎(……こんなの断れるかー!!) 京太郎「俺でよければよろしくお願いします」 ゆみ「本当か! ……ありがとう」フカブカ 京太郎「ちょ、頭を下げるのはやめて下さい!」 京太郎「さっき麻雀に興味があるなら来て欲しいって言ってたじゃないですか。だから入るんですよ」 ゆみ「……うん、そうか。須賀京太郎くん。入部してくれてありがとう」 ゆみ「東横くんは……」 桃子「女に二言はないっす! 加治木先輩、よろしくお願いします」 ゆみ「ああ、よろしく。……東横くん、ありがとう。君のおかげで私たちは大会に出ることが出来る」 桃子「私も興味があったからネトマしてたんですよ。何度も断ってたのに直接誘いに来て貰えたなんて……本当に嬉しいっす!」 桃子「それより、誘った私が言うのもなんっすけど須賀くんはこの場で決めちゃってよかったんすか?」 京太郎「どうせ放課後暇してたしさ。それに麻雀に興味を持ったってのも本当だぜ」 桃子「無理してないならよかったっす」エヘヘ ゆみ「2人とも、入部ありがとう」 ゆみ「それでは早速だが、2人がよければ今から麻雀部に来て貰いたい。部員の紹介もしたいんだ」 桃子「私は大丈夫っす」 京太郎「俺も特に予定はないです」 ゆみ「よし、じゃあ私は先に廊下に出ているよ。あまり長居しても迷惑だろうし」 京太郎(……はっ!? 急展開すぎてここが教室だって忘れてた) 京太郎(冷静になるとクラスメイトの視線が痛い……!!) ゆみ「ん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ、なんでもないです。廊下で待ってて下さい」 京太郎(明日の反応が怖いな……)ハハハ 加治木先輩が先導して、俺と東横はその後をついていく。 意識しないと声が聴こえないくらいの距離を取り、ついて来ているか確認しているのかときおりこちらを振り返る。 京太郎(東横と話しやすいように気を遣ってくれたのかな) 京太郎(せっかくだし今のうちに聞いておくか) 京太郎「なあ、東横。俺を誘った理由って何だったんだ?」 桃子「え? ああ、ほら、私ってこういう体質じゃないっすか」スゥ 京太郎「話してるときに消えるな!」 桃子「冗談っすよ。こうやって意識して消えることも出来るっすけど、基本的には人に見つけてもらえない厄介な体質なんすよ」 京太郎「ああ、知ってる。俺が見つけられたのも偶然だったしな」 桃子「加治木先輩が教室に来て、誘ってくれて嬉しかった。でも私がこういう体質なのは知らなかったじゃないっすか」 京太郎「まあそんな体質があるなんて普通思わないよな」 桃子「それで、こういう体質の私とコミュニケーション取るのって大変っすよね」 桃子「私から話しかければ驚かれる。話しかけて貰おうにも私のことは見えないから、いるかわからないところに声をかけるしかない」 京太郎「ん……楽と思ったことは確かにないな。けど面倒だとか思ったことも一度もないぜ」 桃子「ありがとうっす。須賀くんはそうやって受け入れてくれたっすね」 桃子「麻雀部の人たちは私を必要としてくれた。でもそれと私を受け入れるかっていうのは別っすよね」 桃子「加治木先輩もきっと私に合わせてくれると思うっす。だけど他の人たちもそうやって受け入れてくれるか不安だったっす」 桃子「だから私との付き合いに慣れてる須賀くんが入ってくれたら安心だなって。それが理由っすよ」 京太郎「……気にしすぎじゃないか?」 桃子「そういうと思ったっす。須賀くんは私の体質は知ってても苦労までは知らないっすからね」 京太郎「それを言われるとな……。まあ不安だっていうなら、俺でよければいくらでもいくらでも入るよ」 京太郎「でもあそこまでして必要としてくれる麻雀部だ。きっと東横の心配するようなことにはならないと思う」 桃子「私の取り越し苦労だったらそれが一番っすね。そうすると須賀くんには迷惑かけただけになっちゃうっすけど」ニコッ 京太郎「さっきも言ったろ。好きで入ったんだって。……お、着いたみたいだぞ」 ゆみ「ここが麻雀部だ。入ってくれ」ガラッ 京太郎「おじゃまします」 桃子「おじゃまするっす」 智美「ゆみちんおかえりー。期待の新入部員はどうだ……ってあれ?」 睦月「ええと、先輩。もしかして麻雀の相手はそっちの男の子だったんですか?」 ゆみ「ああいや、ちゃんと女子だったよ。ええと……」キョロキョロ ゆみ「すまない東横くん。姿を見せて貰えるか」 桃子「はいっす。私はここっすよ!!」バーン 智美「」ビクッ 睦月「」ビクッ ゆみ「」ビクッ 京太郎(おー、みんな驚いてるなー) ゆみ「すまない、どうもまだ慣れていないようだ……」ドキドキ 桃子「私は慣れてるので気にしないで欲しいっす」 ゆみ「そうか……なるべく早く慣れるようにするよ」 智美「ゆ、ゆみちん……」 ゆみ「ん? どうした」 智美「私はついに霊感を獲得したみたいだ!」 ゆみ「失礼なことをいうな!」 睦月「その、先輩。彼女が新入部員ですか? 今のは手品かなにかですか?」 ゆみ「ああ、彼女が今日から麻雀部に入部する東横桃子くんだ。今のについては彼女自身から聞いたほうがいいだろう」 桃子「改めまして、今日から麻雀部に入部することになりました東横桃子っす」 桃子「私は極端に存在感が薄くて、中々気づいて貰えない体質なんすよ。 さっきのも隠れていた訳じゃなくて私はずっとそこにいたっす」 桃子「こういう体質っすから迷惑かけることもあると思うっすけど、これからよろしくお願いします」ペコリ 睦月「そうだったのか……ごめんなさい、驚いてしまって」 智美「私もごめんなー。でももう驚かないぞ」ワハハ 智美「しかし世界は広いなー。こんな体質もあるなんて」 睦月「そうですね。目の前にいたのに気づけなかったなんて……」 京太郎(2人とも驚いたみたいだけど、気味悪がったりはしていない) 京太郎(別に特別な反応じゃない。普通の人なら誰だってこんな反応をするはずだ) 京太郎(まあでも……)チラリ 桃子「……」 京太郎「な、俺の言ったとおりだったろ」 桃子「……そうっすね!」 智美「ところでゆみちん。そこの金髪の子は誰なんだー」ワハハ ゆみ「ああ、こっちは須賀京太郎くん。彼も同じく新入部員だ」 京太郎「須賀京太郎です。麻雀は初心者ですがよろしくお願いします!」 睦月「うむ、よろしく。一気に2人も入ってくれて嬉しいよ」 智美「君も新入部員かー。鶴賀麻雀部史上初めての男子部員だな!」 睦月「まあ共学化したのも今年からですしね」 京太郎「ははは……泥を塗らないように頑張ります」 智美「頼むぞー少年」ワハハ ゆみ「さて、次は私たちが自己紹介する番だな」 智美「まずは部長の私からかなー」ワハハ 京太郎「えっ」チラリ 桃子「えっ」チラリ ゆみ「……私は部長じゃないぞ」 智美「……このくらいでは泣かないぞ」ワハハ 京太郎「す、すみません!」 桃子「ごめんなさい!」 智美「冗談だよ、冗談。期待通りの反応してくれて嬉しいぞー」ワハハ 智美「私は蒲原智美だ。麻雀部の部長をやってるぞー」 京太郎「いやその、すみません。よろしくお願いします、蒲原部長」 智美「智美」 京太郎「え?」 智美「智美って下の名前で呼んでくれ。私たち3年生は早ければ6月の頭には引退しちゃうからなー。早く仲良くなりたいんだー」ワハハ 京太郎「ええと、それじゃよろしくお願いします。智美部長」 智美「よろしくなー京太郎」 桃子「よろしくっす! 智美部長!」 智美「よろしく……モモって呼んでいいかー?」ワハハ 桃子「……! はいっす! 嬉しいっす!」 智美「よかったー。よろしくなーモモ」 睦月「じゃあ次は私が。私は津山睦月。部長たちとは違って2年生だ」 京太郎「よろしくお願いします、えっと……」 睦月「……? ああ、そうか。よろしく、京太郎くん」 京太郎「はい! よろしくお願いします、睦月先輩」 睦月「うむ」 桃子「私もよろしくっす! 睦月先輩!」 睦月「うん、よろしく。モモ」 ゆみ「さ、最後は私か……」 京太郎「どうかしましたか?」 ゆみ「い、いや。なんでもないんだ」 ゆみ「2人とも知っていると思うが改めて」コホン ゆみ「私は加治木ゆみ。3年生だ」 桃子「よろしくっす! ゆみ先輩もモモって呼んで欲しいっす」 ゆみ「ああ、わかった。よろしくな、モモ」 京太郎「よろしくお願いします、ゆみ先輩」 ゆみ「――!」カアァ 京太郎「……ええと、本当に大丈夫ですか?」 ゆみ「だ、大丈夫だ!」 ゆみ「よろしく、きょ、きょう……うぅ」 ゆみ「ちょ、ちょっと待ってくれ」スーハー 京太郎「はい、ゆみ先輩」 ゆみ「――――!!」カアァァァ 桃子(空気読まないっすねー) 睦月(あれはわざとやってるのかな) 智美(期待の新人だなー)ワハハ ゆみ「……その、すまない。須賀と上の名前で呼ぶことにしていいだろうか」 京太郎「え? え、ええ。いいですよ」 ゆみ「それと私のことも加治木先輩と呼んでくれると助かる」 京太郎「わかりました……」 京太郎(俺嫌われたのかな……)ズーン 桃子「そんなことないから安心するっす」ポン 京太郎「え、今の声に出てたか!?」 桃子「顔見れば須賀くんの考えてそうなことくらいわかるっす」 桃子「……あ、そうだ。今度から須賀くんも私のことはモモって呼んで欲しいっす」 京太郎「ああ、これから頑張ろうな。モモ」 桃子「一緒に頑張るっす! 京太郎!」 --------------------------------------- ゆみ「自己紹介も済んだことだし麻雀を打とうか。モモとはネットで何度も打っているが実戦での実力も知りたいしな」 桃子「私は実戦のほうが得意っすよー」フフフ ゆみ「それは楽しみだな。須賀くんも一緒に入ってもらっていいか?」 京太郎「いえ、俺は実戦どころかネットでもやったことないので……」 ゆみ「それなら最初は見学からだな」 京太郎「はい、そうさせてもらいます」 智美「誰か一人のをじっくり見てるといいと思うぞー」 京太郎「わかりました。じゃあモモ……」 桃子「あ、私はやめたほうがいいっすよ」 京太郎「え?」 桃子「勉強するつもりなら私のは見ないほうがいいっす」 京太郎「……? まあそういうなら。ええとそれじゃあ――」 京太郎(やっぱり強い人のほうがいいよな。かじゅは加治木先輩だろうし) 京太郎「加治木先輩。見てていいですか?」 ゆみ「わ、私か!?」 京太郎「だ、駄目なんですか?」 ゆみ「い、いや。ちょっと驚いただけだ」コホン ゆみ「私で良ければ参考にしてくれ」 京太郎「え、ええ。もちろんです」 智美「ゆみちん。そういうのちょっと直した方がいいなー」ワハハ ゆみ「わ、わかってるっ」 智美「じゃあ始めるぞー」タン 桃子「負けないっすよ」タン 睦月「ネトマで何度も負けてるけど、先輩として最初くらいは……!」タン ゆみ「私も譲る気はないぞ」タン ………… ……… …… … 【南二局】 智美「リーチ。ゆみちんをまくってやるぞー」ワハハ 桃子「……」タン 睦月(うーん……降りよう)タン ゆみ(蒲原の捨て牌は……)チラ ゆみ(こっちかな)タン ……… …… … 智美「テンパイ」 桃子「ノーテンっす」 睦月「ノーテンです」 ゆみ「テンパイだ」 智美「うっ、また止められてたか。今回はわからないと思ったんだけどなー」ワハハ ゆみ「蒲原とは何度も打ってるからな。なんとなくわかるさ」 京太郎(南二局まで終わって、振り込んだのは睦月先輩と蒲原先輩が一回ずつ) 京太郎(加治木先輩ももちろんだけど、他の3人も全然振り込まないな) 京太郎(……見ててもどうやって止めてるのかさっぱりわかんねえ!!) ゆみ「須賀くん? どうかしたか?」 京太郎「あーその。染め手とかは分かるんですけど、今のとかどうやって止めてるのかなと思いまして」 ゆみ「ああ、なるほど。基本的には捨て牌を見て予測しているんだ。筋とか色々あるんだが……まだ君には早いな」 京太郎「はい」キッパリ ゆみ「そう断言されても困るな」ハァ ゆみ「他にも相手を直接観察して理牌や目線を見ているが、これは慣れるまではやめたほうがいいだろう」 ゆみ「まあ特に理牌は相手の癖を知らなければわからないから、あまり使うべきではないのかもしれないが……ん?」 京太郎「」ポカーン 智美「」ポカーン 睦月「」ポカーン ゆみ「ど、どうした?」 京太郎「い、いえ。そんなことまで考えて麻雀をしているんだなと」 ゆみ「まあ必ず当たるわけではないし、そんなに大したことではないさ」 ゆみ「というか須賀くんはともかく、蒲原と津山は知っているだろう」 睦月「いえ、そういう技術があるのは知ってますがこんな身近に実践している人がいたなんて……」 智美「私はそこまでの余裕はちょっとないなー」 ゆみ「何もずっと見ているわけじゃないぞ? 重要なところだけ見ればいいんだ」 ゆみ「まあその辺りは対局が終わったら教えようか。雑談はこの辺りにして、次の局に行こう」 桃子「…………」 京太郎(そういえばモモのやつさっきから全然話してないな。集中してんのかな……?) 【南三局】 睦月(ラス親かあ。まだ焼き鳥だしここでなんとか)タン ゆみ(今のところトップで2位のモモとは約1万5千点差) ゆみ(配牌は四向聴か)タン タン タン タン タン タン…… 桃子「リーチっす」タン 京太郎(モモは索子の染め手っぽいな。これくらいはわかるぞ!) 睦月(一向聴から中々進まない……!)タン ゆみ(形聴は狙えそうだな)タン 智美(ううん、引きが悪いなー)タン 京太郎(あれ、リーチしたのにみんなあんまり反応してないな) 桃子「……」タン ゆみ(役牌が重なった。これなら上がりも狙えるか)タン 京太郎(索子!? しかも1枚も見えてない三索!?) 桃子「ロン! 立直、混一色で7700っすよ!」 ゆみ「なっ!?」 智美・睦月「えっ!?」 ゆみ「モモ、リーチ宣言は……」 桃子「ちゃんとしたっす!」 京太郎「俺も聞いてました。そんな小さな声じゃなかったと思うんですが……」 ゆみ「ん……そうか。それはすまない」 ゆみ(さっきの反応からして蒲原も睦月も、モモのリーチ宣言を聞いていない) ゆみ(かといってモモも須賀くんもそんな嘘を付きはしないだろう) ゆみ(つまりおそらく――――) 【南四局】 ゆみ(配牌はあまり良くないか……どこまで対抗できる分からないが、やるだけやってみるとしよう)タン 智美(今のは何だったんだー?)タン 桃子(フッフッフ。ネトマのリベンジ達成はもうすぐっすよー)タン 睦月(リーチが聞こえなかったなんて、こんなの初めて)タン ゆみ「チー!」タン 桃子(仕掛けが速いっすね) ゆみ「ポン!」タン 智美(東を鳴かれたかー。いや、でもこれは速いというか……) ゆみ「チー!」タン 睦月(こんな先輩らしくない無理矢理な仕掛けをなんで……?) ゆみ「ポン!」タン 京太郎(四副露!? なんでここまで急ぐ必要が……) 桃子(ううー、なるほど。そういう手もあるんすね……) ゆみ「ロン。東のみ」 1位 加治木ゆみ 2位 東横桃子 3位 蒲原智美 4位 津山睦月 【終局】 桃子「いやー参ったっす。初見では絶対負けない自信があったんすけどねー」 ゆみ「たまたま運がよかっただけだよ。トータルではおそらく私が負け越すさ」 桃子「そもそも東場で消えられるのが普通なんすよ。まさか南二局までかかるとは思わなかったっす」 京太郎「ええと、モモ。何の話?」 桃子「最後の二局のことっすよ。ゆみ先輩が私に振り込んだのは見たっすよね?」 京太郎「ああ。加治木先輩にしてはおかしいなと思った」 ゆみ「あのときだが、私にはモモの捨て牌が見えていなかった……いや、それでは正確ではないな」 ゆみ「私にはリーチ宣言も聞こえていなかった。モモのことが認識できていなかったんだ」 京太郎「……はい?」 睦月「よかった。聞こえなかったの私だけじゃなかったんですね」 智美「むっきーも聞こえてなかったか。私も聞こえてなかったぞー」ワハハ 京太郎「いや、確かにモモは存在感薄いですけど一緒に麻雀してて消えるなんて……」 桃子「ほら、来る途中にもやったじゃないっすか。私は自分の意志でも消えられるんすよ?」 京太郎「……あー。そういえば」 桃子「麻雀でやると私だけじゃなく牌も消せるんすよ。正確に言えば気づかなくさせるっすけど」 京太郎「つまり相手に警戒されなくなるし、振り込むこともなくなるってことか? そりゃすごいな」 桃子「気づかれない私の唯一の利点といっても過言じゃないっす! まあまさか初見で破られるとは思わなかったっすけど……」 京太郎「ああ、加治木先輩が鳴きまくってたのはそれで……」 ゆみ「破るなんて大層なものじゃないさ。たまたま運よく行っただけだ」 ゆみ「どうせ見えないなら防御するのも不可能だからな。上がられたら確実に まくられてしまうし、なら鳴いて速く手を進めてしまえというだけだよ」 桃子「まあ理屈ではそうっすけど……私が鳴けないから手が遅いってのもわかった上でやったんすよね。凄いっす!」 ゆみ「ネトマのときから極端な面前思考で気になっていたから試してみたんだ。上手くいって幸いだった」 京太郎「なんというか……追いつける気がしない」 智美「気にするな京太郎。私もだー」 睦月「私なんてリーチ宣言聞き逃したとしか思ってませんでしたよ……」 ゆみ「さて、じゃあもう1局打とうか」 桃子「次は負けないっすよー」 智美「京太郎、私が抜けるから代わりに入るんだー」ワハハ 京太郎「え!? でも俺ほんと初心者で……」 睦月「私も入ってすぐ打たされたよ。とりあえずやってみよう?」 ゆみ「とりあえず簡単なルールさえ分かっていれば大丈夫だ。別に練習だし軽い気持ちでいいぞ」 京太郎「……そうですね。よろしくお願いします!」 ………… ……… …… … 京太郎「」ズーン 智美「見事に飛んだなー」 桃子「見事に飛んだっすねー」 睦月「先輩の倍満と跳満に続けて振り込み……」 ゆみ「その、すまない。どうも運がよすぎたようで……」アセアセ 京太郎「い、いえ。手加減しちゃ練習になりませんしね……」ハハハ ――帰り道―― 智美「それじゃあ私たちはこっちだから」 桃子「また明日っすー!」 睦月「さようなら先輩。京太郎くん、また明日」 京太郎「はい、お疲れさまでした」 ゆみ「ああ、また明日」 下校途中の大きな交差点。鶴賀の生徒の多くはここで大きく二手に分かれて帰宅する。 俺達麻雀部もそのご多分に漏れず、俺と加治木先輩は右へ、部長と睦月先輩とモモは左へと分かれることになった。 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……その、加治木先輩自転車押してますけど家遠いんですか?」 ゆみ「あ、ああ。学校まで大体自転車で20分ちょっとかかるな」 京太郎「そうなんですか。……急いでるようでしたら俺に気を遣わなくても大丈夫ですよ」 ゆみ「いや、今日は特に何もないから大丈夫だ。途中まで……い、一緒に帰ろう」 京太郎「そうですか……」 ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……」テクテク 京太郎(……き、気まずい!!) 京太郎(なんか会話もぎこちないし、嫌われたのか苦手に思われたのか……) 京太郎(こっちから話しかけないほうがいいかな。でもこのまま無言ってのも……) 京太郎(うん、悪いところがあったら直せばいいんだしな。もう一回声をかけて) ゆみ「須賀くん!」 京太郎「は、はいぃ!!?」 京太郎(な、なんだ!? なんかしたか俺!?) ゆみ「その、だな……」 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎「…………」 ゆみ「……すまない、ちょっと情けないことで話すのに心の準備が必要でな」 京太郎「……?」 ゆみ「ふぅ……」スーハー ゆみ「……その、私は男子と話すのが得意ではなくてな」 京太郎「……は?」 ゆみ「君に対してそっけない態度を取っていると思うのだが、決して君のことが嫌いとかそういうわけではないんだ」 京太郎「え、いやでも部活とか教室ではそんなこと全然」 ゆみ「麻雀なら君に対しては指導するという立場でいられるからな。普通に話すのに比べれば大した緊張はない」 ゆみ「教室は……あのときの私はどうかしていた」カァァァ ゆみ「部員を見つけることだけを考えていて、他のことは何も頭になかった。緊張なんてする暇もなかったよ」 京太郎「そうだったんですか」 ゆみ「だから、その、だな。君を不快にさせてしまったかもしれないが、決してわざとというわけではないんだ」 京太郎「ははは、嫌われたのかと思ってましたよ」 ゆみ「す、すまない……」シュン 京太郎「い、いえ。そういうつもりでは」 京太郎「言ってくれて嬉しかったですよ。言われなかったら誤解したままだったかもしれないです」 ゆみ「ん……そうか。そういってくれると助かる」 京太郎「でも意外ですね。男子とか苦手な風には見えないです」 ゆみ「ふむ、まあ女の子らしい見た目ではないからな」 京太郎「そんなことないですよ!」 ゆみ「はは……うん、そう言ってくれるのは嬉しいよ」 京太郎(本心なんだけどなあ……) ゆみ「男子と話すのが苦手な理由は、まあ単純に話す機会がなかったんだ」 京太郎「小さい頃から女子校だったんですか?」 ゆみ「いや、そういうわけではないんだが、私は小さい頃から何かと男子を注意するような役回りになることが多くてな」 京太郎「あー……」 ゆみ「今日一日一緒にいただけだが、何となく分かるだろう?」 京太郎「ええ、なんとなくわかります」 ゆみ「自分から言うことはそんなになかったんだが、女子から注意してくれとよく頼まれた」 ゆみ「そのせいで男子からは敬遠され、女子からはさらに頼られ、男子と普通に話す機会をほとんど持てなかった」 ゆみ「その上女子校に入学してしまったからな。自業自得ではあるんだが、慣れようがなかったんだ」ハハハ 京太郎「共学化したときとかはどうだったんですか?」 ゆみ「麻雀部に来るかもしれないと思ってやはり緊張したよ。結果は……まあ今日見た通りだが」 京太郎「あはは……」 ゆみ「まさか1人も入らないとは思わなかった。まあ確かに麻雀をやりたい子がわざわざ鶴賀に来るわけはないんだが」ハァ ゆみ「だから今日、モモと君、2人も入ってくれて本当に感謝している」 京太郎「モモはわかりますけど俺もですか?」 ゆみ「ああ、もちろんだ」 京太郎「でも俺は男子ですし、麻雀も初心者ですよ」 ゆみ「確かに大会には出たいし、そのために部員を集めていた。 でも私が卒業した後、部員不足で麻雀部が潰れてしまっては悲しいだろう?」 ゆみ「女子だろうと男子だろうと、麻雀の経験があろうとなかろうと関係ない。私は君が入ってくれてとても嬉しかったよ」ニコッ 京太郎「――!」カァァ ゆみ「うん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」 京太郎(ほんと先輩はストレートだな……!) 京太郎「そういえば部員って今日いたので全員なんですか?」 ゆみ「? あれで全員だがそれが?」 京太郎「いえ、麻雀の団体戦って5人でやるじゃないですか。1人足りないんじゃないかと」 ゆみ「ああ、そのことか。確かに説明していなかったな」 ゆみ「蒲原には幼馴染がいるんだが、その子が4人集まったら入ってくれると言っているらしいんだ」 京太郎「ああ、じゃあモモが入ったからその人も入ってくれるんですね」 ゆみ「そういうことだ。彼女は初心者と言っていたかな。君と一緒だ」 京太郎「へーそうなんですか。よかったです、1人初心者で気後れしてたんで……」ハハハ ゆみ「誰だって始めたときは初心者だよ。これから上手くなればいい」 京太郎「今日の加治木先輩とモモの会話聞いてたらそうは思えませんよ……」 ゆみ「モモのは彼女の生まれ持った資質だけど、私のは練習の賜だ。努力次第だが私くらいにはなれるさ」 京太郎「うーん、なれますかねえ」 ゆみ「なに、これから私たちが教えるんだ。独学で学んできた私より上手くなって貰わないとな」 京太郎「ははは、そうですね。ご指導よろしくお願いします」ペッコリン ゆみ「ああ、任された」フフッ 京太郎「それじゃあ俺はこっちなんで」 ゆみ「ああ、それじゃあ……もうこんなところか。君との話に夢中で気がつかなかった」 京太郎「ありがとうございます。――あ、そうだ。加治木先輩」 ゆみ「なんだ?」 京太郎「加治木先輩が男と話すの苦手っていうの、きっと思い込みだと思いますよ」 ゆみ「そうだったらいいが、現に私は君にぎこちない態度を取ってしまっていたと思うのだが……」 京太郎「全くないとは言いませんが、そういうのって大体俺が急に話しかけたときとかじゃないですか」 京太郎「多分話すのが苦手というよりは、何を話せばいいのか分からないんですよ」 ゆみ「それは確かにそうだが、その2つにあまり差はないんじゃないか……?」 京太郎「だってほら、先輩と俺、帰り道は普通に話してたじゃないですか」 ゆみ「ふむ、確かに言われてみればそうだな」 京太郎「あんまり固く考えなければいいんですよ。そうすればきっとすぐ直ります」 ゆみ「ああ、君の言うとおりかもしれないな。でも、須賀くんだからというのもあると私は思う」 京太郎「えっ……」ドキッ ゆみ「私に話しかけてくる男子はほとんどいなかったからな。高校に入ってからは須賀くんが初めてだ」 京太郎「あ、ああ。そういう……」 ゆみ「すぐには慣れないと思うが、これからも話しかけてくれると嬉しい」 京太郎「え、ええもちろんです」 ゆみ「ありがとう。それではまた明日。部室で」 京太郎「さようなら……」 京太郎「……」 京太郎「…………」 京太郎「天然でやってんのかあれは!?」 ――自室―― 京太郎「お、咲からのメールか」 京太郎「1日ぶりだな。どれどれ……」 咲『京ちゃん元気?』 京太郎『おう、元気だぞ。昨日はメールなかったけどどうしたんだ?』 咲『本を読んでたらそのまま寝ちゃって……』 京太郎『はは、お前らしいな』 咲『うぅ……そ、そんなことより、今日私文芸部に行こうとしたんだよ!』 京太郎『おお、ついに入部し……行こうとした?』 咲『う、うん。その、ドアの前までは行ったんだけど、中がすごく和気あいあいとしてて入りづらくて……』 京太郎『まあもう5月だからなあ』 咲『どうしよう京ちゃん! 私文芸部に入れないよ!!』 京太郎『いやそのくらい気にせず入れよ……そもそもなんで4月に入らなかったんだ?』 咲『ええと、ほら、清澄に行った友達がいるじゃない?』 京太郎『ウチの中学から清澄に結構行ってたよな? 図書委員のやつ?』 咲『ううん、そっちじゃなくて班で一緒だったクラスの子』 京太郎『ああ、あいつか。結構仲良かったよな』 咲『そうそうその子。まあ京ちゃんとほどじゃなかったけどね』エヘヘ 京太郎(俺基準って……まあいいか) 京太郎『それでそいつがどうしたんだ?』 咲『うん、その子に一緒に文芸部に見学に行かない? って誘ったんだけど断られちゃって』 京太郎『へー、見学くらい行ってくれてもいいのにな』 咲『まあ先週誘った私も悪かったんだけど』 京太郎『先週!? ちなみにあいつ部活入ってるのか?』 咲『入学してすぐ園芸部に入ったよ。私も見学に付き合ったの』 京太郎『断られるに決まってんだろ!!』 咲『やっぱりそうだよね……』 京太郎『っていうか4月に行ってない理由にはなってなくないか?』 咲『ええと、さっき言ったとおり4月の初めにあの子と一緒に園芸部に行ったんだけど、私も体験入部したんだ』 京太郎『咲は花育てるのも好きだったよな』 咲『うん、最初はお花を育てるの楽しいし、本は1人でも読めるからここに入ろうかなと思ったんだけど……』 京太郎『ふむふむ』 咲『園芸部って土とかお花の鉢運んだりするんだ。それが結構重くて……』 京太郎『あー、それがきつくてやめたのか』 咲『そのくらいじゃやめないもん!』 京太郎『え? じゃあなんでやめたんだよ』 咲『ええと、頑張って運ぼうとしたんだけどお花植えてるプランターこぼしちゃって……』 京太郎『お、おう。まあでも一回くらいならやめるほどではないんじゃないか』 咲『ううん、何度も』 京太郎『…………』 咲『無言はやめてぇ!!』 京太郎『ま、まあ居づらくなって園芸部やめたのはわかった。それで?』 咲『え?』 京太郎『体験入部のうちにやめたんだろ? なら文芸部だって体験入部期間に行けたんじゃないか?』 咲『そ、それはそのう……』 京太郎『……うん、言わなくていいぞ。大体わかった』 咲『うぅ……で、でも勇気出したよ! 先週は友達誘ったし、今日は部室の前まで行ったもん!』 京太郎『まあなんだ。咲が頑張ったのはよくわかった。でももう少し頑張ろうな』 咲『京ちゃぁん……』 京太郎『入っちゃえば意外となんとかなるもんだぜ。俺も今日部活入ったけどみんな歓迎してくれたよ』 咲『京ちゃん部活入ったの!? 何部?』 京太郎『麻雀部』 咲『麻雀……京ちゃん麻雀出来たっけ?』 京太郎『いや全く。完全に初心者だよ。でも歓迎してくれた』 咲『そっか』 京太郎『咲は麻雀出来るのか?』 咲『……うん、出来るよ。昔よく家族でやってた』 京太郎『へー、なら麻雀部入ったらどうだ?』 咲『麻雀部?』 京太郎『ほら、清澄の麻雀部って聞いたことないからきっと強くないだろ? なら5月からでもウチみたいに歓迎してくれるさ』 京太郎『それに麻雀部なら大会でお前と会えるかもしれないしさ』 咲『……そうだね。考えてみる』 京太郎『まあ最終的には咲が後悔しないようにすればいいと思うけどな』 咲『これだけ言っておいて結局それ? ……うん、でもありがと』 京太郎『おう』 咲『ところで京ちゃん。大会で会えるかもってもしかして女子と合同の部活なの? そういえば鶴賀って元女子校だったよね?』 京太郎『ああ、というか俺以外全員女子だよ』 咲『な、何それ!!』 京太郎『何って……去年まで女子校だったし麻雀部も俺含めて今のところ5人だしな。そういうこともあるだろ』 咲『どうせハーレムだー! とか思ってるんでしょ!』 京太郎『初心者俺1人だぜ? そんな余裕ねえよ。……まあ嬉しくないって言ったら嘘になるけど』 咲『京ちゃんのバカ! もう知らない!!』 京太郎「おおう……まあ部活入れないって相談してきたのに、俺は部活でハーレムだって言ったらそりゃいい気分はしないか」 京太郎「なんて返すかなあ。ってあれ、咲からメールが」 咲『言い忘れてた、おやすみ!!』 京太郎『おやすみ。別に男子が俺だけだから入ったわけじゃないからな!』 咲『うん……その、私急に怒っちゃったけど、京ちゃん怒ってない? 明日もメールしていいよね?』 京太郎『これくらいで怒るわけないだろ? 明日は俺からメールするよ』 咲『京ちゃんありがとう!!』 京太郎『俺も悪かった。また明日』 京太郎「10時半か。ちょっと早いけどもう寝……ん? 加治木先輩からメール?」 ゆみ『今日はありがとう。男子と話したのは久々だったよ』 京太郎『いえ、俺も楽しかったですよ。それにしてもアドレス交換しましたけど、まさか今日メール貰えるとは思いませんでした』 ゆみ『蒲原に話したらその日のうちにメールするべきだと言われたんだが……』 京太郎(早く仲良くなるようにって部長が気を遣ってくれたのかな……うん、まあ嬉しいんだけど) ゆみ『男子にメールしたのは初めてなのだが何かおかしなところがあっただろうか』 京太郎『いえありませんよ。せっかくですし、教本で気になったところがあるのでよければ教えて下さい』 ゆみ『勉強熱心だな。いいぞ、なんでも聞いてくれ』 京太郎『それじゃあ――』 ………… ……… …… … 京太郎「ロ、ロン!! 立直平和で裏ドラは……乗った! 3900です!」 ゆみ「む……」 京太郎「よっしゃあ! やっと加治木先輩から直撃取れた!」 智美「ついにゆみちんから直撃かー。気分はどうだー」ワハハ 京太郎「最高です!」 桃子「後は私から直撃取れば全員制覇っすね!」 京太郎「モモ、一度消えないでやってみないか?」 桃子「消える前に頑張るっす!」 京太郎「せめて東場は消えないでくれよ……」 桃子「気合で頑張るっす!」 京太郎「うぅ……」 佳織「うわー凄いね京太郎くん!」 京太郎「ははは、佳織先輩には負けますよ」 佳織「? 私加治木先輩からロンしたことないよ?」 京太郎「あははは……」 京太郎(代わりに初めての麻雀で役満上がってるんだよなあ……) 睦月「おめでとう京太郎くん。でもまだ打ってる最中だからほどほどに」 京太郎「あ、すみません。つい嬉しくて」 睦月「ふふ、私も初めてのときははしゃいだから気持ちはわかるよ」 京太郎「睦月先輩がはしゃぐのってあんまり想像つかないですね」 ゆみ「今の須賀くんのような感じだよ。まあそのうち見られるさ」 京太郎「そのうち?」 ゆみ「津山はプロ麻雀せんべいをよく食べているだろう?」 京太郎「そうですね。俺も睦月先輩に影響されて食べ始めましたよ」 ゆみ「いつの間に……まあいい。津山はレアカードが当たったとき、人が変わったように喜ぶんだ」 睦月「そ、そんなことないですよ!」 京太郎「へー。楽しみにしてますね」 睦月「しなくていいから!」 智美「3人とも、そろそろ次の局行くぞー」 ゆみ「そうだな。すまない」 京太郎「この勢いでトップを狙います!」 ………… ……… …… … 京太郎「結局3位か。配牌は良かったんだけどなあ」 桃子「京太郎は牌効率がまだまだっすね。いくら配牌がよくてもそれじゃ勝てないっすよ」 京太郎「一応考えてるつもりなんだけど難しいな。筋とか壁とかそういうのは決まってるから覚えやすいんだけど」 桃子「え? もう覚えたんすか?」 京太郎「ああ、教本読んだり加治木先輩に教わったりしてるからな。もうバッチリだ!」 桃子「見た目と違って真面目っすねー……ってゆみ先輩に?」 京太郎「見た目は関係ないだろ! そうだけどどうかしたか?」 桃子「部活でそんなにじっくり話してるの見たかなーと」 京太郎「ああ、帰ってからメールで教えて貰ってるんだよ」 桃子「む。個人指導っすね」 京太郎「まあそうなるな」 桃子「羨ましいっす!」 京太郎「は?」 桃子「私もゆみ先輩に教えてもらいたいっす!」 京太郎「それを俺に言われてもなあ」 ゆみ「私なら構わないぞ」 京太郎「加治木先輩!?」ビクッ ゆみ「あんまり驚かれると傷つくな……」 京太郎「す、すみません」 ゆみ「い、いや、冗談だ。気にしないでくれ。……それよりモモ、聞きたいことがあったらいつでもメールしてくれて構わないぞ」 桃子「ほんとっすか!?」 ゆみ「ああ、後輩の指導も先輩の役目だ。なるべく速く返信するよ」 桃子「嬉しいっす! ゆみ先輩大好きっすー!」 智美「ゆみちん、ちょっと来てくれ」コイコイ ゆみ「?」テクテク 智美「部員が集まって嬉しいのはわかるけど、最近ちょっと詰め込み過ぎてないかー?」 ゆみ「そんなつもりはないんだが……」 智美「牌譜持ち帰る量も増えたし、他校の研究も本格的に始めたんだろー?」 ゆみ「バレていたのか」 智美「これでも部長だぞー」ワハハ ゆみ「……まあそうだな。お前の言うとおり以前より熱心にやっているよ」 ゆみ「折角部員が集まったんだ。1回戦で負けて終わりなんて嫌じゃないか」 智美「それには同意だなー。でも少しくらい分けてくれてもいいんだぞ」 ゆみ「そうだな……」ムゥ 智美「私とゆみちんの仲だろ? 遠慮せず言ってくれていいぞ」 ゆみ「ん……こういうのはなんだが、私のほうが向いていると思うんだ」 智美「やっぱり私じゃ力不足かー」ワハハ ゆみ「いや、性格的に」 智美「想定外の方向から突き刺さったな……」 ゆみ「遠慮するなと言ったのはお前だろう」 智美「そっちから来るとは思わなかったぞ」 ゆみ「まあ1人でやったほうが効率的だというのもなくはないがな」 智美「じゃ、じゃあアドバイスの方なら! それなら私でも出来るぞ!」 ゆみ「私がやると言ったことだしな。それを任せるというのも」 ゆみ「それに……」チラッ 智美「?」 ………… ……… …… … 桃子「むっちゃん先輩! この間話してた喫茶店に行く話っすけど、今日の帰りどうっすか?」 睦月「今日は予定もないし……うむ、行こうか」 桃子「かおりん先輩はどうっすか?」 佳織「~♪」 京太郎「佳織先輩、モモが呼んでますよ」 佳織「えっ!? ご、ごめんね桃子さん」 桃子「私はこっちっすよ」 佳織「あわわわ……」 京太郎「気にしないでください。そのうち見つけられるようになりますよ」 桃子「京太郎が言うんじゃないっす!」 睦月「あはは、京太郎くんはどうする? 一緒に行く?」 京太郎「行きたいんですが課題が残ってるので……」 睦月「そう……あ、そうだ。この前約束したプロ麻雀カード、ダブってるやつ持ってきたよ」 京太郎「おお、ありがとうございます!」 佳織「キラキラだねー」 睦月「結構貴重なレアなんだ。大事にしてね」 京太郎「はい!」 ゆみ「」ジー 智美「どうしたゆみちん。恋する乙女かー」ワハハ ゆみ「なっ!? バ、バカを言うな!!」 智美(からかいがいがあるなー)ワハハ ゆみ「……私はあんな風に仲良くなれていないからな。せめて麻雀で距離を縮めたい」 智美「そんなことないと思うけどなー」 ゆみ「それに実際大した負担ではないんだ。頼ってもらえるというのは純粋に嬉しいしな」 智美「まあゆみちんがそういうなら。でも無理はダメだぞ」 ゆみ「ああ、わかってるよ」 京太郎「智美部長、加治木先輩! 早く帰りましょう!」 ゆみ「すまない、今行く……っと」フラッ 京太郎「大丈夫ですか?」 ゆみ「少しふらついただけだ。心配ない」 桃子「先輩も喫茶店行かないっすか?」 ゆみ「ありがとう。だけど牌譜の整理があるから遠慮しておくよ」 桃子「残念っす……」 智美(……やっぱり心配だなー) 京太郎「こんにちはー……ってあれ。部長だけですか」 智美「みんなまだみたいだなー」 京太郎「じゃあ来るまで教本でも読んで……」 智美「なあ京太郎、息抜きするなら何がいいと思う?」 京太郎「唐突ですね」 智美「いいからいいから」 京太郎「そうですねー……まあ普通に遊びに行くのが一番じゃないですか?」 智美「やっぱりそうだよなー」ワハハ 京太郎「急にどうしたんですか?」 智美「最近ゆみちん根詰めてるだろ? 息抜きに買い物に誘ったんだけど断られちゃってなー」 京太郎「そういえばたまに辛そうにしてますね」 智美「だろー? 大会まで時間がないのは確かだけど、あれで持つのか心配なんだ」 京太郎「時間がないといっても無理が続くほどではないですしね」 智美「気を抜いてくれればまた違うと思うんだけどなー。京太郎、何かゆみちんに息抜きさせるいい方法はないかー?」 京太郎「ただ誘うだけだとダメだったんですよね? うーん……」 智美「まあすぐじゃなくてもいいさ。考えておいてくれ」 京太郎「わかりま……」 ゆみ「」ガラッ 京太郎「」ビクッ 智美「」ビクッ ゆみ「ど、どうしたんだ?」 智美「い、いや。なんでもないぞー」ワハハ ゆみ「怪しいな……何かよからぬことでも考えてたんじゃないだろうな」 京太郎「そ、そんなことないですよ! それよりその雑誌はなんですか?」ガタタッ 智美(ナイスフォローだ京太郎!) ゆみ「バ、バカっ! 近い!」カアァァ 京太郎「はっ! す、すみません!」カアァァ 智美(……わざではないんだろうなー) ゆみ「ざ、雑誌だったな。これは麻雀の専門誌だよ」コホン 京太郎「そ、そういえばそういう名前の見たことあります」 ゆみ「初心者向けのコーナーもある。参考になるだろうから読んでみるといい」 京太郎「へー、読んでみますね」ペラペラ 京太郎「……ん?」 ゆみ「どうかしたのか?」 智美「どれどれ……高校生チャンプ宮永照?」 京太郎「ええ、はい」 智美「確かに美人だから気になるのもわかるけど、女子2人の前でそれは感心しないなー」ワハハ ゆみ「須賀くん、そうなのか……」ジー 京太郎「違いますよ!」 智美「ワハハ、冗談だ」 ゆみ「わ、私はわかっていたぞ」 京太郎「加治木先輩……まあいいです。えっと、前に住んでたところに宮永って幼馴染がいるんですよ」 ゆみ「なるほど、同じ名字だな」 京太郎「そいつも女子なんですけど、なんとなく雰囲気が似てるなーと思いまして」 ゆみ「宮永照のいる白糸台は東京だろう? 須賀くんは前に住んでいたところも長野だったと聞いた覚えがあるのだが」 京太郎「ええ、そうなんですけど他人の空似とは思えなくて」 智美「ふーん。なら親戚なのかもしれないなー。その子も麻雀は強いのか?」 京太郎「いえ、そもそも打ってるところも見たことが……」 京太郎「あ、いや。そういえば家族麻雀はしていたみたいです。俺も最近聞いたんですが」 ゆみ「ふむ、仮に宮永照がその幼馴染の親戚だとすると、我が部には高校生女子麻雀チャンピオンの 親戚の幼馴染がいることになるわけか」 智美「世間は狭いなー」 京太郎「近いのか遠いのか微妙な繋がりですけどね」ハハハ 佳織「何を話してるんですか?」ガラッ モモ「私も入れて欲しいっすー!」 佳織「わっ! 桃子さん!?」 睦月「最初からいたよ」クスクス 智美「みんな来たかー。今は京太郎が女子麻雀チャンプの知り合いだって話をしてたんだー」ワハハ 京太郎「ちょっと部長!?」 桃子「なんと、衝撃の事実っす! さては今までの麻雀素人っぷりも演技っすね!?」 佳織「京太郎くんそんな人と知り合いなの!? 凄いねー。でもおんなじ初心者だと思ってたからちょっと寂しいな」 京太郎「モモ悪ノリするな! 佳織先輩、智美部長のもモモのも嘘ですからね!?」 佳織「智美ちゃん嘘だったの? もう、信じちゃったじゃない」 ゆみ「正確にはチャンピオンの親戚の幼馴染かもしれないというところだな」 睦月「反応が難しいですね……」 京太郎「雑誌見てての雑談ですから! もうやめて下さい……!」 桃子「その屈辱は麻雀で晴らすっすよ! さあ勝負っす!」 京太郎「お前のせいでもあるからな!? 畜生、今日こそは勝ってやる!」 桃子「受けて立つっすよー!」 ゆみ「はは、今日は最初は1,2年生に譲ろうか」 智美「私たちは見学だなー」 睦月「ありがとうございます。モモも京太郎くんも、2人で盛り上がってるけど私も負けないよ」 佳織「私も頑張ります!」 ………… ……… …… … ――帰り道―― 京太郎「それじゃみなさんまた明日」 佳織「また明日」 睦月「さようなら」 智美「2人ともまたなー」 モモ「今日の雪辱はまた果たすっすよ!」 京太郎「今日だけで何度も果たされたよ!」 ゆみ「はは、4人ともまた明日」 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎(何度も一緒に帰ってるけど、やっぱり別れてすぐは会話が途切れるなあ) 京太郎(俺から話しかければいいんだろうけど……)チラ ゆみ「……」ソワソワ 京太郎(……うん、もうちょっと待ってみよう) 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……」テクテク ゆみ「……す、須賀くんっ」 京太郎「はい、何でしょう」 ゆみ「その、だな。今日は初めての2位おめでとう」 京太郎「ありがとうございます!!」 ゆみ「うわっ」ビクッ 京太郎「いやもうほんと嬉しかったんですよ! いつ話振ってくれるかなってそわそわして……って」 ゆみ「」 京太郎「そ、その、すみません……」 ゆみ「ふっ、くくっ……」 京太郎「加治木先輩?」 ゆみ「ふふ、すまない。ついおかしくてな」 京太郎「う……ついはしゃぎすぎましたけど、初めての2位なんですよ。嬉しくて当然じゃないですか」 ゆみ「それにモモの上を行ったのも初めてだった」 京太郎「そうです。目標が2つ同時に達成できたんですよ。そりゃ喜びますって!」 ゆみ「うん、まあ気持ちはわかる。でもな」 京太郎「?」 ゆみ「まだ君は部に入って間もないが、その努力を私は誰よりもよく知っているつもりだ」 ゆみ「君はよく努力している。そんなに喜ばなくともこれから何度でもなれるし勝てるよ。私が保証する」 京太郎「加治木先輩……」ジーン ゆみ「うん? どうした」 京太郎「いえ、感動してました」 ゆみ「なっ!?」 京太郎「他人に真正面から評価されるってこんなに嬉しいものなんですね……!」 ゆみ「大げさだな……そういう感動はもっと大事なときに取っておいたほうがいい」 京太郎「じゃあ今度は1位になったときにまた言って下さい」 ゆみ「ん……まあいいだろう」 京太郎「はい、頑張ります!」 ゆみ「ではそのためにはもっと実力を上げなければな」 京太郎「え……」 ゆみ「須賀くんの牌譜も集まってきたしな。ちょうど言いたいことがあったんだ」 京太郎「ええと、今日のところはいい気分のままでいさせて頂けたりとかは……」 ゆみ「1位を目指すんだろう? わかっているとは思うが、須賀くんの実力はまだまだ足りていないぞ」 京太郎「それはまあ、最初に2位になった後はいつも通り3位や4位ばかりでしたし……」 ゆみ「なら勉強だ。まず君は対子を集める傾向があるな。何か意味はあるのか?」 京太郎「いや、その、ポンってどこからでも鳴けるから得だなーと」 ゆみ「まあそんなところだろうと思っていた」ハァ ゆみ「単純に有効牌の数を考えてみてくれ。塔子なら両面待ちで8枚、嵌張や辺張でも4枚あるだろ? 対して対子では2枚しかない」 京太郎「……おお、言われてみれば!」 ゆみ「まあもちろん場に出ている枚数や手役との兼ね合いもあるがな。基本的には対子より塔子を残すことを考えてくれ」 京太郎「勉強になります」 ゆみ「さて、次は……」 京太郎「ま、まだあるんですか!?」 ゆみ「当たり前だ……む、もうこんなところか」 京太郎「あ、分かれ道ですね。それでは俺はここで……」 ゆみ「帰ってからメールするから返信するように」 京太郎「ですよね……」 ゆみ「ああ、それじゃあまた夜に」カラカラカラ 京太郎「はい、さようなら」テクテク 京太郎「加治木先輩結構スパルタだよなあ。まあ親身になってくれてるってことだけど」テクテク 京太郎「……ん? あれ、なんで加治木先輩歩いて帰ってたんだ? ……ん、メールが」 ゆみ『さっきはああ言ったが、正直君がモモに勝てるのはもっと先のことだろうと思っていた』 ゆみ『モモのステルスは偶然だけで勝てるようなものじゃない。麻雀を初めて一週間ほどで勝てたのは誇っていいと思う』 ゆみ『君の打ち方については帰ってからメールで言うつもりだったんだが……その……』 ゆみ『君に言われたことが恥ずかしくて、誤魔化すように言ってしまった』 ゆみ『きつい言い方になってしまったと思うんだが、よければこれからも頼ってほしい。すまなかった』 京太郎「……頼らないわけないのになあ」ハハ 京太郎(歩いてたのはすぐメールするためだったんだな) 京太郎「さて、なんて返そうかな。まずは気にしてないということと、それからお礼と……」 ――自室―― ゆみ『今日はここまでにしておこう。また明日』 京太郎『ありがとうございました。また明日よろしくお願いします』 京太郎「ふー……おお、2時間も付き合って貰ってたのか!?」 京太郎「部長に言われたばっかりなのに頼りすぎた……ちゃんと息抜きのしてもらい方考えないとなあ」 京太郎「ま、今はそれより咲からのメールに返信を……っと」 京太郎『悪い悪い、返信遅れた』 咲『もーいつもはすぐ返ってくるのに1時間も来ないから心配したよ』 京太郎『悪かったよ。それより今日は何かあるのか?』 咲『ううん、特にはないかな。今日は京ちゃんの話聞かせてよ』 京太郎『その言葉を待ってた! 聞いてくれ!』 咲『な、何?』 京太郎『今日初めて2位になれたんだよ!』 咲『京ちゃんおめで……2位?』 京太郎『2位だよ! 悪いか!』 咲『すっごく喜んでたから1位になったのかなって思ったんだけど……』 京太郎『初心者が麻雀部相手に2位になったんだから十分凄いだろ!』 咲『京ちゃんも今は麻雀部じゃない』 京太郎『それはそうだけど! 初めてトップ2になれたんだよ!』 京太郎『咲も麻雀やってたなら初めて2位になったときの気持ちわかるだろー』 咲『……そうだね。きっと嬉しかったんだと思う』 京太郎『思う?』 咲『昔のことだもん。でも、うん。昔は楽しくやってた気がする。だから思う、かな』 京太郎『そうか……それと、咲に聞きたいことがあるんだけどいいか?』 咲『なあに?』 京太郎『今日麻雀の雑誌読んだんだ』 京太郎『それに高校生女子麻雀チャンピオンのインタビュー載ってたんだけど、そのチャンピオンの名前が宮永照っていうんだよ』 京太郎『その宮永照って人は東京の高校に通ってるんだけど、なんとなく雰囲気がお前に似てるから気になったんだ』 京太郎『もしかして親戚だったりするか?』 ………… 京太郎「メール返って来ないな……なんかマズイこと聞いちまったか? とりあえず……」 京太郎『その、答えにくかったら無理に答えなくていいぞ? こっちも突然聞いて悪かったし』 咲『ううん、大丈夫……その人は、宮永照は私のお姉ちゃんだよ』 京太郎『お前にお姉さんなんていたのか?』 咲『うん、京ちゃんと会う前にお父さんとお母さん別居しちゃってたから』 咲『私は長野でお父さんと住んでるんだけど、お姉ちゃんは東京でお母さんと一緒に住んでるの』 咲『……そういえば京ちゃんに私の家族の話したことなかったね』 咲『ちょうどいいし聞いてもらっていいかな? ちょっと相談したいこともあるんだ』 京太郎『確かになかったけど……俺が聞いていいような話なのか?』 咲『別に隠すようなことじゃないし気にしないで』 京太郎『そっか。それなら咲、久々に電話かけてもいいか?』 咲『うん、いいよ。……ありがとう京ちゃん』 京太郎『もしもし、聞こえるか?』 咲『もしもし、聞こえるよ』クスクス 咲『それじゃあ話すね。ええと、どこから話そうかな』 咲『家族麻雀をよくしてたって話はしたよね?』 京太郎『ああ、この間聞いた』 咲『私ね、実は家族麻雀そんなに好きじゃなかったんだ』 京太郎『そうなのか? 家族で出来るなんて楽しそうだななんて思ってた』 咲『うん、私の家ではね。お金をかけて麻雀やってたんだ』 京太郎『それで負けてたのか?』 咲『ううん、そんなことないよ。多分勝ち越してた』 京太郎『じゃあお金をやり取りするのが嫌だったとか?』 咲『それもちょっと違うかな。勝っても怒られてたんだ。負けたらお金を取られるし、勝ったら怒られる。京ちゃん、これどう思う?』 京太郎『なんというか……酷い話だな』 咲『でしょ? だから私は麻雀のことがそんなに好きじゃないんだよ』 京太郎『……』 咲『それで相談っていうのはここからなんだけど……』 京太郎『おう、ゆっくりでいいぞ』 咲『えっとね。京ちゃんが読んだっていう雑誌なんだけど、私も見たんだ』 京太郎『もう知ってたのか?』 咲『うん、お父さんから見せてもらってたんだ』 咲『私ね、一度東京へ、1人でお姉ちゃんに会いに行ったことがあるんだ』 京太郎『1人で行けたのか?』 咲『ちっちゃい子じゃないんだから行けるよ! 京ちゃんは私のことをなんだと思ってるの!?』 京太郎『悪い悪い。続けてくれ』 咲『うん、それで家まで行ったんだけど、お姉ちゃんは一言も口を聞いてくれなかった――』 咲『お姉ちゃん、きっとまだ私のこと怒ってるんだ』 京太郎『怒ってる?』 咲『家族麻雀の話で、負けたらお金を取られる、勝ったら怒られるって話はしたよね? それで私はどうしたと思う?』 京太郎『どうしたって……麻雀をやらなくなったとかじゃないのか?』 咲『ううん、違うよ。私はね、±0にしちゃえばいいんだって思ったんだ』 咲『それならお金を取られないし、取らないから怒られることもないから』 京太郎『……は? いや、そんなの狙ってできるものじゃないだろ?』 咲『狙ってやったんだ。狙えるようになったって言ったほうがいいかな。ちっちゃい私の精一杯の抵抗だった』 京太郎『……凄いな』 咲『あはは、ありがと。でもお姉ちゃんは私の勝ちを狙わないやり方が気に入らなかったんだと思う』 咲『きっと、だから今でも私と話してくれないんだ』 京太郎『……咲はお姉さんと仲直りしたいのか?』 咲『うん、だから雑誌の記事を見て、麻雀部に入ればお姉ちゃんとまた会えるかもしれないって思ったんだ』 京太郎『ああ、俺もそう思う』 咲『それで麻雀部に入ろうかどうか迷ってるの』 京太郎『結局文芸部には入らなかったんだろ? 麻雀部に入ればいいじゃんか』 咲『でもさ、京ちゃん。お姉ちゃんを怒らせた原因は麻雀なんだよ?』 咲『その麻雀を使ってお姉ちゃんに会おうなんて余計に怒らせたりしないかな?』 京太郎『それは……』 咲『麻雀部に入らなければ、時間はかかるかもしれないけどその内お姉ちゃんは私のことを許してくれるかもしれない』 咲『麻雀部に入ればすぐお姉ちゃんに会いに行ける。でも、もっと怒らせて私のことをずっと許してくれなくなるかもしれない』 咲『京ちゃん、私はどうしたらいいのかな……』 京太郎『……咲は麻雀のことどう思ってるんだ?』 咲『え?』 京太郎『だからさ、咲は麻雀のこと好きなのか?』 咲『……さっき言ったじゃない。あんまり好きじゃないよ』 京太郎『でもさ、それは勝つことじゃなくて、±0を目指してたからじゃねーのかな』 咲『……』 京太郎『俺はさ、麻雀始めたばっかだけど、勝てるとすげー楽しいよ』 京太郎『初めて3位になれたときでも嬉しかったし、今日初めて2位になれたときなんかは思わず叫んじまった』 京太郎『まだ1位になったことはないけど、なれたらきっともっと楽しいんだろうなって思う』 京太郎『咲はどうだ? 1位になって楽しいとか嬉しいって思うことなかったか?』 咲『……昔、まだ家族で仲良く麻雀でやってたとき、1位になれたら凄く嬉しかった』 咲『そうだね。京ちゃんの言うとおり、あの頃は家族仲良く、楽しく麻雀やってた』 京太郎『そっか。それなら咲は麻雀部に入るべきだ』 京太郎『今度は勝つことを目指して、楽しんで麻雀をすれば、それをお姉さんに見てもらえば、きっと咲のこと許してくれるよ』 咲『そう、かな』 京太郎『ああ』 咲『……うん、そうだね。会わなきゃ何も始まらないよね。わかったよ京ちゃん。明日、麻雀部に行ってみる』 京太郎『ああ、それがいいよ』 咲『相談に乗ってくれてありがとう、京ちゃん』 京太郎『気にするな……そうだ。咲、ちょっといいか?』 咲『何?』 京太郎『さっきお前麻雀部に入ればお姉さんにすぐ会えるみたいなこと言ってたよな? 県大会に勝つ前提とは随分偉くなったなあ』 咲『ふぇっ!? も、もう、揚げ足取らないでよ! 京ちゃんのバカ!』 京太郎『ははは……実際咲は強いのか?』 咲『京ちゃんなんか足元にも及ばないくらい強いよーだ!』 京太郎『……』 咲『な、何か言い返してよぉ……』 京太郎『いやまあ、あの宮永照と家族麻雀で±0狙ってるやつだと思うと……』 咲『お、お姉ちゃんだって高校入って上手くなってるはずだよ!』 京太郎『と言ってもなあ』 咲『うぅぅ……』グスン 京太郎『はは、冗談だよ』 咲『もう、あんまりからかわないでよ……』 京太郎『面白いからついな』 咲『ついじゃないよ! こっちは本気で気にするんだからね!』 京太郎『悪かったって。それじゃあな』 咲『またね。……京ちゃん、今日はありがとう』 京太郎『気にするなって。またなんかあったら電話しろよ。大会で会おうぜ』 咲『うん、大会で』 女生徒「残りは私がやっておくから。須賀くんは部活行ってていいよ」 京太郎「いいのか?」 女生徒「いいっていいって。私帰宅部だし。部活頑張ってねー」 京太郎「おう、ありがとな」 京太郎(今日こそは1位になるぞー! ……あ、階段に加治木先輩が) 京太郎「加治木先輩、これから部活に行くところですか?」ウエミアゲ ゆみ「ん、須賀くんか。そのつもりだよ」 京太郎「じゃあ一緒に行きましょう。昨日聞きそびれたところがあるんですけど途中で聞いていいですか?」 ゆみ「ああ、構わな……」フラッ 京太郎「加治木先輩!?」 ドタッドタタタタッ! 京太郎「いてててて……加治木先輩、大丈夫ですか?」シタジキ ゆみ「あ、ああ、大丈夫だ。ありがとう、今どく……痛っ!」 京太郎「どうしたんですか!?」 ゆみ「き、気にするな。なんでもないっ」 京太郎「なんでもないわけないじゃないですか! ……足ですか?」 ゆみ「……そうだとしても君に迷惑をかけるわけにはいかない。先に部室に行っていてくれ」 京太郎「……そういうこと言うならこっちにも考えがありますよ」ムッ ゆみ「?」 京太郎「だっことおんぶと肩を貸す。どれがいいですか?」 ゆみ「……は?」 京太郎「保健室まで連れて行くって言ってるんです。さ、だっことおんぶと肩を貸す。どれにします?」 ゆみ「ま、待て! そんなどれを選んでも恥ずかし……い、いや。そもそも必要ないと言っているだろう!?」 京太郎「あんな声出して何言ってるんですか。選ばないならだっこで運びます」 ゆみ「なっ」 京太郎「よいしょっと」グイッ ゆみ「う、うわっ! な、なんでよりにもよってお姫様だっこなんだ!? というかそもそも重いだろう!?」 京太郎「一番持ちやすいからです。それとむしろ軽いくらいですから大丈夫です……さあ、保健室まで行きましょうか」 ゆみ「わ、わかった! 肩を借りるから! だから下ろしてくれ!!」 京太郎「始めからそうやって人の好意を受け取ればいいんですよ……っと」 ゆみ「好意じゃないとは言わないが、とてもではないが素直には受け取れないな……」 京太郎「加治木先輩、腕はちゃんと肩に回しました?」 ゆみ「ああ、回した」 京太郎「じゃあ行きますよ。ゆっくり歩きますね」 ゆみ「ありがとう」 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎(加治木先輩と話すのは最近慣れてきたけどさすがにあんなことした後だとキツイな……) 京太郎(なんであんなことしたんだろう……)ズーン ゆみ(ん……私が肩に手を回しやすいように少し屈んでくれているのか) ゆみ(その体勢で歩くのは決して楽ではないはずなのに。……優しいやつだな) ゆみ(さっきの強引な三択も、普段の須賀くんなら絶対にやらないはずだ) ゆみ(それでもやったということは、それはきっと――) ゆみ「なあ須賀くん」 京太郎「はっ、はい!」 ゆみ「そんなに力を入れなくても……いやそういう話になるかもしれないな」 ゆみ「その、さっきのことなのだが……」 京太郎「?」 ゆみ「さっきの君は怒っていたのか?」 京太郎「……当たり前じゃないですか」 ゆみ「……理由を聞いてもいいか?」 京太郎「決まってるじゃないですか。加治木先輩がまた無理しようとしたからです」 ゆみ「私は無理なんて――」 京太郎「してるから倒れたんです」 ゆみ「ぐっ」 京太郎「無理して倒れたのに、なんでさらに無理しようとするんですか」 ゆみ「君には――」 京太郎「関係ない、なんて言わないでくださいよ。自分が麻雀部にどれだけ大切か知らないわけでもないでしょう」 ゆみ「むぅ……」 京太郎「ほら、早く言わないとまたお姫様だっこしますよ」 ゆみ「や、やめろ! わかった、言うから!」 ゆみ「……麻雀部は私が麻雀をもっと本格的にやりたいから、なんて身勝手な理由で作ったんだ」 ゆみ「だから自分で出来ることなら自分でやりたい。他人に無駄な負担はかけたくない」 ゆみ「雑務は私がやるから、君たちには純粋にただ麻雀を楽しんで欲しいんだ」 京太郎「……はあ」 ゆみ「な、なんだ」 京太郎「加治木先輩は優秀なんですから、出来ること全部やろうなんて思ってたらパンクするに決まってます」 ゆみ「そんなことは……」 京太郎「実は部長から加治木先輩をなんとか息抜きに誘えないかって相談を受けてたんですよ」 ゆみ「何?」 京太郎「部活の仲間が辛そうにしてるのに純粋に麻雀を楽しむなんて出来ませんよ」 ゆみ「…………」 京太郎「あ、保健室ですね。その、無理しないって考えて貰えると嬉しいです」 ゆみ「……ああ」 京太郎「失礼します……先生はいないみたいですね」 ゆみ「ああ、外出の張り紙はないからすぐ戻ると思うのだが……」 京太郎「とりあえずこの椅子に座って下さい。湿布探しますね」 ゆみ「ああ、ありがとう」 京太郎「ええと、湿布は……お、あった」 ゆみ「ああ、それじゃ渡してく――」 京太郎「それじゃ脱がしますね。足上げて下さい」 ゆみ「ああ……って、え?」 京太郎「」スルッ ゆみ「んっ」 京太郎「」スルスルスルッ ゆみ「ふあ」 京太郎(綺麗な足だな……触ってみた――はっ!?) 京太郎(な、何やってんだ俺!? 咲の手当てずっとしてたからその癖か!?)ダラダラダラ 京太郎(か、加治木先輩が意外と平気にしてるかも……) ゆみ「……」カアァァァァ 京太郎(やっちまったー! ど、どうする!?) 京太郎(……ああ、でも白くてスラっとして艶々としてて、いつまでも見ていたくなるような――) ゆみ「す、須賀くん。あまり見られていると、その、恥ずかしいのだが……」カアァァァ 京太郎「す、すみません!!」バッ ゆみ「あ……」 京太郎「あ……」 謝ろうと顔を上に向けると、顔を真っ赤にした加治木先輩と目があった。 ゆみ「……」 京太郎「……」 ゆみ「…………」 京太郎「……………」 ゆみ「――き」 保険医「誰かいるの? ごめんね席外しちゃ……」ガラッ 保険医「……ええと、お邪魔だったかしら?」 京太郎・ゆみ「「そんなことないです!!」」 保険医「んー軽い捻挫ね。病院に行く必要はなし。湿布を貼ってれば明日、明後日には治ってると思うわよ。もちろん安静にね」 ゆみ「ありがとうございます」 保険医「それと疲れてるみたいね。顔色悪いわよ。若いから無理は効くでしょうけど、ちゃんと休みは取ったほうがいいわ」 ゆみ「……はい」 保険医「部活はやってるの?」 ゆみ「麻雀部に入ってます」 保険医「それならやっても大丈夫ね。これから行くのかしら」 ゆみ「そのつもりです」 保険医「そう。ここには松葉杖とかはないから、彼氏くんはちゃんと連れてってあげるのよ」 ゆみ「かっ……!? 京太郎「ただの後輩です!」 保険医「そう」クスクス 保険医「まあ無理はしないことね。大会も近いんだし怪我で実力を発揮できないのはつらいわよー」 ゆみ「……わかりました。ありがとうございます」 保険医「お大事にー」 京太郎「ありがとうございました」ガラッ 京太郎(……さっきまでは怪我に気が行って意識しなかったけど、肩を貸すとかなり密着するな……) 京太郎(加治木先輩、普段凛としてるけど触れると女の子らしく柔らかいんだな……特に胸とかバストとかおもちとか) 京太郎(それになんかいい匂いも……) ゆみ「須賀くん」 京太郎「ひゃいっ!」 ゆみ「ど、どうした?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」 ゆみ「そうか。……須賀くん、ちょっと聞きたいことがあるのだが」 京太郎「なんです?」 ゆみ「……君は躊躇せずお姫様だっこをしたり私のソックスを脱がしたりしてきたが……女性の扱いに慣れているのか?」 京太郎「……はい?」 ゆみ「普通はああいうことをやるときは多少なり躊躇するものだと思うのだが」 ゆみ「君は自然にやるものだからこっちも反応が遅れてな……」 京太郎「お姫様だっこなんて慣れてないですよ! やったのも初めてです!」 京太郎「……その、あのときはちょっとカチンと来まして、勢いでといいますか……」 ゆみ「ふむ」 京太郎「脱がした方はですね。その、幼馴染みの手当てをいつもやっていたのでついそれと同じように……」 ゆみ「なるほど……須賀くん」 京太郎「はい」 ゆみ「それは直したほうがいい。いつかきっと問題を引き起こす」 京太郎「あはは……でも大丈夫ですよ」 ゆみ「何?」 京太郎「大切な相手じゃなきゃあんなに焦ったりしませんから。そういう相手ならきっと怒るくらいで許してくれます」 ゆみ「――っ」カァァ 京太郎「加治木先輩?」 ゆみ「だからそういうところを直せと言っているんだ……」ハァ 京太郎「す、すみません。もしかしてそんなに嫌でした……?」 ゆみ「そういうわけじゃ……いや、もういいか」 ゆみ「須賀くん」コホン 京太郎「は、はい」 ゆみ「意地を張っていた私を引っ張ってくれてありがとう」 ゆみ「1人じゃ保健室へ行くのは正直厳しかったと思う。手当てをしようとしてくれたこと、嬉しかったよ」 京太郎「……はい!」 京太郎「すみません。遅くなりましたー」ガラッ 智美「おお、2人とも何してた……」 睦月「そ、そんなにくっついてどうしたんですか?」 ゆみ「くっつ……! あ、足を捻ったから肩を貸してもらっているだけだ!」 佳織「歩けないみたいですけど大丈夫ですか?」 ゆみ「ああ、座っていれば大して痛まないし、明後日には治ると言われたよ」 桃子「そんなに重傷じゃなくてよかったっす」 智美「今日は部活やらずに帰るのかー?」 ゆみ「いや、痛むのは足だけだし参加するよ。須賀くん、すまないが椅子まで運んでもらっていいか?」 京太郎「もちろんです」 ゆみ「……っと、ありがとう。対局が終わるまで君の牌譜を見ていこう」 京太郎「よろしくお願いします」 ………… ……… …… … 智美「それじゃそろそろ帰るかー」 ゆみ「まだ早くないか?」 智美「怪我人は早く帰って安静にしなさい」 ゆみ「む……」 京太郎「はは……そういえば加治木先輩、その足で自転車に乗れますか?」 ゆみ「さっきに比べれば痛みも引いているしまあ大丈夫だろう」 智美「……ゆみちん、ちょっと歩いてみてくれるか?」 ゆみ「ああ……痛っ」 智美「ゆみちん、そんな足で自転車漕ごうなんて無理はよくないぞー」 睦月「そうですよ。悪化しちゃいます」 ゆみ「そう言われてもな。バスを使おうにも私の家からバス停までは遠いし、両親も仕事だ」 京太郎「家まで肩を貸す……のはちょっと外では恥ずかしいですね」ハハ ゆみ「出来れば校内でもそう思って欲しいんだがな。もちろん感謝はしているが」ハァ ゆみ「それに、そもそも須賀くんに家まで付き合わせるのは悪いだろう」 京太郎「俺が歩く分には大丈夫ですよ。いい運動です」 ゆみ「ん、そうか……」 ゆみ「……ああそうだ。そんなことをしなくてもタクシーを呼んで――」 智美「思いついたぞー!」ワハハ ゆみ「もら……蒲原、嫌な予感はするがとりあえず言ってみろ」 智美「失礼な。今回は名案だぞー」 桃子「どんな案なんすか?」 智美「京太郎がゆみちんの自転車でゆみちんを送ればいいんだ」 睦月「ああ、二人乗りですか」 ゆみ「ま、待て。他人の前でそんな……」 智美「肩を貸すくらい密着してたんだからこれくらいは大丈夫だろー?」 ゆみ「うっ……」 佳織「でも智美ちゃん、二人乗りなんてやってたら危ないし注意されちゃうんじゃないかな?」 ゆみ「そ、そうだ。だからタクシーを――」 智美「非常事態なんだしいいだろー。それに学校が見えなくなるまではゆみちんを乗せて押せばいいし」 佳織「そっか。それもそうだね」 ゆみ「妹尾!?」 桃子「まあいいじゃないっすか。タクシーは高いっすし、それに二人乗りやってるくらいじゃ誰も見ないっすよ」 睦月「二人乗りそんなに嫌なんですか?」 ゆみ「い、嫌というわけでは……す、須賀くんはどうなんだ!?」 京太郎「二人乗り自体は中学の頃よくやってたので、加治木先輩が嫌でなければいいですよ」 ゆみ「」 桃子「問題が片付いたところで帰るっすー!」 智美「ゆみちん、置いてくぞー」 睦月「それじゃ、肩貸しますね」 ゆみ「ありがとう。ついでに頼みがあるんだがタクシーを――」 睦月「京太郎くん、自転車乗り場からはよろしく」 京太郎「任されました!」 ゆみ「ああ、うん。わかっていた。私はいい後輩たちを持ったよ」 京太郎「照れますよ」 睦月「照れますね」 佳織「照れちゃいます」 桃子「照れるっすよー!」 ゆみ「よし、お前たちは明日までに『麻雀何切る?』を1冊終わらせて来い」 智美「後輩たち、あんまりからかっちゃダメだぞー」ワハハ ゆみ「蒲原は2冊だ」 智美「ワハ!?」 智美「ゆみちん、ここまで自転車を押して貰った気分はどうだ?」 ゆみ「見られてばかりで全く落ち着かなかった……二人乗りくらい目立たないと言ったのは誰だ」 桃子「二人乗りじゃなくて京太郎が押してたじゃないっすか。6人いて1人だけ自転車に乗って押されてればそれは目立つっすよ」 智美「どこの女王様だって感じだなー」ワハハ 京太郎「まあ嘘は言ってなかったですね」 ゆみ「嵌められたか……」 桃子「人聞きが悪いっすねー」 睦月「まあまあ、明日には誰も覚えてませんよ」 ゆみ「そうだといいんだがな」ハァ 京太郎「じゃあ前乗りますね」 ゆみ「ああ、今後ろに移る」 京太郎「よっ……と」 ゆみ「……そ、それじゃあ捕まるぞ」ギュッ 京太郎「!?」ビクッ ゆみ「ど、どうかしたのか?」 佳織「わわわ……」カァァ 睦月「凄い……」カァァ 桃子「だ、大胆っすね」カァァ 智美「どうかってゆみちん、それはこっちのセリフだぞ」カァァ ゆみ「え、えっ?」 ゆみ「だ、だって少女漫画とかでは二人乗りするときはこうやってギュッと抱きしめて……」 桃子「どんだけ乙女っすか!」 智美「本気で言ってるんだよなー……」 ゆみ「ど、どこがおかしいんだ!? ちゃんと捕まらないと危ないだろう!?」 睦月「抱きしめなくても腰を掴んだり荷台やサドルを持ったりすれば落ちないのでは……」 ゆみ「……!!」 智美「いや、そんなその発想はなかったみたいな顔されてもなー」 佳織「と、とりあえず京太郎くんを離してあげたらどうでしょう?」 ゆみ「え?」 京太郎「」パクパク ゆみ「う、うわっ! す、すまない!!」バッ 京太郎「……はっ!? い、いえ! こちらこそ!」 桃子「何がこちらこそなんすか?」 京太郎「……いや、なんでもないぞ?」 桃子「ところで感想は」 京太郎「柔らかくていい匂いがし……しまった!?」 睦月「素直だね」 智美「正直者だなー」ワハハ ゆみ「」プシュー 桃子「……さて、それじゃあそろそろ帰るっすか」 智美「邪魔者はお暇するかー」 京太郎「ま、待った! せめてこの空気をどうにか――」 睦月「そうですね。早く帰りましょう!」 佳織(何でもいいからここから逃げ出したいなあ……) 京太郎「睦月先輩!? 佳織先輩もだんまりはやめましょうよ!」 智美「それじゃあまた明日なー」ワハハ 京太郎「ちょっとー!?」 スタスタスタスタ…… 京太郎「ほ、本気で帰りやがった……」 ゆみ「」プシュー 京太郎「え、ええと、その加治木先輩。さっきのは……」 ゆみ「い、いや、いいんだ。悪いのは私だから」 京太郎「そんなことは……」 ゆみ「と、ともかく! 自転車を出してくれ!」 京太郎「は、はい! 加治木先輩の家遠いですもんね!」 ゆみ「あ、ああ! 早く行かないと日が暮れてしまう」 京太郎「わかりました! それじゃしっかり捕まって――」ハッ ゆみ「あ……」ジー 京太郎「そ、そういう意味じゃないですからね!?」 ゆみ「わ、わかっている! それじゃあ荷台を掴んで……」 京太郎「大丈夫ですか?」 ゆみ「ああ、ちゃんと掴んでいる」 京太郎「それじゃ出しますよー」 ゆみ「よろしく頼む」 京太郎「……」シャー ゆみ「……」シャー 京太郎(中学のとき、咲とよくこんなふうに二人乗りしてたなー) 京太郎(初めてやったときは咲が憧れだったって言って横乗りしたっけ) 京太郎(ちょっと漕ぎだしたら咲が倒れそうになったからすぐやめたけど。あいつ悔しそうな感じで涙目になってたな) 京太郎(その後も何度か挑戦しようとしたから止めるのが大変だった。あいつ変なところで頑固だからなあ) 京太郎(咲とのどうでもいい話とか結構楽しかったな。そのうちあいつの重さがない自転車が物足りなくなったりして) 京太郎(風を切る感覚も感じる重さも似てるけど、見える景色はやっぱり向こうと違う。……当たり前か) 京太郎(……おんなじ長野なのにな)ハァ ゆみ「なあ、須賀くん」 京太郎「なんですか?」 ゆみ「二人乗りはよくやっていたと言っていたな」 京太郎「そうですね。前に言った幼馴染をよく乗せてました」ハハ ゆみ「そうか。……間違っていたらすまないのだが、今そのときのことを思い出してはいなかったか?」 京太郎「……もしかして声に出したりしてました?」 ゆみ「そういうわけではないが、ため息をついたり考え込むような顔をしていたからな」 京太郎「はは……加治木先輩には敵わないですね」 ゆみ「それで、これももしなんだが」 京太郎「何がです?」 ゆみ「今、寂しい、と思っていないだろうか」 京太郎「寂しい……ですか」 ゆみ「ああいや、違っていたらそう言ってくれ。別に何か特別な根拠があって言っているわけではないんだ」 京太郎「ん……考えたこともなかったですけど」 京太郎「けど、言われれば寂しかったのかもしれないです」 京太郎「俺、幼馴染……咲って言うんですけど、そいつと毎日メールしてるんですよ」 京太郎「昔からよくメールはしてたんですけど、引越す前は毎日なんてことはなかったです」 ゆみ「ふむ。聞いた私が言うのも何ではあるが、違うところにいるんだ。それくらい普通じゃないか?」 京太郎「いえ、そこじゃないんです」 京太郎「咲は地元の高校に行ったんで、やっぱり中学の友達もたくさん一緒のところ行ってるんですよ」 京太郎「咲とのメールにもよく出てくるんですけど、それがちょっと羨ましいなとかいいなとか思っちゃうんです」 京太郎「こっち来て使ってる道も、普段登校に使ってる道はもう見慣れた風景になってるんですけど」 京太郎「今こうやって違う道を行くとやっぱり全然見覚えがなくて」 京太郎「前のところはどこ行っても大体見慣れてたんで、自分はここの人間じゃないんだなとか感じたんです。 京太郎「それでさっきため息ついちゃったんですよ」 京太郎「そんなこと考えてると、俺はなんで1人でこっち来たのかなってちょっと後悔が」 ゆみ「……そういえば須賀くんがこっちに来た理由を聞いていなかったな」 京太郎「ああ、親の仕事の都合ですよ。まあ向こうで一人暮らしすることも出来たんで、決めたのは自分です」 ゆみ「高校生が1人で暮らすのは言うほど簡単じゃない。自分のせいだなんて思う必要はないさ」 京太郎「加治木先輩……」ジーン ゆみ「……まあ私もしたことはないからどんなものかわかるわけではないが」 京太郎「加治木先輩……」ジー ゆみ「と、ともかくだ! 自分が選んだからしょうがないなんて思わず、寂しければ素直にそう思えばいい。そのほうが楽になる」 京太郎「……そうですね。ありがとうございます」 ゆみ「……」シャー 京太郎「……」シャー ゆみ(あまり表情は明るくなっていないな……ああ) ゆみ「寂しくて、じゃあどうするかまで言わなければ片手落ちか」ボソッ 京太郎「何か言いました?」 ゆみ「いや、なんでもない」 ゆみ「……須賀くん。この先に急な坂道があるのが見えるか?」 京太郎「ああ、結構急ですね。しっかり捕まってください」 ゆみ「ああ」ギュッ 京太郎「っ!? か、加治木先輩!?」グイッ ゆみ「きゃっ! ハンドルを急に切るな! 危ないだろう!?」 京太郎「それはすみません! でも何ですかいきなり!?」 ゆみ「き、急な坂だからしっかり捕まったんだ。それに……」 京太郎「それに?」 ゆみ「……このほうがいいかと思ってな」 京太郎「……ええと、それは、まあ、さっきのも嬉しかったですけど」 ゆみ「そ、そういう意味じゃない! 君は寂しいのかもしれないと言っていただろう?」 京太郎「そ、そっちですか」 ゆみ「私は地元を離れてはいないから、君がどれほど苦しいか分からない」 ゆみ「でも、君のつらさを和らげたいとは思う。そのためにはこうするのがいいと思った」 ゆみ「君の故郷にいなかった私が君のその寂しさを埋めたいというのはおこがましいかもしれないが、それでも私を頼って欲しい」 ゆみ「君は、私の大切な後輩だからな」 京太郎「……そんなに心配されるような顔してました?」 ゆみ「ああ、何かしてあげたいと思うくらいにはな」 京太郎「……まったく、加治木先輩は背負い込みすぎですよ。 麻雀部のことだけで倒れちゃったのに、俺のことまで背負ってどうするんですか」 ゆみ「う……」 京太郎「でも、ありがとうございます」 ゆみ「ああ、いい声だ」 京太郎「これからも頼っていいですか?」 ゆみ「もちろん。いつでも頼ってくれ」 京太郎「それじゃ、加治木先輩も俺を頼ってください」 ゆみ「うん?」 京太郎「麻雀はまだ全然敵いませんけど、でも牌譜の分析とか出来ることはやりますから」 ゆみ「しかし……」 京太郎「ただでさえ倒れたのに、この上さらに加治木先輩に頼るなんて言ったら部長に何言われるかわかりませんよ」 ゆみ「だが私が勝手にやっていることで負担をかけるわけには……」 京太郎「加治木先輩が俺に大切だって言ってくれたのと同じで、俺にとっても加治木先輩は大切な先輩なんですよ!」 ゆみ「……それを言われるとはな」フゥ ゆみ「量を減らそうと思っていたんだが、そう言ってくれるならお願いするよ」 京太郎「任せてください!」 京太郎「…………」シャー ゆみ「…………」シャー --------------------------------------- ゆみ(……今まで意識していなかったが、背中、広いな。それに固い) ゆみ(男子とこんなに密着したのは初めてだが、体の作りがこんなに違うのか)ポー ゆみ(……前はどうだろう)サワッ 京太郎「」ビクッ ゆみ(腹筋の辺りも引き締まっている。細身だけど筋肉質だ。鍛えているんだな……今さらか。部活の前にお姫様だっこをされ――) ゆみ(いかん、自分で考えていて恥ずかしくなってきた)カアァァ ゆみ(いつの間にか鼓動も速くなっている)ドクンドクン ゆみ(こ、これは須賀くんに伝わっているんじゃないだろうか)ドクンドクン ゆみ(……もっとこう、トクントクンと可愛らしくならないものかな)ハァ ゆみ(……須賀くんも緊張しているんだろうか) ゆみ(……えい)ピト ドキドキドキドキ…… ゆみ(私よりも速い。私よりも緊張してくれているのか。……なんだか嬉しいな) ゆみ(心地いい音だ。もう少し、家に着くまでこのまま――) --------------------------------------- 京太郎(……ぴったりくっついてるな)ドキドキ 京太郎(加治木先輩と密着したの今日何度目だ!? 今まで一度もこんな経験なかったのに!) 京太郎(ああ、背中に柔らかいおもちが……いかん、運転に集中しろ集中!) 京太郎(ふー……うん、少し落ち着いてきた) 京太郎(柔らかく包まれてるみたいでなんか安心する。こういうの母性っていうのかな) 京太郎(加治木先輩が言ったとおり、ギュッとされてると寂しさが和らいできた) ドクンドクン…… 京太郎(……ん? なんだこの振動) 京太郎(これは……心臓の音か。もしかして加治木先輩も緊張して――) ゆみ「」サワッ 京太郎(って!? な、何やってんだこの人!?)ドキドキドキドキ 京太郎(寂しさなんか吹っ飛んだけど! ただでさえ我慢してんのに!) 京太郎(この人ついこの間まで男と話すの苦手とか言ってたよな!? 話してなきゃいいのか!?) ゆみ「ん……」ピト 京太郎(背中に耳を……まさか俺の心臓の音聞いてるのか? うおお、恥ずかしい!!) 京太郎(ど、どうしよう。何か話しかければ離れてくれ――) ゆみ「――もう少し、このまま――」ボソッ 京太郎(……まあ、俺も加治木先輩の音聞いたんだしお互い様か) 京太郎(家まであと少しだし、このままでいいか) 京太郎(俺もそのほうが嬉しい……って何考えてんだ俺)ドキドキ --------------------------------------- ――加治木宅前―― 京太郎「加治木先輩、家ってここですか?」 ゆみ「……ん? ああ、ここだ――」ポー ゆみ「――っ!?」バッ ゆみ「す、すまない! ずっとこんな、だ、抱き締めるような真似を……!」 京太郎「い、いえ、大丈夫です。全然」ドキドキ ゆみ「そ、そうか。それとその、さっきの君のお腹を確かめようと思ったのも……」 京太郎「そっちも少しくすぐったかっただけですから大丈夫です」ドキドキ 京太郎「……って確かめ?」 ゆみ「っ! な、なんでもない!」 ゆみ「そ、そんなことより」コホン ゆみ「私のためにこんな遠回りまでしてくれてありがとう、須賀くん」ニコッ 京太郎「っ!!?」ドキィ!! ゆみ「うん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」ドキドキ ゆみ「そうか、それならいいのだが……」 京太郎(な、なんだ急に? 加治木先輩の笑ったとこ初めて見たってわけでもないのに)ドキドキ ゆみ「なんだか顔が赤いな……もしかして私が重くて疲れたのだろうか」シュン 京太郎「」ムッ 京太郎「そんなことないです!!」 ゆみ「わっ!」 京太郎「部活の前にも言ったじゃないですか! 加治木先輩は重くなんてないです!」 ゆみ「そ、そうか。そこまで強く言われると照れるな……」カアァァ 京太郎「あ……すみません」 ゆみ「まあそう言ってくれたのは嬉しいよ。ありがとう」フフッ 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎(さっきからのこれは) 京太郎(加治木先輩が自分のこと卑下するのがなんか嫌で、笑うと胸が高鳴って) 京太郎(ああ、もしかして) 京太郎(――俺、加治木先輩のこと好きになったのか) ゆみ「須賀くん? 本当に大丈夫か?」 京太郎「大丈夫です。むしろスッキリしました」 ゆみ「? まあそれならいいんだが」 京太郎「それより加治木先輩。牌譜渡して貰っていいですか?」 ゆみ「ああ、そうだったな。それじゃあ半分――」 京太郎「全部下さい」 ゆみ「何?」 京太郎「これからは牌譜の整理と分析は俺がやります」 京太郎「加治木先輩は作戦を考えたり自分の練習をしたり、加治木先輩じゃなきゃ出来ないことをやって下さい」 ゆみ「しかし……」 京太郎「最初はやり方を聞くことになると思いますけど、でもすぐに覚えます!」 京太郎「麻雀部の、加治木先輩の役に立ちたいんです!」 ゆみ「……自転車に乗っているとき、お願いすると言ったしな」フゥ ゆみ「わかった。それじゃあ牌譜の整理と分析は君に頼んだよ」 京太郎「はい!」 ゆみ「ちなみにこれだけあるんだが本当に大丈夫か?」ドサッ 京太郎「お、おお……すごい量ですね」 ゆみ「やはりこの量は……」 京太郎「いえ、大丈夫です! やってみせます!」 ゆみ「そうか……ただ、失敗を経験した者として言うが、無理だと思ったら私を頼るんだぞ」 京太郎「倒れる前に頼ります」ハハ ゆみ「それじゃあ須賀くん、自転車の鍵を取ってもらっていいか?」 京太郎「あ、はい、これです。足まだ痛みます?」 ゆみ「ん……歩くのは少しつらいな。まあ明後日には治ると言っていたから大丈夫だろう」 京太郎「そうですか……その、加治木先輩」 ゆみ「なんだ?」 京太郎「明日の行きも送らせて貰えませんか」 ゆみ「なっ!? あ、明日の行きとはつまり登校のことか」 京太郎「はい」 ゆみ「し、しかし登校時間には人も多いし朝からというのは目立ちそうだな……」 京太郎「二人乗りが目立つなら、人が多くなったらまた押しますよ」 ゆみ「余計に目立つだろう!?」 京太郎「じょ、冗談です」 京太郎「無理にではないですけど、もし痛むようなら明日も大変かなと思ったので……」 ゆみ「むぅ……」 京太郎「……」 ゆみ「……」 ゆみ「……そうだな。お願いしてもいいだろうか」 京太郎「はい、喜んで!」 ゆみ「ありがとう。それじゃあこれを」 京太郎「これは……自転車の鍵ですか?」 ゆみ「ああ、明日も来るんだ。自転車のほうが楽だろう? どうせ私は使えないしな」 京太郎「ありがとうございます!」 ----------------------------------------- 京太郎「そろそろ帰りますね」 ゆみ「ああ、今日は助かった」 ゆみ「保健室へ連れて行ってもらって、家まで送ってもらって、牌譜を引き受けてもらって、明日も来てもらう」 ゆみ「君には借りが随分と出来てしまったな」 京太郎「どれも好きでやってることですから。気にしないでください」 ゆみ「私はいい後輩を持ったよ。……何か埋め合わせをしないとな」 京太郎「いえ別にそんな……」 ゆみ「後輩に助けて貰いっぱなしの先輩というのも情けない。私に出来ることなら何でもいい、考えておいてくれ」 京太郎「……わかりました。考えておきます」 ゆみ「ああ」 京太郎「それじゃあ加治木先輩、また明日」 ゆみ「また明日。今日はありがとう」 京太郎(いい後輩かあ……)シャー 京太郎(いつか、後輩としてじゃなく俺を見てもらえるように、頑張ろう) -----------------------------------------
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2132.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1357146006/ --須賀家-- 京太郎「おいおい、限界に挑戦って……まさかどれだけ飽きずに食べ続けられるか的な意味じゃないだろうな?」 優希「ふっ、甘いな京太郎……」 京太郎「そりゃそうか、いくらお前でも……」 優希「他にどういう意味があると思ったんだ?」 京太郎「ですよねー」 優希「全国に向けてどれだけタコス力を蓄えられるか挑戦するのだ! 幸い今は休み、誰にも邪魔される事なく挑戦できる!」 京太郎「人の家でやるのかよ! だいたい資金とかはどうすんだ、タコスだってただじゃねぇんだぞ?」 優希「ふふん、それについても心配無用! 見よ、この食材達を!」 京太郎「こ、これは! 大量のタコスの材料じゃねぇか!」 優希「行きつけのタコス屋が完全協力してくれたからな! 材料には困らないじょ!」 京太郎「マジかよ……お前の道楽に付き合うなんてそのタコス屋も酔狂というかなんというか……」 優希「それじゃあ、疑問も解けたところでさっそく頼むじぇ」 京太郎「は? もしかしてお前、俺にタコス作れとか言い出す気か?」 優希「他にわざわざ場所を京太郎の家にした理由があるのか?」 京太郎「おいおい……俺だって暇じゃないんだけどな」 優希「……ダメ?」 京太郎「なんだよ、らしくないな……わかったわかった、作ってやるよ」 優希「さすが京太郎! それでこそ私の犬だ!」 京太郎「誰が犬だ、こら。 じゃあ作ってくるからちょっと待ってろよー」 --少年調理中-- 京太郎「お待たせいたしました、と」 優希「うむ、苦しゅうない! いただきまーす!」 京太郎「……どうだ?」 優希「モグモグ……美味しいけどまだ合格点はやれないな!」 京太郎「これでも一生懸命やったんだけどな……ちなみに何点だ?」 優希「60点」 京太郎「そこそこか」 優希「千点満点でな!」 京太郎「ダメダメだな、おい!」 優希「まあそれは冗談として……さぁ、認められたかったらもっとタコスを持って来ーい!」 京太郎「ちっ、わかった、とことん付き合ってやる! 絶対お前に美味しくてまいりましたって言わせてやるからな!」 優希「期待はしてないじぇ」 京太郎「ぐぎぎ……」 --京太郎が作ったタコス・1個-- 京太郎「へい、お待ちってな」 優希「モグモグ……」 京太郎「どうだ?」 優希「40点!」 京太郎「下がった!?」 優希「奇をてらって何か入れたみたいだけど逆効果だじぇ。 創意工夫なんて満点を取ってからだ!」 京太郎「くっ! まだまだ基本からって事か……」 --京太郎が作ったタコス・10個-- 京太郎「どうだ?」 優希「モグモグ……シンプルだけどそれがいい、65点だじぇ」 京太郎「うしっ! 最初より点上がったぜ!」 優希「京太郎はタコス作りに関しては才能があるな!」 京太郎「おいおい、それ以外にないみたいな言い方はやめろよ」 優希「えっ」 京太郎「おいこら、なんだその『えっ、あると思ってたの?』みたいな顔は」 --京太郎が作ったタコス・25個-- 京太郎「今度はどうだ?」 優希「モグモグ……70点だじぇ」 京太郎「よしよし、順調に上がってんな」 優希「まだまだ先は長いぞ、油断せずに精進するのだ!」 京太郎「お前はどこの師匠なんだっつーの」 優希「ふっ……私はちょっとタコスに魅入られた呪われし血族なだけだじぇ」 京太郎「だからそれ、メキシカンに失礼だからな?」 --京太郎が作ったタコス・50個-- 京太郎「ほらよっと」 優希「モグモグ……うーん、68点」 京太郎「また下がった!?」 優希「タコス生地の焼き加減が微妙だじぇ。 京太郎、お前何かしながらやっていたな!」 京太郎「ギクッ」 優希「なんだなんだ、私のタコスを作る以上に何か大切な事でもあったのか?」 京太郎「……いやー、ちょうど読んでた雑誌におっぱい大きい子が……」 優希「タコスキック!」 京太郎「いてぇ!?」 --京太郎が作ったタコス・75個-- 京太郎「おい優希、材料がなくなってきたぞ」 優希「む……じゃあまたタコス屋に頼むじぇ」 京太郎「さすがにこれ以上付き合わせらんねーだろ。 これからは俺が材料用意しとくわ」 優希「でも資金がないんだろ?」 京太郎「宝くじが当たったからそれ使うさ。 親だって説得済みだしな」 優希「準備がいいな、京太郎!」 京太郎「今さらひけねぇだけだよ。 ここまで来たらお前が満点出すまでやってやる!」 優希「ふふん、そう簡単には満点はやらないじぇ!」 京太郎「言ってろ! じゃあちょっと買い物行ってくる」 --京太郎が作ったタコス・100個-- 京太郎「えーっとこれとこれと、後これだな」 咲「あれ……もしかして、京ちゃん!?」 京太郎「んっ? おー、咲、奇遇だな、お前も買い物か?」 咲「う、うん。 和ちゃんが遊びに来るから夕飯の買い出しに……今日は寒いからお鍋にでもしようかなって」 京太郎「相変わらず仲がいいんだな、咲と和は」 咲「まあ、ね……ところで京ちゃんはどうしたの?」 京太郎「俺はタコスの材料を買いにな」 咲「えっ、タコス……?」 京太郎「実は今優希のわがままに付き合わされててさ。 あいつときたらなにを血迷ったのかタコスをどれだけ 食べ続けられるかに挑戦してんだよ、わざわざ人の家で泊まりがけでだぞ?」 咲「京ちゃん……な、なにを言ってるの?」 京太郎「本当になにを言い出してんだかな? まっ、俺もタコス作りの修行になるしちょっとくらいなら付き合うつもりなんだけど」 咲「そ、そうじゃなくて優希ちゃんが京ちゃんの家にってどういう……」 京太郎「あっ、もうこんな時間か。 悪い咲、優希が待ってるからまたな」 咲「えっ、京ちゃん、まだ話は……」 京太郎「じゃあなー」 咲「き、京ちゃん……嘘、でしょ……?」 --須賀家-- 京太郎「ただいまー、待たせたな優希」 優希「遅いぞ、京太郎!」 京太郎「悪い悪い、ちょっと外で咲と会っちゃってさ」 優希「咲ちゃんと? はっ、まさか浮気か!?」 京太郎「アホか」 優希「もう、つれないじぇ、あ・な・た♪」 京太郎「あなたじゃねぇから。 ほら、くだらない事言ってないでタコス作るから大人しく待ってろ」プルルルルル…… 京太郎「んっ、電話か?」ガチャッ 京太郎「はい、もしもし」 ???「……!……!」 京太郎「あの、どちら様ですか?」 ???「……!?……!!」 京太郎「いたずらなら切りますよー」ガチャッ 京太郎「何だったんだ今の? まっ、いいやタコス作りタコス作りっと」 京太郎「どうだ?」 優希「モグモグ……75点だじぇ」 京太郎「なんとか軌道修正は出来たか……おっ、そういえばさっき変な電話がかかってきたんだよ」 優希「モグモグ……電話?」 京太郎「そうそう、でも不思議なんだよな……よく聞こえなかったのにちゃんと聞かなきゃいけなかったような……つうっ!?」 優希「京太郎!?」 京太郎「だ、大丈夫だ、ちょっと頭痛くなってきただけだから」 優希「とても大丈夫には見えないじぇ……ここはいいからちょっと休め」 京太郎「……そうだな、悪い。 ちょっと横になるわ」 優希「ん、おやすみ」 京太郎「おやすみ……」 --京太郎が作ったタコス・200個-- ---- 優希『京太郎もタコス作りがうまくなったな!』 京太郎『おっ、マジか?』 優希『うむ、まだ100点満点ではないけど、99点までは届いてるじぇ! これなら決勝で私も十二分以上に力が発揮できる!』 京太郎『そうか……俺も少しは全国でみんなの役に立てたんだな』 優希『京太郎……』 京太郎『ここまで付き合ってくれてありがとな、優希』 ---- 京太郎「……夢?」 京太郎「ったく決勝って気の早い話だな……まっ、それだけみんなを信じてるのかもしれねぇけど」 京太郎「さて、とそれじゃあタコス作り再会といきますか! ちょっと待ってろよ優希」 優希「はーい」 京太郎「こういう時は素直なんだな……」プルルルルル 京太郎「また電話?」ガチャッ 京太郎「はい、もしもし?」 ???「…………?」 京太郎「はい? 今なんか言いましたか?」 ???「…………」 京太郎「あの、昨日を思ったんですけどあなた誰ですか? いたずらならいい加減にしてくださいよ」 ???「…………」ガチャッ 京太郎「切れた……なんなんだよ、気分悪いな……タコス作ってさっさと忘れよう」 ---- 京太郎「どうよ?」 優希「モグモグ……80点だじぇ」 京太郎「後20点か……先はまだまだ長いな」 優希「それを理解できただけでも十分成長したじぇ」 京太郎「そんなもんかね。 まあいいや、俺はひたすらタコス作りに励むだけだからな」 --京太郎が作ったタコス・300個-- ???「なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ……」ブツブツ 京太郎「ど、どうだ?」 優希「モグモグ……」 京太郎「……」 優希「最初に比べたら成長したな京太郎……90点だじぇ」 京太郎「いよっし! ようやくここまで来たか!」 優希「なんだか最近は、私の挑戦じゃなくて京太郎の挑戦になってる気がするじょ」 京太郎「あはは、確かにそうだな」 優希「タコスがいっぱい食べられるのは嬉しいからいいけどな!」 京太郎「なら100点満点になるまで頼むぜ、優希審査員?」 プルルルルル……プルルルルル…… 優希「……また電話?」 京太郎「ああ、いい加減鬱陶しいな」ガチャッ 京太郎「もしもし?」 ???「…………」 京太郎「はあ……おい、本当いい加減にしろよ」 ???「……!」 京太郎「誰だかしらねぇけど、ここんとこいっつも電話かけてきやがってさ……こっちはいい加減迷惑なんだよ」 ???「……!?……!……!」 京太郎「今度かけたら警察呼ぶからな!」ガチャッ 京太郎「ったく……電話線抜いとくか」 京太郎「はあ……この電話さえなきゃいい気分なんだがなあ」 ???「……電話線が抜かれました」 ???「そんな……和ちゃんどうにもならないの?」 和「アプローチを帰る必要がありそうですね……いったん帰りましょう咲さん」 咲「うん……」 京太郎「……なんだよ、これ」 受信メール30件、着信40件 京太郎「全部同じアドレスと番号……内容は家の電話みたいな無言電話とメールは意味不明の単語の羅列」 京太郎「本当になんだよ、これ……気持ち悪い」 京太郎「削除して拒否に放り込んどくか……くそっ、寒気がするぞ」 京太郎「こんな時はタコス作って気を紛らわせねぇと……心配させたくねぇし優希には電話やメールについては黙っとこう……」 --京太郎が作ったタコス・400個-- 京太郎「……これはどうだ?」 優希「……99点」 京太郎「いよっしゃあ!!後1点、ついにここまで来たぜ!」 優希「京太郎も本当に成長したじぇ……ご主人様は嬉しいぞ」 京太郎「誰がご主人様か。 だけどそうか、後1点で……長かったな」 優希「頑張れ京太郎、ここまで来たら私をあっと言わせるタコスを作り上げるのだ!」 京太郎「任せとけ!」 --京太郎が作?た-?ス・500?-- 咲「電話もメールも着信拒否されてる……和ちゃん、どうしよう……?」 和「須賀君……急がないと、いけないかもしれませんね」 優希『やった、やったじぇ京太郎! 清澄の優勝だじぇ!』 京太郎『ああ、やったな優希!』 優希『白糸台も出来なかった全国三連覇……清澄は成し遂げたんだ!』 京太郎『こりゃお祝いにタコスパーティーだな!』 優希『そうだな! みんなも呼んでパーッと派手にやるじぇ!』 京太郎『よっしゃ、任せとけ! ついでにお前から満点も取ってやるからな!』 優希『ふん、やれるものならやってみろ!』 ???『……やめろ』 ---- 京太郎「……!?」 京太郎「なんだ、今の夢……?」 京太郎「どうだ?」 優希「99点」 ---- 京太郎『悪かったな、お前には随分俺のわがままに付き合わせちまった』 優希『タコスがいっぱい食べられたから気にしてないじぇ』 京太郎『俺が気にすんだよ』 優希『うーん、なら1つだけお願いを聞いてほしいじょ』 京太郎『お願い? いいぜ、何でも言ってくれよ』 優希『じゃあ……デート、してほしいじょ!』 ???『やめろ』 --京太郎が??たタ?ス・600?-- 京太郎「どうだ?」 優希「99点」 ---- 京太郎『デートしてくれねぇ……あいつにしてはかわいらしいお願いじゃないか』 京太郎『でもこれじゃ、あいつのお願い聞いたのに俺も得しちゃってるんだよなあ』 京太郎『……今度は俺から誘うか』 ???『やめろ、やめろ……』 --京太郎が??た??ス・7?0?-- 京太郎「どうだ?」 優希「99点」 ピーンポーン…… ---- 優希『んー、今日は楽しかったじぇ!』 京太郎『そりゃ良かった。 お前を満足させるために頑張った甲斐があったわ』 優希『なんだ? もしかして京太郎も楽しみだったのか?』 京太郎『……』 優希『まあ、そんなわけないか。 だって京太郎の好みは……』 京太郎『そうだって言ったらどうする?』 ???『やめろ、やめろやめろやめろ』 --京太郎が??た???・?00?-- 京太郎「……材料切れた、買ってこないと……」 優希「99点」 ---- 優希『……え?』 京太郎『俺達、なんだかんだでほとんど一緒にいたよな。 地区予選の時も、一年の全国の時も、部長の卒業式の時も、全国二連覇した時も、色んな行事の時も…… 今日、白糸台すら出来なかった全国三連覇を果たした時も』 ???『やめろやめろやめろやめろやめろ』 --京太郎が??????・???-- 京太郎「頭が痛い……それでも作らねえと……作らねえと俺は……」 優希「……」 ピンポーン、ピンポーン……ドンドン!! ---- 優希『あっ、えっ、京太郎……?』 京太郎『あのな、優希……言いたい事があるんだ』 ???『やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ』 --京太郎が??????・????-- 京太郎「……」 ピンポンピンポンピンポーン ドンドンドンドンドンドンドン!! ---- 優希『ま、待って!』 京太郎『……?』 優希『えっと、もし京太郎の言葉が私の想像通りならちょっと待ってほしいんだじぇ……』 京太郎『なんで?』 優希『い、今の私は……その言葉をまだ聞けないような気がするから』 京太郎『そんなこと!』 優希『だから、明日! 私の家に来てほしい……』 京太郎『えっ?』 ???『やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ!!』 --京太郎が??????・??月-- 京太郎「……」 ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン ドンドンドンドンドンドンドンドン!! キョウチャン、アケテ! サキサン、ヤッパリヨウスガ… ---- 優希『そ、そこで私の答えを返すから……ダメ?』 京太郎『なんだよ、らしくないな……わかったわかった、行くよ』 優希『……ありがとう京太郎。 それでこそ--』 ??郎『お願いだからやめて、くれ……』 --京太郎が??????げた日から??月-- 京太郎「ああ……」 ドンドンドンドンドンドン、ガチャガチャ、バキッ!! ア、アイチャッタヨ! スガクンニハアトデアヤマリマショウ、サキサンイソイデ!! ---- 京太郎『えっと、あそこだな』 優希『京太郎ー!』 京太郎『優希の奴、わざわざ家の前で待ってたのかよ……かわいい奴だな、全く』 優希『……京太郎っ、危ない!!』 キキィィィィ!! 京太郎『は?』 ?太郎『やめてくれ、お願いです、やめて……』 --京太郎が優?の?から逃げた日から?ヶ月-- 京太郎「そうだった……」 ---- 優希『京太郎、ダメー!!』ドンッ 京太郎『あっ……』 優希『京--』 グシャッ!! 京太郎『やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!』 ---- 咲「京ちゃん!!」 和「須賀君!!」 京太郎「……」 咲「京ちゃん……」 和「な、なんですかこれ……腐ったタコスが山積みになって……うっ!」 咲「和ちゃん、大丈夫!?」 京太郎「ああ、そっか……そうだったんだ」 咲「京、ちゃん?」 京太郎「優希は…… 俺が、殺したんだ……」 --京太郎が優希の死から逃げた日から、1ヶ月-- 咲「京ちゃん……」 和「ごほっ、須賀君、やっぱりあなたはまだ……」 京太郎「馬鹿か俺は、自分で優希殺しときながらそれを忘れるとかありえねぇだろ」 咲「ち、違うよ京ちゃん! 優希ちゃんを死なせたのは居眠り運転の車で、京ちゃんじゃ……」 和「そうです須賀君……優希だってきっとあなたを助けられて良かったと--」 京太郎「気休めなんかいらねぇんだよ!!」ガシャーン!! 咲・和「!!」ビクッ 京太郎「確かに殺した直接の犯人は優希を轢いた後、電柱に事故って死んだ車の運転手だ!!」 京太郎「だけどそれがなんだって言うんだよ、 俺があの時もっと気をつけてれば、俺が優希の家にもっと早く行ってれば、 そもそも……あの日、あいつに告白なんかしようとしなければ優希は、死なずにすんだんだっ!!」 京太郎「俺が……俺が、あいつを殺した原因の大部分であるのに、変わりはねぇんだよ」 咲「京ちゃん、包丁なんか持って何を……!」 和「まさか……やめてください須賀君!」 京太郎「もう疲れた……そういや結局、あいつから満点もらえなかったな……俺は最後まで半人前、か」 ???「ダメだ、京太郎!」 咲「えっ……」 京太郎「……!」 ザクッ 咲「京ちゃああああああん!!」 和「あっ……き、救急車、呼ばないと……」 --病院-- 咲「京ちゃん……」 和「お医者様の話ではギリギリ急所は外していたらしいです。 ただまともに何も食べていなかったらしく栄養失調の状態ですし、 目覚めた後一度壊れた須賀君の心が元に戻るかはわからないと……」 咲「助かったのなら、それで私は十分だよ……それにしても京ちゃん、どうしてあんなにタコス用意できたんだろ……」 和「……咲さん、これは私が出た後お医者様が看護士さんと話していたんですが」 和「須賀君、内臓がいくつかないらしいんです」 咲「……えっ?」 和「私も信じられなかったんですが……須賀君、腎臓などの2つある内臓はもう1つしかない状態らしくて……」 和「須賀君があれだけのタコスを作る資金がどこから来たのか考えれば……そういう、事なんでしょうね」 咲「そんな……」 和「ペットのカピバラも売ったみたいです……救急車を読んだ後見てみた須賀君の部屋から、 カピバラ宛てにごめんってたくさん書いてある手紙がありましたから」 咲「京ちゃん、そこまで思い詰めてたんだ……」 咲「京ちゃん、優希ちゃんのお葬式で『俺には泣く資格なんかない』って言ってたのに…… なんで私、気付いてあげられなかったんだろう」 和「咲さんだけの責任じゃありません…… 私なんて、葬儀の時泣いていない須賀君の事、冷たい人間だと勘違いしてしまったんです」 和「私は何も見えてなかった、泣く事すら出来なかった須賀君の心の悲鳴を……これじゃあ優希に申し訳が立ちません……」 咲「京ちゃん……あれ?」 和「どうしました、咲さん」 咲「なんか、京ちゃんの病室辺りが騒がしくないかな?」 和「そういえば……」 咲「私、ちょっと見てくるね!」 和「あっ、私も行きます!」 咲(私達が、治療したばかりの京ちゃんが病室からいなくなったと聞かされたのは、そのすぐ後の事でした) 咲(そして懸命の捜索が行われても、京ちゃんは見つかりませんでした) 咲(京ちゃんにプレゼントされて旅行に行っていたという京ちゃんの両親の泣き顔が、今でも……脳裏から離れません) --数ヶ月後・墓地-- 咲「……京ちゃん、今日はね、私達の卒業式だったんだ」 咲「竹井先輩や染谷先輩も駆けつけてくれて、お祝いしてくれたよ」 咲「私は麻雀のプロ選手に、和ちゃんは大学に行く事になって 離れ離れになっちゃったけど、連絡は頻繁に取っててひとりぼっちじゃないから安心してね」 咲「ねぇ、京ちゃんはどうしてるのかな? 優希ちゃんの所に行っちゃったの?」 咲「みんなは京ちゃんが自殺したって思ってるみたいだけど、私はそうは思わないんだ」 咲「和ちゃんにはきっと否定されちゃうから言わなかったんだけど、私見たから」 咲「京ちゃんが包丁を胸に刺そうとした時、優希ちゃんが京ちゃんの腕をつかんだの」 咲「そのおかげで京ちゃんは助かった、京ちゃんも一瞬ビックリしてたからわかってるんだよね?」 咲「だからこんなお墓に話しかけても、京ちゃんには何も届かないって私信じてるよ」 咲「京ちゃんはこの空の下で今も優希ちゃんを想いながら生きてるって、信じてるから」 咲「また、どこかで会おうね京ちゃん……」 --長野県内・某所-- 店主「……」カチャカチャ 「あれ、こんなところにタコスのお店なんてあったんだ?」 「珍しいねー、食べてこっか?」 「そうだね!」 店主「いらっしゃい」 「タコス2つくださーい」 店主「わかりました、少々お待ちください」 「ねぇねぇ、見た?」 「うん、店員さんすごく若かったね」 「大学生くらいなのかな?」 「それでお店持つなんてすごいねー」 店主「お待たせいたしました」 「あっ、ありがとうございます。 あのー」 店主「はい、なんでしょう?」 「ここって店員さんが1人でやってるんですか?」 店主「はい、色々ツテもありましてこの店は1人で経営してるんです。 お客様もそれなりに来ていただいてますよ」 「そうなんですか……」 「うわっ、これすごく美味しい! 私こんなの初めて食べたよ!」 「そんなに美味しいの? どれどれ……本当だ、すごく美味しい」 店主「ありがとうございます」 「何か隠し味とかあるんですか?」 店主「いえいえ、タコス好きの知り合いから自分から満点を取るまで、余計な事はしない方がいいと教えられてますから」 「えー、こんなに美味しいのに」 店主「今99点だから後1点なんですけど……まだまだ俺には修行が必要なんでしょうね」 「へぇ、じゃあ満点取れるように私達も応援してますね!」 店主「ありがとうございます」 ---- 「じゃあまた来まーす」 「今度は友達連れてきますねー」 店主「ありがとうございました、またのご来店をお待ちしております」 カランカラン…… 店主「……」 店主「応援されても無理なんだよなあ……あいつはもういないんだから」 店主「……だからこっちで頑張って修行して、お前の所に行ったら速攻満点叩き出してやるからな」 ???「うむ、何十年でも待ってるじぇ! だからせいぜい長生きしておけよ!」 店主「えっ……」 店主「気のせいか……」 店主「……二度も助けてくれてありがとうな、優希」 店主「そういえば優希の奴、あの時俺のために家で弁当作ってたんだってな。 それを俺のタコスと交換して告白の返事にしようとしてた、なんて乙女らしい所もあるじゃねぇか」 店主「そっちに行ったら最高のタコスと一緒に言えなかった言葉言うから、その時にお前の弁当と返事もらうから」 京太郎「だからもうちょっとだけ待っててくれよな、優希……」 カン! 一応補足すると京太郎は最初の時点で既に狂ってる状態 カピバラと内臓売ったお金でタコスを作ってはただ腐らせていく日々 電話はもちろん咲和コンビ、京太郎自身が優希の死にふれそうなものを シャットアウトしていたので電話が聞こえなかったりメールの文面がめちゃくちゃだった だけど自殺を優希に止められて一応短い時間を前向きに生きていく努力はし始めた 以上補足も終わり、本当にカンだじぇー
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6362.html
京太郎「背景に溶け込んでかなり立ったが潮時だ」 京太郎「このままこの立ち位置に居るだけじゃ世界から消されちまうな」 京太郎「……ん?前々から思ってたけど背景って何だ?」 京太郎「ま、まぁいいか。とにかく目立つに越したことは無いからな」 京太郎「おし、決めた!」 京太郎「せっかくのゴールデンウイークだし、一人で旅行でもしてみるか」 京太郎「そうと決まれば………かあさーん!旅行のパンフとか持ってないー?」 ――――――― ―――――― ガタン ゴトン ガタン ゴトン 京太郎(うおおー!すっげぇな桜!) マモナク ヨシノー ヨシノ 京太郎(長野も結構綺麗に桜が咲くほうだけど、奈良の桜はまた一段と格別だな) 京太郎(この"吉野"ってとこ選んでよかったぜ。母さんに感謝だなー)ウンウン ガタン!!! 京太郎「うわっ!!?」 京太郎「な、なんだ今の揺れ!?」 京太郎「………」 京太郎「ん?ん?………あれ?なんでどんどん視界が斜めになって行ってんだ?」 ――――――――― TV『奈良県、吉野近くの電車が脱線事故を――――』 玄「っ!?よ、吉野ってお姉ちゃん!」 宥「吉野?」 玄「すぐそこだよ!すぐそこでおっきな事故がおきたって!」 宥「ええー!?」 京太郎「………ううっ」ムクリ 京太郎「!?」ズキッ 京太郎「いってててて!!」 京太郎(な、なんだよ……これ!?血?!一体何が起こったんだ?) 客「………」 京太郎「あ、あの!」トントン 客「…」グニャリ 京太郎「うわあああああああ!!」 京太郎(おええっ!内臓が全部飛び出てやがる……) 京太郎(と、とにかく誰かに助けを………!) 京太郎「………」 京太郎(誰かって誰だ?……というか何で俺はこんな所にいるんだ?) 京太郎「そもそも俺の名前って………なんだっけ?」 京太郎(……いや、そんなことよりここから出ないと……血の臭いで気持ち悪くて吐きそうだ) ――――――――― 京太郎「………はぁ…はぁ」フラフラ 京太郎「誰か……誰か……」 京太郎「………」 京太郎「……」 玄「おねーちゃん早く!」 宥「ま、待って玄ちゃん!まだマフラーしてないよぅ!」 玄「もう、急がないと怪我してる人………が……」 玄「………」 玄「ひいいいっ!!?」 宥「玄ちゃん?どうした……ひっ!?」 玄「な、なにこれ……人?どうしてうちの前に!?」 宥「あうあうあうあうあう」ガクガク 玄「…………」 玄「……っ」ソー 宥「玄ちゃん!?」 玄「……も、もしもし?大丈夫ですか?」ツンツン 「………」 玄「もしもーし!?」ツンツンツン 「………」 玄「……おねーちゃん」 宥「な、なに?」 玄「この人………もう息してないよぉ……!」グスッ ―――――― ――――― 玄「えぐっ……ぐすっ……」 憧「ほら玄、もういい加減泣き止んで」 玄「だって……だって……あの人、助けられなかったもん!」 宥「ううん、玄ちゃんのせいじゃないよ。私がもうちょっと早く用意できてたら……」グスッ 穏乃「まさかこんな形で再会するなんてなー」 和「そうですね……」 穏乃「その、部外者の私がどうこう言える立場じゃ無いんだけどさ……あの人って」 和「須賀くんは清澄の麻雀部にとってすごく必要な人でした」 和「彼には何度も何度も助けてもらいましたから」 穏乃「……」 和「なのに……本当、こんなオカルトありえませんよね」ボロボロ 穏乃「の、和……」 久「咲と優希は?」 まこ「言わんでもわかるじゃろて」ハァ 久「ま、そうよね……」 まこ「お前さんは悲しくないんかい?」 久「あら?こう見えても結構やせ我慢してるのよ」 まこ「……そーかい」 久「なんていうか、皮肉な物よね……」 久「私ね、いつも大事な物って失ってから気づくのよ」 まこ「それは誰だって同じじゃ」 まこ「でもそんな事言ってもアイツはもう………二度と帰って来ん」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/10061.html
前話 次話 インタビューの続きでーす 塞「あの時はほんっと焦ったわー……」 胡桃「下手したら全国大会を遅刻で終わらせる所だった! 私含めみんな反省!」 白望「ダル……」 豊音「でも、須賀君が来てくれたお陰で滑り込みセーフだったよー」 エイスリン「ヒーロー!」パッ(頭だけ京太郎のオールマ○トの絵) 塞「んぶっ!」←ツボに入った 白望「おんぶはしてくれなかった……もうちょい早く着けたろうに……」 胡桃「探してもらっておいて厚かましいよシロ!」 白望「胡桃は肩車されてた癖に……」 胡桃「あれは緊急事態だったからいいの!」 塞「けほっ、けほっ……。それにしても、まさかあんな場面で、ネットで噂のS君に出会すとはね」 豊音「急いでたから、サイン貰うのすっかり忘れちゃってたよー」 塞「どうだろ。あの子、サインとか書いたことあるのかな?」 豊音「えへへー。それならそれで、初サインだからちょー嬉しいよー」 塞「可愛い奴めーうりうりー」 胡桃「でも豊音。あの時は仕方無かったかもだけど、肩車してる相手に飛びついたり、男の子に抱き着いたり、マナー悪かったからね。気をつけなよ」 豊音「あうぅー……」 塞「そうねー。豊音はおっぱい大きいんだから、須賀君みたいなおっぱい星人にぐいぐい押し付けたりしたら、狼になって食べられちゃうかもよー?」 エイスリン「ハニートラップ!」パッ(京太郎(だらしない顔バージョン)ヘッドのミツバチが飛んでる絵) 胡桃「んっふ……!」←ツボに入った 豊音「お、おぱっ……! 須賀くんはそんな子じゃないよー! きっと! そ、それに、私より原村さんみたいなちっちゃくておっきい女の子の方がいいだろうし……」 白望「でもあの少年、動画で豊音の事べた褒めしてたし……」 塞「私達にも可愛いーってさ。たらしって噂されるのも納得だわ」 豊音「そ、そういえば! 須賀君ってすっごい力持ちだよね! 胡桃を肩車しながら飛び掛かられても、びくともしなかったんだよー!」 塞「あーわかる。あの荷物だって、ちょっと持ったけどえらいずっしりしてて正直キツかったし」 胡桃「そもそも私を肩車して何分か歩いてても、ちっともバランス崩れなかったしね!」 エイスリン「アシニネガハエテル!」パッ(京太郎フェイスのウッ○マン) 白望「あー懐かしいねそれ……」←ツボに入らなかった 塞「エイちゃん、須賀君の顔の再現度高いけど、そんなに印象に残ってる?」 エイスリン「ウン! プリンスミタイ!」 胡桃「えー、王子様って感じとはまた違わない? イケてる方だとは思うけどね」 塞「まーイケてるにせよないにせよ、あの子には東京にいる間に恩返ししないといけないね」 白望「話のまとめ方強引だなぁ……」 胡桃「もちろん清澄に手加減とかしないけどね! そういうの求めてないだろうし!」 豊音「でも恩返しとはまた別で、須賀君とは一緒に遊んでみたいよー」 塞「じゃーそれも兼ねて何か考えとこっか。一応私は連絡先交換しといたし」 エイスリン「ズルイ!」パッ(ぷんぷん丸の顔文字) 塞「急いでたからしょーがないじゃーん」 ちなみに、動画のコメントにはSに対して迷子のプロファイリングを求む声が殺到したという。 カン 前話 次話